第22話
膝が、
崩れた。
【因果補正:反動】
【精神負荷:限界超過】
……来たな。
世界が、
遠い。
音が、
水の中みたいに歪む。
「おい……!」
カイルの声。
だが、
焦点が合わない。
【認識低下】
【意識断絶まで:近】
――闇カジノで、
何度もあった。
勝った直後に、
一気に来る反動。
「……動くな……」
俺は、
それだけ言った。
だが――
身体が、言うことを聞かない。
次の瞬間。
床から、
黒い“線”が伸びた。
空間が、
裂ける。
そこから、
人型が現れる。
顔はない。
だが、
“こちらを知っている”気配だけがある。
【刺客:確定】
【目的:回収】
「伏せろ!!」
リゼが、
叫ぶ。
遅い。
黒線が、
俺の首元へ――
割り込んだのは、
エルだった。
「っ……!」
結晶ごと、
胸を貫かれる。
肉が裂け、
血が噴き、
骨が砕ける音。
「エル!!」
彼女は、
それでも笑った。
口から血を溢しながら。
「……ほら……
調整役……でしょ……」
【致命傷:確定】
リィナが、
叫びながら魔力を放つ。
黒線が焼け、
刺客の腕が崩れる。
だが――
完全には消えない。
「……クソ……」
カイルが、
血だらけの肩で立ち上がる。
「賭けが、
重すぎだろ……」
リゼは、
エルを抱きしめる。
「……やっぱり……
私だけじゃ……
足りなかった……」
エルの目が、
俺を見る。
「……次は……
あなたが……
庇われる番……」
……。
視界が、
完全に暗くなる直前。
【因果補正:最終自動発動】
【代償:未確定】
――次に目を覚ました時、
何かが、
確実に失われている。
それだけは、
分かった。




