ラビィが誘拐された日 3
「ラビィ。それって迷子って言うんだよ」
出逢った少年クオンにラビィは、今たった一言で打ちのめされた。
『ち、違うもん。ラビィは、動いてないから和樹が迷子なんです。』
しかし、クオンはそんなラビィの強がりに追い込みをかける。
「迷子は、みんなそう言うよ。」
侮れない少年である。
ガーンっと聞こえてきそうな背景を背負ったラビィに追い打ちをかけるクオンは、クスクスと笑いながら、ラビィを見ている。
クスクスと笑うクオンのお菓子の家ならぬお菓子がある家は、もうすぐ夕方だというのにクオン一人だ。
部屋には、クオンがギリギリ届く上の方に乗っているランプが、部屋を照らしている。
この部屋にはクオンがいつも一人でも大丈夫なようにいろんなものが子供の届く範囲に置かれている。
ラビィが今食べているお菓子は手作りでクオンのため母親か、誰かが作ったのだろうか。少し型が歪で和樹が作るものによく似ているような手作り感がでていて美味しい。
しかし、もう夜もふけるのに母親は、まだ帰ってこない。もしかしたら、いつも一人なのか部屋には、一人で寂しかったのだろうクオンが持つには少し幼い感じのぬいぐるみが少しボロボロになってもベットの脇においてあった。
今日は、まだ帰ってこない母親の帰りを待つ時間をラビィと過ごせて嬉しかったのかクオンは、ラビィをたくさんお菓子でもてなしてあげた。
『そろそろ帰らなくちゃ』
その声で少しビクっとなるが、悲しい素振りは見せず
「ラビィ一人で帰れるの?」
っと聞き返す。
『だ、大丈夫なのですよ』
しかし、反対にラビィは、図星を指され、変な言葉使いになっているが、アホ妖精の意地か?虚勢を貼るのを忘れない。
「僕が送ってあげようか?」
その言葉に待ってましたっとばかりに
『本当に大丈夫なのだけど、そこまで言うなら送ってくれてもいいの』と
ちょっと、偉そうなラビィは、紳士的なクオンにより、二人でラビィを送るため、家を出る。まだ、少し暗くなったばかりの道を二人で歩くことになった。
しかし、二人の後をつけるものがいることを2人は知らない。
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その頃和樹は、伝書鶴で、ある程度聴き終わった男の特徴をマードックに報告している。
「男の身長は175〜180くらい。頬が少しこけていて髪は茶色。少し長めのローブ。要注意人物かも・・・・」
報告を一通り喋り終わり今んとこ、これくらいでいいかな?と疑問に思いつつ。今は、これだけしか情報がないってことで報告を終わらせる。
「なんだそれ?」
見つめていたジークが鶴を指さしながら聞いてくる。
「魔導具だ」
もちろんジークはそういう答えは求めてないんだろうが仕方ない。和樹に答える気がないのだ。
その間にも、伝書鶴は、パタパタと動き出し空にかけていく。
「いや、それどんな魔導具だよ」
「電話がないからね・・・保険だよ」
異世界人じゃないと、わからない単語で曖昧にごまかしつつ、一瞬考え、あと一応一箇所そう思いまた鶴を飛ばしている。
だが、ごまかせては、なかったようでジークは、深いため息をはく。
和樹は、それを横目に見ながら気にした風もなく。
ラビィを助けるため、和樹は、考える。
《何が必要か?》
自分に自答しながら、そう考えた時。
《一番必要なのは?》
「さて、とりあえず情報収集から始めようか。」
《情報が足りない。》
そう結論付けた。
求める情報を集めるため和樹はまた考える。
「三人目ご案内。」
そんな緊張感のかける言葉を笑顔で吐きながら開かれたドアからは、声の主と顔が引きつらせた男が、縛られたまま無理やり引き摺られるように連れてこられている。
中の様子は異質だった。
捕まった男は、部屋を見渡す。
いまいち自分の状況がつかめないからだ。薄暗く窓には暗幕がつけられ壁の隙間から漏れる光に中が少し見える程度の室内は、乱雑としているが、よく見えない。
しかし、よく見ようと、目を凝らしていると、目が慣れていき椅子に何かが乗っているのがわかる。
人のような形をしたものがある。よく見えないがまったく動いていないのは、わかる。
もしかして、死んでいるのか?
