第14話 配達依頼①
翌日
「う~ん……やったことないようなやつを経験してみるのもいいかもな……」
というわけで討伐依頼も採取依頼もやったことのある蒼士が選んだのは配達依頼だった。
「こちらの手紙をフォーランド公国まで届けるのが依頼内容となります」
そう言われて蒼士は手紙を受け取る。
「フォーランド公国ってどうやったらいけるんですか?」
「フォーランド公国にはここから馬車で7日以上はかかる距離にあります。馬車を購入するか乗合馬車を乗り継ぐかしていかれるのがいいかと思います」
「ありがとうございます。行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
こうして蒼士は7日以上という遠出を行い異世界で初の他国へと向かう。
「7日以上か……簡単な旅行のセットとか買わないとは……」
幸いとして昨日の雪山の依頼の報酬でそこそこもらっていた蒼士は雑魚寝ではない個室の宿屋に泊まっても余裕があった。
「やっぱり世の中金だな」
異世界にきてお金の重要性を再認識した蒼士はカバンを購入しそこに下着や保存食などを購入。
「本当はいろいろといるんだろうけど……まあいいだろ」
というわけで蒼士は乗合馬車を目指す。
「さすがに馬車を購入するお金も操縦する腕もないしな」
フォーランド公国方面へと行く乗合馬車に乗せてもらう。そこには運転手のほかに赤ちゃんを抱く若い夫婦と4人の冒険者パーティーがいた。
「それでは簡潔に自己紹介をしたいと思います。私はこの乗合馬車の運転手をさせていただきますロイ・エスマックと申します」
中年の運転手が自己紹介を始める。
「この馬車は3日ほどをかけてエレクトロ王国王都へと向かいます。それでは出発いたします」
蒼士は王都まではいかずに明日に隣の街で乗り換えることになっている。
パカラパカラパカラパカラ
馬車が走り出す。すると若い夫婦の腕に抱く赤ちゃんが泣き始めた。
「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」
それに若い夫婦が慌ててあやす。
「よしよ~し。ほらいい子いい子~」
「すいません。うるさくしてしまって」
乗り合わせた蒼士や冒険者パーティーたちに謝罪をする。
「大丈夫ですよ。赤ちゃんは泣くのが仕事って聞きますし」
そう蒼士が言うと冒険者パーティーの女性も同じことを言う。
「そのとおりよ。なにも謝ることはないわ」
女性がそういうと弓を持った大柄で筋骨隆々な男性が続く。
「私たちにもいつかは子供が欲しいなって言ってたんですよ」
そう言って女性の肩を抱く男性。それを仲間の男女が説明する。
「このふたり夫婦で冒険者やってんすよ。あ、ちなみに俺とこっちのは姉弟なんで」
「こっちのって言うな。腹立つから」
パシン!
そういって姉と紹介された女性が弟の頭をはたく。すると先ほどまで泣いていた赤ちゃんが笑い出す。
「キャッキャ!キャッキャ!」
そこから蒼士たちも簡単に自己紹介をする。
「私はパーティーリーダーをしているレイシア・ベルモンドよ。そしてこっちの大きいのが私の夫のボンガ・ベルモンド。そしてあの姉弟の姉がオーリン・コーンスパーで弟がゼネック・コーンスパー。みんなシルバー級以上の冒険者パーティーなの」
「俺たちはシルバー級だけどレイシアさんはゴールド級なんだぜ!」
「もうすぐミスリル級に昇格するんじゃないかって言われてますもんね?」
「私たちは討伐依頼を達成して王都に帰還途中だったんだよ。馬車が魔物に壊されちゃってね」
まさかのミスリル級に迫る実力者がいた。それに若い夫婦も道中は安心だと胸をなでおろす。そして次は蒼士の番となる。
「俺は最近冒険者になったソウシ・フジミネです。昨日ブロンズ級に昇格しました」
「へえ?少ない期間でブロンズ級に昇格するなんて強いのね?」
「そんなことないですよ。結構苦戦ばかりで。俺も早く強くなりたいです」
こんな感じで道中は何事なく馬車は進んだ。そしてみんなで野宿して翌日の昼に隣の街に到着しようというときに俺たちは事件に巻き込まれた。
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