side ヒロ(同い年の君へ)
25歳といえば、ようやく仕事を覚え容量がわかってきたところで、公務員になった俺は所謂エリートコースを真っ直ぐ突っ走ってる最中。
上司は煩いが、『腹の中で何考えようが、笑顔で適用にかわしとけば、上司は優しくなんだよ』との友人のアドバイスを実践したところ、確かに静かになった。しかも、新しいプロジェクトも任された。仕事は楽しい。やっとそう思えるようになった。
が、息抜きも大切。今日は金曜日。土日が休みの公務員は二日酔いになっても平気。むしろ、あいつと会う日は必ず酔う。
――ところで。
俺はスーツなのに、相手はラフな格好って傍から見るとどうなの?しかも、相手は童顔の幼馴染。たまに…いや、3回に2回の割合で高校生に見られるんだけど。…スーツ着たサラリーマンと、男子高校生の図。年齢同じなのに、この差は何?
「ヒロ何顰め面してんの?」
「俺とお前の違いについて考えてた」
「は?」
キョトンと瞬くユウは、可愛い。ジーンズにTシャツ、ジャケットという恰好も似合っている。うん、高校生でイケるよ。現に、居酒屋のおっさんに年齢確認されたもんな。運転免許証を見せたときの、おっさんの顔が見事だった。
穴のあくほどユウを見詰めた後「すまねぇな」と言ってビールを一杯奢ってくれた。ユウは「いいんですよ」と笑い、その顔を見たおっさんの顔が若干赤かったのは気のせいではないだろう。
「お前、大学で彼女できた?」
「何、イキナリ」
「男同志の話はそこに行きつくんだよ」
「はぁ?」
「仕事で忙しいとさ、彼女見つけんのも難しくて。職場恋愛は面倒だし。そしたら出会いの場はドコって最近思う」
「……適当にひっかければ?」
「面倒。誰か紹介しろ」
「じゃあ、合コンでもする?」
「したい」
「男用意できんの?」
「…大学ん時の連中に声かける」
「25歳と19歳で?」
「え、お前19歳の女友達いんの?」
「周りが19歳~22歳だし」
「いいな」
「そうか?」
「あれ、お前年上?」
「いや、こだわんない」
そう言った後にビールを一気飲みってどうよ。おっさんが目を瞠ってぞ。
「俺も彼女欲しいなぁ」
「酒に弱いくせに一気なんてするなよ」とか思うが言えない。言ったら、睨まれるに決まってる。
「作れば?若い子たくさんいるだろ」
「ヒロ自分で言ったじゃん、『職場恋愛は嫌だ』って」
「職場恋愛と学生の交際は別」
「何それ。経験論?」
「痛いとこつくなよ」
そう、過去に職場恋愛で苦労した。今は違う部署だが、別れた当時は居た堪れなかった。それに比べて学生での恋愛は楽だった。周りは煩いが、別れた時は周りのおかげで、きまずくなることはなかった。
おもに、ユウのおかげで。
彼女ができたと言えば、自分のことのように喜び、別れたと言えば、何も言わず傍にいてくれた。
……結構救われたなぁ。そんなユウの彼女を見たことはあまりないんだけど。
「ヒロ、追加頼む?」
「は?……ああうん、頼む」
追想から戻ると、ユウの酒は空。俺の酒も何故か空。
恐らくユウが勝手に飲んだんだろうが。「次は何頼む?」とか聞いてきた。
「次は…カクテルがいいな」
ビールは飽きた。
「おじさーん、カクテル!とりあえず、これとこれと…これも。二人分で」
え、何杯飲むんだよ。弱いの自覚してるのか。……してるけど飲むんだよ、こいつは。
今日は、どうなるんだか。
酒に酔ったユウはその時の状態で二手に別れる。絡んでくるか、甘えてくるか。甘えるのはいい。可愛いから。絡んでは、欲しくないな。ユウの、絡みは性質が悪い。
※※※
待て。ちょっと待て。さすがに、それはない。
頼んだカクテルを飲み干したユウは、次の酒を頼んだ。「おじさん、ジョッキで!」と。
「ユウ!まだ飲むのかよ?!」
「当然だろ?」
「酔うぞ!お前、酒に弱いんだから。帰りどうすんの?」
俺は一人暮らしをしている。ユウは、大学が実家からは遠いため、寮で。俺の家と、寮の方向は正反対。送っていくなど俺は考えない。
「はぁ?帰り?泊るし!」
「え!?」
「泊めてくれないの?」
酒が入って潤んだ瞳と高揚した頬。幼馴染だ。耐性はある。が、彼女いない歴…1年チョイの俺には堪えた。
「~泊めるよ!でも、ここまで!!」
「ええ~~?」
不満そうにしているユウから酒を取り上げる。しかしジョッキが飲める筈がない。俺も何だかんだ言って酒に弱い。いや、多分普通。困っていると、
「ねぇ」
「……何」
「本当に、ダメ??」
「!!!!!」
今日は、甘えん坊になったらしいユウ。
ただでさえ無自覚に色気を出しまくっているというのに、さらに出してどうすんだ。つか、これを大学の男子寮に一人で帰したら絶対に襲われる。
「……、家で飲むか?」
とりあえず、ユウをジロジロと舐めるように見る視線から外した方がいい。
「家?…ん」
おいっ!!そこで、照れくさそうにするな!