男はそう思った時この世のものとは思えない悲鳴が奥の布で仕切られた部屋から聞こえている。
『お願いだ。俺じゃない』
『本当だ。本当になにも知らないんだ』
そんな必死の訴えに関わらず続けざまに『ギャァァァァ』という声が聞こえてる。
男は、そんな声を意識しないようにして、自分を連れてきた男をみる。
いいカモだと思った。
商人風だが、護衛もつけずに馬鹿なのかわかりやすく金の入った袋を下げていた。それなのにそんな優男にいつの間に何故か捕まってしまった。どうやって、捕まったか今でもわからない。何故か財布を握った瞬間意識が飛んだのだ。そして、気がついた時には縛られていた。
その商人は、なにを考えているかわからないが、怒りに満ちた目は奥の部屋を向いていた。
「まだ見つからないようですね・・・。」
そう呟かれた言葉は、小さくやっとで、聞き取れるくらいだった。
「さて、貴方に選択させてあげます。」
商人は、こちらを振り向くと微笑み、男の目を見据える。
「私の本を盗んだ人を探しているのですが、なかなか見つからないんですよ。」
淡々とそう話される声は、何故か冷気が漂ってくるように寒さを感じる。
「俺は、やってない」
男は、すぐに即答する。なんたって、今日は商人風の男が1回目の仕事になるはずだったのだから。
しかし、男は、気にした風もなく続ける。
「あなたじゃないのはわかってますよ。ただどうしてもすぐに必要でして、だからこうやって探してるんですよ。何か知りません?」
「俺は、何も知らない」
「別になんでもいいんですよ?」
少しおどけてみせる商人に
「ああは、なりたくないでしょ?」
と言われ言われた方を見ると、さっき見た
椅子に座っている人のようなものをさしていることを悟る。
「な、なんでもいいんのか?」
おれは、まだ死にたくない。
何故かどんどん冷えていくような寒さと怖さで唇が震える。
「ええ、あそこに入りたくないのなら」
『ギャァァァァ』
その声が合図だった。まくしたてるように喋り出した。
「こ、この頃裏通りで見かける怪しいやつらがいる。ここいらの奴らはみんなある程度顔見知りで誰が誰の下にいるとかわかってんだ。けど、この頃見ない奴らがうろちょろしてなにかを嗅ぎまわってるらしい。
だから、きっと、この地区を締めてるやつが何人かで絶対監視してる筈だ。いつもそうだから、それに盗まれたの本なんだろ?俺たちは本なんてとっても読めねぇし。
持ってても、わざわざ盗んでまで取りゃしない。ああいうのは、丁寧にやらねえと足が付く。
だから、たぶんそいつらだ。
言っとくが、お、俺の仲間は違うからな。それに俺は、仲間は拷問されても売らねぇからな」
震える男は早口でまくし立てて少し落ち着いたのか、商人風の男を睨む。
「ありがとう。それだけで十分だ。ただ少し寝ていて貰いますけど・・・」
商人風の男はそういうと、スリープの魔法をかける
「え?」
男はそういうと、そのまま商人風の男に倒こみそのまま意識を手放した。
商人風の男は、帽子を取ると、ふぅといきを吐く。そして、意識を切り替えると。
「さて、もういいですよ。ジーク」
さっきまでの声とは違う明るいトーンでそういうと、パンパンと手を叩いて知らせる。
すると、ジークと呼ばれたジークフリートが奥からでてきた。
「本当迫真の名演技ですね。あの叫び声。舞台女優も真っ青ですよ」
そんな冗談を交えながら、倒れ込んだ男をわたす。
「うっせぇ。しかし、こんな短時間に良く考えたな」
男を受け取ったジークが感心したように呟く。
「イタズラ少年のちょっとした遊び心ですよ。」
「あれが、遊び心とか」
ジークは、感嘆する。ジークが言った考えたというのは、さっきまで男を震えあがらせていた行為もだが、自分がスリの囮になって、別のスリを捕まえてきて、こんな藁や布で人型の人形を作り暗闇と認識阻害の魔法陣で簡単に人に誤解させ恐怖を煽り、次に、しゃべる時は無演唱で足元から冷風をおくって寒さで思考力を低下させつつ、恐怖で身体の芯から震えていると認識させた。
