表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国太平記 〜大きな楠の木の下で〜  作者: 流星群
上洛編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/63

第61話 参内Ⅲ

 ※1どうしてもこの設定で物語を執筆するに当たって、帝との遣り取りは避けては通れない物でした。遣り取りの中で、失礼に当たらないように物語を構成したつもりですが、捉えようによっては失礼に当たる部分があるかも知れません。ですが天皇陛下や他の皇族方を貶める意図は全くありません。以上、ご留意ください。


 ※2春齢女王について調べると、正親町天皇との関係が父親だったり、妹だったりします。私ではどちらが正しいのか判断出来ませんでしたので、この作品では父親とさせて頂きます。以上、宜しくお願いします。


 ※3現在執筆の時間を余り取れない為、投稿を優先して話が短くなっております、ご了承ください。


◎山城国・御所 楠木正顕

 1560年 2月下旬


 彼女の登場と言葉の内容は全く想定していなかった物で、動揺で思考が一瞬、停止してしまった。それでも何とか持ち直し、冷静を装って殿下に視線を向ける。殿下は満面の笑みで俺を見つめ、そして帝へ視線を向けられる。


「陛下…春を楠木様に降嫁させてください。」


 殿下の突然の申し出に、帝も公卿もそして当然俺も驚きを隠せない。


「は、春…突然何を申しておるのだ?神子殿は既に正室を娶っておるのだぞ?」


「私は落飾らくしょくしたくはありません。落飾すれば一生寺を出る事は叶いません。落飾を回避できるのであれば、側室でも構いません。」


 皆が唖然としている中、爆笑する奴が一人。


『アハハハハッ!貴方良いじゃない…気に入ったわ。アマテラス、丁度良いんじゃないかしら?』


『えぇ、そうかも知れないわね。でもその前に…確認したい事があるので、正顕と春以外は席を外して貰えるかしら?』


 女神の願いを拒否できる者はこの場には居ない。帝の指示により半刻ほどの時間席を外す事となった。そしてこの場には俺と殿下、二柱の女神だけとなる。


『…貴方、さっき彼の事を()()()…と呼んでたましたね。私たちは貴方を呼んだ覚えはないし、召喚の儀式も存在しない世界で、更にこの世界の管理者である私の警戒網をすり抜けて転生するなんて、本来あり得ないのよ…いったい何者なのかしら?』


 アマテラスが殿下に対して詰め寄る。


「私にも分かりません。私は現代…西暦2025年の東京にいました。そこでヘアメイクの仕事を本業にしてたんですけど、その日は終電で家に帰って、眠気の余りそのままベッドに倒れ込んだとこまでは覚えてるんです。けど気が付いたら赤ん坊になってて…。それから日々を過ごして行くうちに、過去に戻って皇族に産まれ変わったところまでは理解したんです。それからいろんな人に話を聞いて情報を集めてたら私の知る歴史との相違点が出て来て、そのほとんどが楠木様絡みだったので、もしかしたら私と同じ境遇の人じゃないか?と思って、何とか会えないかと思っていたんです。そうしたら、公卿たちの会話から楠木様の参内の事を耳にしたんです。」


 彼女の話に嘘は無いだろう。しかし、管理者である神の目を搔い潜って転生する事は可能なのだろうか。疑問は尽きないが、今、重要なのは彼女の降嫁の件をどうするのかと言う事だ。


「このまま落飾して、尼になるなんて嫌なんです。お願いします、助けて下さい!」


 彼女の気持ちは理解出来る。この時代の然も女性の行動はかなりの制限がある。それが皇族ともなれば猶更の事だ、しかし…。


「けどいいのか?出家しない為だとしても、初めて会った俺に身を委ねる事になるんだぞ?それに俺は己の立場と、スキルの件もあってこれからも側室が増えて行くだろう。現代の感覚を持つ貴方に耐える事が出来るのか?」


「それについては問題ないわ。本物の神子でその上、絶世の美男子なんだもの…ハッキリ言って一目惚れよ。それから側室についても問題ないわ。誰でも良いって訳じゃないけど、余ほど意地悪な子じゃなければ大丈夫だと思うわ。大体そんな事、この時代に転生したと判った時点で覚悟はしてたわよ。それにここまでのイケメン、独り締め出来るなんて思ってないわ。」


 なるほど、この口調が本来の話し方か。現代人っぽい口調で、少し懐かしく感じる。しかしこれだけは確認しておかないといけない。


「最後に幾つか確認させてくれ。一つ、正室は市のまま変えるつもりは無い、それどもいいか?」


「ええ、大丈夫よ。そこには拘りは無いわ。」


「次に、俺にはスキルがある。」


「そうよ、その事を聞きたかったのよ。何で貴方はそんな力を使えるのよ?ラノベを参考にするなら、私にも使えていいはずなのに…。」


「あぁ、それはな、俺は前世で異世界へ勇者召喚されて、十年以上過ごしたからな。そこで…」


 俺はこれまでの事を搔い摘んで説明してやった。


「…そう…大変だったのね、貴方…。」


「…っと、話を戻すぞ。俺はいくつかのスキルを持ってるが、その中の一つの影響で、俺の嫁さんは俺と寿命が同期する。」


「…じゃあ、貴方が死ねば私も死ぬってこと?」


「そうだ、けど逆を言えば俺が死ななければ、お前は死なない。けどこれは寿命の話で、不死身になった訳じゃない、そこは今までと同じだ。で、その寿命だが、今の俺の寿命は500年以上だ。」


「え?…」


 突然の告白に彼女の思考は追いついていかない。仕方なく俺が事細かく説明をするとラノベが愛読書の一つであるらしく、なんとか理解してくれた。そして結論から言うとその説明を聞いても彼女の気持ちは変わらなかった。


 俺としても転生者である事を差し引いても、可愛らしい彼女を気に入り始めていた。


「よし…それじゃあ、アマテラス…頼むぞ。流石の陛下も皇祖神様の願いを無碍にはされないだろう。」


「…仕方ないわね。乗りかかった船だし、何とかするわよ。」


 後の事はアマテラスに任せる事にして少しの間、春と現代の日本の事についての話題に花を咲かせた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