ラビィが誘拐された日 2
ラビィは、ただいま本の中で薄っすらと意識を保ちながら外を見つめている。
小さい少年に拾われたラビィは、そのまま少年の腕の中で何処に連れて行かれている。
元はといえば知らない男にポケットを切られそのまま落ちながら盗まれたしらしいが、ラビィ本人も『あれ?』っていう間のひと時だったため本人にあまり誘拐された自覚がなたい。
しかし、そのまま盗まれるラビィではない。
袋にそのまま投げ込まれたラビィは、
『ふふふ。可愛いからって私を連れ去ろうなんて100年はやいです。』と、
いそいそと、小さなファイヤーボールを作って底を燃やし破りでたのである。
なんたって、一応初級だが魔法の魔導書なのだから。
『私を捕まえてごらんなさーい。』
なにを読んだのかそんなことを呟きながら袋からでるラビィ。もちろんちっちゃい声で
しかし、ちょっと誇らしげに脱出したものの困ったことが。
『あれ?和樹どこに行ったの?』
そこは、まったく知らない場所。
もちろん和樹が何処に行ったわけではなく。ラビィが連れ去られたため和樹が見当たらなかっただけで和樹に非は、ない。
しかし、ラビィには、知ったことではない。
『うぅー・・・和樹・・・』
置いてくなんて酷い所ばかりに泣き出した。
態度だけは一人前のラビィだが、寂しがり屋なのだ。知らない間に一人になってしまったという寂しさが襲ってきてしまったらしい。
そういえば産まれてから?
このかた一人で行動することが無かったラビィは、自分のちっちゃくした魔導書を抱き抱えながら座り込む事になった。
今の所。ラビィの頭には、自分で探すっという言葉はない。
そんなラビィに忍び寄る影ならぬ。甘い匂い。
匂いを嗅ぐなり、え?どこ?っと食欲という欲求に思考を完全に切り替えたラビィは、よだれを垂らしながら甘い匂いを目指し羽ばたいた。
探すは、甘い匂いの食べ物。
パクパクと食べる音に砂糖の焦げる甘いような香ばしい匂い。
『ぎゅるるるるる。』
さっき大量に食べたばかりのお腹が空腹を知らせる。
きっと、ラビィのお腹は壊れているに違いない。
やっと、探し当ててお菓子を見つめていると、小さい男の子が、ラビィを見つめ返していた。
『天使さま?』
確実に勘違いである。しかし
『まあ、そんなもんよ。』
つい、つぶらな瞳で見つめられ、いや、違った。
甘い匂いに頭をやられ、堂々と嘘をつくラビィは、羽根が生えてるんだから似たようなもんでしょ?的な発想だ。
『これ食べる?』
差し出されたお菓子。
目の前に置かれたら、食べなきゃダメでしょ!!
そんな家訓を勝手に掲げているラビィに遠慮っという言葉は、ない。
パクッと口に入れると、カリカリの砂糖の焦げた甘さが口の中に広がる。
「おいしー。」
「まだたべる?」
同じ釜の飯を食った仲ならぬ。同じ菓子を食った仲の2人は
「たべるー。」
「天使様うちくる?」
「いくー。」
そんな掛け合いで、勝手に意気投合し、ラビィは、即決する。
まさにお菓子に勝るものはない。
しかし、ラビィは、道すがら思い出す。
あれ?なんか忘れてるような・・・。
でも、忘れるくらいだから忘れてもいいことってことよね?
うーん・・・まあ、いいか。
全然思い出す気も無かったラビィは、本気で忘れている。
『知らない人についていかない』
と言って連れてきてもらった和樹との約束と言う名の忠告と、一緒に来た和樹のことを。
しかし、ラビィは、お菓子欲しさについていく。
そんな能天気なラビィを探す和樹の捜索は今始まったばかりだ。
次3日後です。