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激戦

受験生の中3が書いた戦い形の話です。

勉強もあって不定期ですが連載していきたいと思います。

初めての投稿なので温かい目で見てください・・・

尚、この物語はフィクションであり、登場する人物、団体などは... <以下:省略> 

 「じゃあ、イメージするだけでいいんだな?」

 「うん。普通はそれだけでできるよ~。」

 いつものテンションを取り戻した結の指導を受けながら、漣は出番を待っていた。

 秘密基地的なポジションになりつつある北山家のリビングは大勢 <以下:数十人> が集まることは出来ないが、それなりの広さを持っている。2人が立って体を動かしても、窮屈には感じなかった。

 龍吾は遠くの椅子に腰掛けている。時々アドバイスをしているので完全放棄ではないようだが、積極的とは言えない。漣は結に任せたようだ。

 「漣、準備はいいか?」

 だから、いきなり話しかけると少し返答が遅れてきた。それでも驚かないあたりは最近の経験の賜物だろうか。結やりさには程遠いが。

 「おう、ばっちりだぜ。」

 動きやすい服装 <以下:学校指定のジャージ上下> に着替えていた漣は親指を立てて、腕を突き出す。(もちろん指は下にではなく上に)

 それに対して不安を覚えたのは龍吾だけではないようだ。


 


 昨日と変わらぬ格好 <以下:サイズやデザインが同じという意味> で進むミカドとリンナは、リサが山にいるのを感じた。

 異能者にとって山登りは苦にならないので、体力を削る作戦は通用しない。

 それなら、何故山を戦闘の場所に選ぶ。何か別の狙いがあるのか。

 少なくともミカドはそう思ったのだが、その疑問は一瞬にして打ち消された。

 「“両道”が物理改操ぶつりかいそうを出来ないのは本当のようだな。」

 「ええ、司祭のデータ通りですね。」

 疑問を打ち払ったのは辺りに散らばる昨日の傷跡と1つの情報 <以下:リサが物理改操を使えないこと> 。

 数年前に裏界で普及した物理改操。形や大きさに個人差がある脳で同じ能力を開発するのは不可能とされていたが、唯一可能となったのが物理改操だ。(記憶を消す改操とは別の能力で、記憶をいじる改操は全員使えるわけではない)

 物理改操は異能によって起きた物理的違和感を消す能力。簡単に言うと、異能で破壊した建物や殺した一般人を治すということ。現在ではほとんどの異能者が使えるようになり、闘いの終了時に破損物が元通りは当たり前だ。

 それが行われてないということは、リサが物理改操を使えないというデータの裏づけ。

 このデータは異能者のほとんどが知っている。物理改操を使えないのが珍しく、他に例のない事態だからだ。(リサが強者なことも理由の一つだが)

 ただ、使えないといっても普段はその場にいる別の異能者が物理改操をするのだが、今は別の異能者 <以下:龍吾と小菜木> が出来ない状況。破損した住居や道路は仕方なく放置というわけだ。

 話を戻すと、リサが戦闘場所を変えたのはこれ以上荒らせないから山でやろう、の意思表示。

 ミカド達は場所によって有利不利が決まらないし、リサ達にも関係ない。気にすることはなかった。

 「司祭は敵を倒すことだけに集中してくださいね。」

 たった今言おうとしたセリフをとられた中年は、相槌を打つのが精一杯で、その後の応えは見つからない。


 


 昨日と同じ違和感が山に入ってきたことを感じたリサは、それでも微動だにしてなかった。

 仁王立ちの体制を崩さず、瞳を閉じている。

 敵が近くにいるのに、警戒しなくていいのかと思うかもしれないが、りさの能力は“目示”。自分の瞳は閉じていても、妖精の瞳が敵を捉えている。十分に戦闘の準備は出来ていた。

 否、もう戦闘を始めていた。

 無数の妖精が四方八方に飛び回り、辺りを埋め尽くす。木の影から上空、住宅地までに拡がり完全な包囲網ができていた。

 自分の状況を再確認したリサは、瞳を閉じたまま宣言する。

 「昨日の借りを返させてもらうぜ。“天罪"、“六束”。」

 言葉は音量より威圧感の方が大きかった。


 


