ラビィが誘拐された日 6
机を借りて三人でテーブルを囲み情報を整理しながら、クオンに話を聞く。
「男の顔はみた?」
「ううん。顔は仮面をはめてて見てないけど、こっちじゃ見ない剣をさしてた。」
「剣?・・・どんなのかなぁ?」
「なんか平たくて曲がってて、こんな感じ」
そう言って、軽く描き出した絵は中国の武器柳葉刀ににている。
こっちでも、やっぱり武器は国によって違うのだろうか?
「ジーク。こっちにこんな武器持ってるとか作ってる人っているのかなぁ」
ジークに見せつつジークの剣をちらりと確認するが、やっぱり違うみたいだ。
「こりゃあ、北のあっちの国だな。こっちじゃ、こういう剣はつくらねぇよ。持ってても手入れが違うからな」
すんなり、出てきた情報にほっとしつつ、他国の武器を持っているっという事は他国の人間の可能性があるということだ。
他国にまでラビィの情報が?
いや、早くないか?いや、遅いのか?
こっちの文明がどんな風に発達しているか俺はこの国しか知らないからまだわからないけれど、他国にラビィを連れて、出られたら・・・。最悪も想定しておかないといけない
「早くしないとやばいかも・・・」
「え?」
軽く呟いた言葉に反応を返したジークに
「いや、なんでもないよ」と返しておく。
まだ確定したわけでは、ない。
「おい。」
「ちょっと、頼みがあるんだ。もう、鶴がなくなっちゃって、このコインを持って、近くにいる兵士のところに行ってもらっていい?」
度々報告と、称して何度か飛ばしていたんだけど、ついに無くなってしまった。
誤魔化すようにクオンに話を振ると、鶴?と首を傾げていたが、すぐに用件を理解したらしく
「兵士さん?」
と聞き返してきた。
「うん。ジークも危ないから一緒に行ってもらっていいかな?」
そういうと渋い顔をしながら俺を睨む。
「おい。それなら俺一人で」
「いや、一応この子も襲われてるし、家に帰して何かあっても困るし、それにこのままここを借りておくのも悪いしね。」
そう言いつつ、入り口のところに立っている男を見る。
一応ずっと、監視されてるし、その中にいるのも気不味いだろうし、兵隊さんにちょっと、預かってもらう。
母親も今日は帰ってこないって言ってたし。一人じゃ不安でまた寂しくて泣いちゃうかもしれないから。
睨んでくるジークを無視しつつ
「これを見せて、この手紙をあげて。」
首から下げていたコインをそのまま渡すと、手紙を三通クオンに渡す。
「うん。」
「できるだけ早くがいいんだけど大丈夫?」
そう聞いていると、このまま無視されるだろうとわかったのかジークが割り込んでくる。
「わかったが、お前はどうするんだ。」
「ん?ちょっと、様子見かな?」
「様子見?」
「これから、あのお兄さんに敵さんのところに連れて行ってもらう」
そう言って、入り口に立っている男を見る。
「なんか作戦があるのか?」
「いや、全く」
「は?」
「今んとこ、ラビィの無事がわかればいいしね」
「おい」
「まあ、早く行こう」
なんだかんだでジークを部屋から押し出しうやむやにしつつ、和樹は、苦笑する。
今日初めてあったのにジークは、本当心配性だ。あんな親切にして人に騙されないんだろうか?っとくだらないことを二人と別れた。
別れて少し歩く。
「おい。行くぞ」
ぶっきらぼうな男が、先導してくれた先は、廃墟が密集してる地帯。
裏路地より治安がわるそうな雰囲気がただよい。暗い目をした人々が端々で座り込んでいる。
「定番だなぁ」
「定番?よくわからねぇが、俺は帰るぜ。あんたが何しようが構わないが俺たちを巻き混むなよ」
「ええ。ありがとうございます。助かりました。」
「お、おう」
笑顔で返すと何故かどもりながら男は、そのまま帰っていった。
さて、どうしようか・・・。
俺は、あたりを見渡し、
「あの・・・。服交換してくれません?」
と近くのホームレス風の男に声を掛けた。
次7/2です。




