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受験生の中3が書いた戦い形の話です。

勉強もあって不定期ですが連載していきたいと思います。

初めての投稿なので温かい目で見てください・・・

尚、この物語はフィクションであり、登場する人物、団体などは... <以下:省略> 

 今は金曜の夜。闘いのあった日の夜だ。

 時計の針は90度を示し、時針の左に直角を作る。まだこのホテルに戻ってから数分しかたっていなく、2人の部屋人も外に着ていった服のままだった。

 椅子に腰掛け、動けるだけの活力を蓄えた白いマントの男が口を開いた。その声は“両道”に再戦 <以下:一時休戦> の確認をしたときより、はるかに弱々しい。

 「リンナよ、早く寝ろ。明日も夕方まで動かぬとはいえ、それでも完全回復は望めない。できるだけ回復を試みろ。」

 「しかし、司祭の怪我の治療は...。」

 裏界の人間はこっちの世界の病院を使えない。

 治癒能力が格段に上がってる異能者にとって、医療技術は不必要。それ故、偽装の戸籍すら作ってないことで警察ごとになる異能者に、病院は使えないのだ。時間のないときは特に。(時間のあるときはあるときで、勝手に治るので、結局使わないのだが)

 だがら、今回のミカドの傷は深刻だった。

 リュウゴにやられた一発は、肝臓を破裂させ、大量出血を伴っていた。

 その状態で走り回り、防御に集中し続けたので、さらに悪化し血がマントに滲み出る程になっている。血が足りないのが原因で死んでもおかしくない。そんな状況だったのだ。

 リンナの言葉は、医者程ではないが応急処置ならできるスキルを踏まえ、ミカドを心配してのもの。生涯のパートナーとしてもほっとくことできないだろう。

 「簡単な応急処置なら我にもできる。それに、リンナのほうが重症だろう。」

 この反論は、一般人であれば何を言っているのだと言いたくなるところだが、ミカドは間違っていない。

 リンナの最後に使った能力は、“六束”の中でも技の使用から発動までの時間を長くする『遅延系ちえんけい』。すぐに効果の出る『速疾系そくしつけい』と大きく違う種類だ。

 術をいつでも始動可能な状態に保つのには相当な神経を使う。1つでも壮大な労力を伴う仕掛けを数十個同時に使い続けるのは、相当な精神力 <以下:減ると力も減少する体力と同じく重要なもの> を削っていた。

 「...それでは、すみません。明日もう一度治療します。」

 「ああ、十分に休むといいよ。」

 それから数分の処置をし、ミカドも眠りについた。


 


 日付変わって土曜日。

 最近増えつつある(?)北山家の住民はリビングに集合していた。

 今居る面子は結の寝坊に驚いているりさと予想をしていた龍吾、頭の中にまったくそのことがない漣の3人。円形ではないテーブルを囲み、平日より遅い朝食をとっている。

 白いご飯に味噌汁。それに加えて焼き魚。いつもがパンの1人にとっては珍しい和食が運ばれてから3分が経ち、落ち着いたところで会話が始まった。

 「作戦会議...でもしましょうか?まずは、相手の分析からですかね。」

 漣にでも解かる上っ面だけのセリフと愛想笑いは、昨日の状況を醸し出す。箸が空振りしているので、悔しさと心配があるのだろう。ポーカーフェイスに合わない、動揺の隠蔽工作失敗だった。

 「昨日のは使用から発動までが長い能力の使用で間違いないんですね?」

 「あぁ。それしか考えられないな。」

 漣は昨日の夜に龍吾から出来事を全て聞いている。

 “六束”のリンナは駆け巡った3分間にりさの創った妖精全てへ、術を使用していた。そして、発動しないダミーを使い龍吾と結を瞬間移動させ罠に追い込む。相手の能力を利用したリンナの作戦は見事なものだった。