 街灯なしの暗き山に足を踏み入れたミカドは、その足で地面を蹴り、後方へと退いていた。

 数秒前まで体があった場所には、新築だと思われる一軒家が落ちている。

 リサの能力“目示”と“移変”による先制攻撃だった。

 その後も続く建物の落下をかわすミカドの横には、いつものようにリンナが、いなかった。リサ達の予想通りミカド単独での侵入のようだ。

 「あいさつなしに始めるとは、とんだ礼儀知らずだな。」

 この状況を見ているであろうリサへ向けた言葉に、返答が返ってくることはなかったが、その代わりに怒涛の攻撃が続けられた。次々に色々な物が落ちてくる。電柱に家といったお決まりの物からビルや店まで種類の豊富な落下物だ。

 その返事(?)をかわしながら進み続けるミカドの後ろに大量の妖精がいた。

 いた、という言葉通りミカドが不思議に思って振り向いたときにはすでにいない。上空へと飛び立ち次なる作戦の段階へ進んでいた。

 反撃の準備は順調。


 


 ミカドへの攻撃を続け、それとは別の作戦を実行していたリサはそちらを完成させた。

 「漣に任せて大丈夫なのか?」

 この場に似合うのはため息と心配。辺りには年季の入った樹木が聳え立ち、その木々は悩みまでもを吸い込んでしまいそうだ。

 だが、ここまできては引き返せない。後は新人に託すのみだった。


 


 リンナは戦場から大きく離れた木の上に立っていた。

 自分が死んではいけないので、周りに妖精がいないか確認を続けているが今のところはいない。

 リュウゴやユイのような違和感もない。完全な安全地帯だった。

 その状況で、緊張を少し <以下:いつでも闘える状況まで> 解いたのは失敗ではない。むしろ消耗戦を考えるのならば最適の行動だ。

 そうだったのだが、この行動が人生最後の行動になった。

 終わらせたのは大量の水。上から降ってきた大量の水は、強大な圧力を生み出し、異能者を1人押し潰した。遺言を言う暇を与えず。

 循環の原理を無視した水は、赤が混じっても気付かないほどの容量だった。


 


 漣の考えた作戦は、リサに敵の頭上まで運んでもらい、上から異能を使って敵を仕留める。能力の使ったことのない漣なら奇襲前に気付かれることはないし、道具も使わないのでプライドも傷つかない。全てを丸く収めた、やること自体は単純な作戦だった。

 だが、漣は単純でも簡単にはいかないと思っていた。

 リンナに気付かれないため、かなりの上空から落ちてくることになるので、集中が出来ない。そうなると力の使用が難しくなる。

 その上能力の使用も初めてだ。うまくいかず失敗、転落死ということもあるだろう。

 龍吾からはこの忠告 <以下:危険性の説明と作戦の決行反対> を受けていた。

 それに、この忠告にはりさと結も同意していて、成功確立は五分五分だとも言っていた。(それでも他に作戦がないので漣の作戦は決行となったが)

 そんな厳しい状況で全てがうまくいっていた。

 「ふう...。“六束”って奴はこれかな?」

 漣の出した水は有力な異能者を動かぬ屍と変えていた。すでに物扱いになっている。

 異能に慣れてきたとはいえ1週間前はただの一般人。形の崩れた死体を直視するまでは数秒かかった。それでも冷静な判断が出来ているあたり、精神力は相当なものになっているのだろう。

 そして、この任務成功は漣に自信を持たせた、持たせてしまった。

 要らない自信は漣の体を動かす。1人を仕留めたら、その場で待機するという作戦 <以下:命令> を無視させて。

 リサとミカドの方へと。


 


 ミカドとリサが対面したのと、リンナの違和感が消え、別の違和感が現れたのは同時だった。

 「いったい何が!?“空換”と“創樹”は力を使えないはずだ。あいつらはプライドを捨てたのか!」

 ミカドの心からの叫びは、今までにない音量と迫力だ。

 無理もない。クンベルを亡くし、何故死んだかまでも解からない状況だ。ただのクンベルではなく、本当に心から愛し、守ると決めたのならば尚更だった。

 大地が震えるような感覚。怒りの入った声は人一人殺せるような重量だ。木に止まった鳥はすでに飛び立っている。2つの目もリサを真っ直ぐに向き、突き刺さる鋭さだった。

 しかし、この威圧にもリサは動じない。体格は桁違いだが、身震い一つせず仁王立ちのままミカドを睨み返すあたり、相当な場数を踏んでいるのだろう。成長してない体からは想像の付かない度胸だ。

 「プライドを捨てたわけではねーよ。それに、殺ったのはリュウゴ達じゃない。」

 その続きはミカドの後ろから聞こえた。

 「期待の新人“水魔すいま”のレンだ。」

 その声の主は力を取り戻したリュウゴとユイだった。


 


