第0話 気がつけば、誰かの声を探していた
この話は、
「消えていく声」と「忘れられない記憶」をめぐる青春ファンタジーです。
今回は本編の前に、予告編のような短い導入を掲載しています。
物語の雰囲気だけでも感じてもらえたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
気がつけば、誰かの声を探していた。
理由なんてない。
ただ、胸の奥がざわついて、
“呼ばれている”ような気がしただけだ。
放課後の教室は、夕陽が差し込んで机の影を長く伸ばしている。
誰もいないはずなのに、俺はゆっくりと顔を上げた。
……静かだ。
風の音だけが、窓の隙間から入り込んでくる。
それでも、確かに聞こえた気がした。
「……聞こえる……?」
一瞬、心臓が跳ねた。
今のは、風じゃない。
幻聴でもない。
誰かが、俺を呼んだ。
なのに、教室には俺しかいない。
「……誰だよ」
返事はない。
けれど、空気がかすかに震えたような気がした。
その瞬間、忘れていたはずの記憶が胸の奥で揺れる。
夏の海。
白いワンピース。
笑っていた誰かの横顔。
でも、名前が出てこない。
「私、消えかけてるの」
声がもう一度、今度は耳元で囁くように響いた。
俺は息を呑んだ。
ここから、俺と“声だけの少女”の物語が始まった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
悠斗と“声だけの少女”の物語は、まだ始まったばかりです。
少しずつ、ふたりの過去や“声が消えていく理由”にも触れていきます。
続きも読んでもらえたら嬉しいです。
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