和樹が言った暗い所は余計人の恐怖を煽るっていうのは、本当らしくなにをやっているかわからないこの暗がりで、隣の部屋で別のやつの叫び声が聞こえることで想像心を掻き立て恐怖を煽る。という作戦でやっていたのだ。
「1人目でうまくいってよかったですよね。」
っと、緊張感もなくなるような軽いトーンで言われる言葉を噛み締めながら。
本当に被害者が一人でよかったと思うジーク。
しかし、暗幕を外すと現れる。ヘンテコな人の形はしている人形に「よくこんなのを暗闇では人に見間違えたもんだ。」と呟くと「暗闇で、しかもあんな叫び声を聞けば勝手に勘違いして、縛られて逃げれないと言う逃げ場のない恐怖で通常の思考力は、ないですよ」と軽く答えをもらったが、俺にはそんな恐怖理解したくない。っとばかりに気になっていた別の質問をする。
「ついでだが、商人に変装する必要があったのか?」
「ああ、だって今度街歩くときにいつもの格好だと目をつけられちゃうでしょ?だから、少しでも印象を変えとけばわかりませんからね」
いや、そういう理由だったのかと思いながらなるほどっと思ってしまうくらいに印象が変わっている。
「それも遊び心が成せる技か?」
「そうですね。よくイタズラして怒られたもので・・・」
少し遠くを見つめるような雰囲気をかもしだしつつ。話を打ち切る和樹は、どうやら次の目的地は決まったようだ。
「さあ、ある程度場所もわかりましたし、彼にはかわいそうですがここでちょこっと寝ていて貰って、先を急ぎましょう。」
そういって、人型の人形を引き裂いてそそくさと、周りのかたずけを話しながらやっていた和樹は、嫌がらせのように人形にきせていた服をかけてやっている。
「おい。それは・・・・」
「なんです?風邪ひいてしまいますからね。もう一枚いりますかね?」
「いや、・・・急ごうか」
俺だったら、死んだと思っている人が着ていた服を掛けられたくない。
そう思いつつ。突っ込むのをやめた。
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「ラビィ危ないよ」
『大丈夫。大丈夫』
ちょっと、人通りがない道をいく2人。
ラビィは、ちゃっかり人がいないことをいい事に本の外に出て初めて通る道を眺める。
道の先々にぶら下がる外灯は、一軒一軒の家の前に1つずつぶら下がっていて自分たちが使う道を照らし出している。
一つ一つ形が違うカラフルな外套は、個人個人の趣味がわかり、色とりどりで美しい。
そして、夜はまったくと言っていいほど外に出たことがないラビィには新鮮だった。
『ふふふ。綺麗。』
そんな景色をみてラビィがじっと出来るわけがなく。
夢中でクルクルとクリスの周りを飛び回り、楽しく話すラビィは、忘れている。和樹にあんまり目立つ行動をするなっと言われた意味を
それは、ラビィが光に釣られてクオンから離れた時だった。
『ダークマインド』
影から出る無数の黒い手。
『え?』
ラビィを捕まえようとする黒い手
「ラビィ!あぶない!!」
声を聞き振り返ったラビィが見たのは、ラビィを突き飛ばすクリスに襲い掛かる無数の黒いの手とラビィを捕まえようと追いかける違う黒い手だった。
ラビィは、突き飛ばされながら、またどこからかきた上へと巻き上がる風に吹き飛ばされながら、ラビィは魔法を唱える。
『ライトニング』
ラビィから、放たれた光は、クオンの頭上で神々しく輝き、影の中から、出ていた黒い手が光によりかき消されるが、後ろから唱えられる「ウィンドカッター」の声で光がかき消される。
その間にクオンは、ファイヤーボールで壁に叩きつけられて、気を失う。
『クオン!!』
そう叫ぶ声は、クオンには、もう届かない。
回復させなきゃ。そう急かす心を邪魔するかのようにその隙をつき、ラビィは、後ろからの魔法を打ち込まれて、倒れ込んだ。
這い蹲ってでもクオンの元に行こうとするラビィにゆっくり近づく人影と、掴もうと迫る手に、抵抗出来きぬまま。
すこしでも、死なないようにと今あるだけの力を込めて回復魔法をかける。
魔力を使い果たしたことで薄れゆく意識の中。ラビィは、呼ぶ。
『・・・・助けて・・・和樹・・』
ラビィは、意識を失った。
次3日後です