 3対1の対面が行われているとき、レンは山を登っていた。

 その足は軽く、まるで重力が半分になったようだ。

 「これが能力の一部か。」

 レンは力を実感するように、両手の平を見つめた。そうしていても、動く足は止まらない。むしろ速くなる一方だ。

 三田原族は身体能力までもが並外れ。基本的に能力の開放と同時に覚醒するから、レンの身体能力は急激に進化していた。脚力、腕力、腹筋、背筋、基本的な筋力から反射神経まで、十分に人間の領域を超えている。今までが一般人だったレンは、自分だけがスーパーマンにでもなったような感覚になっていた。

 それは更なる自惚れを生んだ。

 井の中の蛙大海を知らず。

 レンは今、自分で作った井戸から抜け出さずにいた。


 


 レンの移動中、もう一つの闘いが始まっていた。

 だが、それはけっして派手なものではなく、駆け引きが主流の闘いだった。

 「どこだ、どこにいる。」

 低く響く声の主はミカド。今は敵の動きを探している状況だ。

 赤髪の男の周りには薄青色の気体が広がっていた。

 有毒な有色な気体、オゾンである。

 辺り一面が見えなくなるほどのオゾンを発生させたのはリュウゴだ。

 リュウゴの能力“空換”は空気中の気体を入れ替える能力。左手で気体を吸い込み、右手から気体を押し出す。中距離専門の能力だった。

 中距離専門だが、近距離で闘えないわけではない。異能者屈指の身体能力を生かし、手数で攻めることも可能だ。ミカドを最初に飛ばしたときは、左手で吸い込んだ空気を右手から排出した。このときは物質を変えなかったが、溜め込んだが空気が外に逃げ出すときの力を使って攻撃している。

 その威力から分かるように接近戦も十分できる。

 遠距離は攻撃が届かないので無理だが。

 今は窒素を吸い込み、オゾンを出していた。

 もし、それだけしか行っていなければ、出した本人までもが有毒な気体でやられてしまうが、ここにはリサがいる。作られた気体はリサの妖精を通し、ミカドの近くへ送り出される。大量の気体がミカドの周辺からあふれ出ていた。

 このままいけばミカドが倒れるのも時間の問題。勝利はすぐ目の前にあった。

 しかしながら、うまくはいかなかった。


 


 ミカドの周囲は有色気体が取り囲み、死までのカウントダウンを開始していた。

 視界は悪く、呼吸も出来ない。リュウゴの作り出した環境は着実に影響を与えている。現に、ミカドは動きを止め酸素の使用量を抑えるほどだ。

 今回、“空換”対策に用意した酸素ボンベは微少の残量を示す。本当に後わずかの命だった。

 ミカド自身も現状を理解していた。

 (一か八かだ。)

 思考は悪足掻きにまで達する。

 大量の有害物質の性で、違和感を感じることは、出来ていない。意識を3人に向けることが出来ず、「この周囲にいる」としか分からないからだ。つまり、明確な位置を把握できていなかったのだ。

 それ故、直感でしか動けないが、やらないよりはマシだった。

 ミカドの選んだ行動は脱出。持ち前の身体能力を活かし“空換”の攻撃範囲から外れるために全力で移動する。策とは呼べないほどの簡単なものだった。

 最初のほうに幾度か試みたが、結局は有効区域を抜け出すほどまでには至らなかった。

 それでも同じ行動をとるあたり、心の底では諦めているのだろう。自分で感じるほど表に出てはいないが。

 最後の力を振り絞り直感で何かあると感じる方向 <以下:真後ろ> に走り出した。体が草木に当たり音が出る。それをお構いなしに逃げ続けるつもりだったのだが、ミカドの足は数秒で止まった。

 オゾンは予想していた範囲よりせまく、すぐに出ることが出来た。出れたのが不思議だったが、考えるより呼吸をするのが先だった。それから状況を確認する。

 後ろを振り返るとさっきまで自分を囲んでいたものが遠くにあった。

 その気になれば“移変”で動かせるのにミカドの方へは近づかない。むしろ遠ざかっている。

 何故かの疑問は最初だけ。その後は体が勝手に動いていた。

 正面に感じる新しい違和感へと。

 “天罪”のミカドは“水魔”のレンを人質にとった。

遅れてすいません6話です。

そろそろ受験勉強が本格的になってくるので次の話 <以下:年明け> が最後になると思います...。

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