 まんまと嵌められた3人はミカド達を倒さねばならないのだが、龍吾と結は能力を使えない。

 呪縛によって抑えられた能力で出来ることは、小菜木が枝を作るくらい。朝になっても消えない腕輪は戦闘能力を大幅に縮減させ、2人を闘いには不要だと忠告していた。

 龍吾は気分のダウン <以下:龍吾個人だけの判断> だけで済んでいるが、闘いと龍吾が全てな結は深刻だと思われる。

 「今闘えるのはりさだけなのか?」

 こんな状況なので闘えるのはりさだけ。と、思っているのはこの場の半数以上 <以下:全員ではない> だ。漣は何当たり前のことを、とも思っているだろう。

 「龍吾が銃で狙うとかで闘えないのか?」

 しかし、今の時代は銃があり、力がなくても十分に闘える。漣はそう思っていたし、実際にもそう。いくら異能があり身体能力が高くても、発動までのスピードが速い銃はかわせない。最終的に殺せばいいのだから銃でもいいのではと漣は思いついた。

 だが、その考えは通用しないようだ。

 「確かに間違ってはいないよ。実際にも異能者を一般人が撃ち殺したって例もあるし。ただ...。」

 「プライドがあるんだよ。オレらにはな。前にも1回言ったことあると思うが、ちっと前までは三大原族が裏界を牛耳ってたんだ。そん時は能力を使えることが権力の証。科学の力に頼る奴はクズってこと。だから、今でも道具で人を殺す奴は貶されるし、偏見を持たれる。そんなら自分の力だけで闘って死んだほーがマシつーわけよ。」

 プライドと命のどっちが大事なんだよ、と叫びたいのを漣は抑えていた。昨日の今日だし、自分は裏界に行ったことがない。口を出すのはだめだろうと思っていた。

 だからといって、不利な状況が改善されるわけではない。りさ1人では明らかに戦力が足りなかった。何の策もなしに闘ったら、確実に負けるだろう。

 りさは先にリンナを殺ろうと考えていた。基本的に術者を殺せばその能力は消える。つまり、リンナさえ倒せれば3対1となり、圧倒的有利となるのだ。しかし、そう考えるとリンナはミカドに守られるか、戦状にこないのどちらか。どちらでも倒すのは難しかった。

 龍吾も同じことを考えてた。先に殺るためにどうするかまでも。名案が出るかどうかは別として。リンナを集中攻撃すればいいのかもしれないが、そうなると隙ができる。ミカドの攻撃もほぼ一撃必殺なので、あまり良い作戦ではない。手詰まりだった。

 答えの出ない悩みを抱える2人に、再び漣が質問 <以下:確認> する。

 「余計なことかもしれないが、俺は闘えないのか。一応三大原族の、水の一族の1人なんだろ?」

 「...ホントに余計な事聞きやがって。闘えねーよ。能力自体は使えるかもしれねえが、使う前に殺されちまうよ。ミカドなら瞬殺だ。」

 りさは呆れながら答えた。昨日みたいに怒鳴りつけなかっただけ、まだマシだろう。

 「それに、まだ水の一族だって決まったわけじゃない。他の可能性もあるから、分析してからのほうがいいと思うよ?」

 りさと自分の容赦なき答えに気分を落とす。そう予想していた龍吾は少し驚いた。(顔には出していないはずだが)

 漣のほうが予想通りと言わんばかりに頷き、もう1度聞きだしていたのだ。十中八九答えの分かる質問を。

 「能力自体は使えなくもないんですね?」

 「あぁ。そうだな。」

 「じゃあ、能力を使うのに練習っていりますか?」

 「いゃ。いらねえし、簡単だよ思うぞ。制御とか威力を無視したらだけどな。」

 「それだけわかれば十分だ。」

 そして、漣は二度目の口出しをしていた。

 今度は理屈の通った正論で。


 


 改操によって勉強会の存在を忘れさせられた陽奈は春香の家にいた。

 時刻は10時を過ぎたところだ。朝昼を一食で済ませるならこの時間帯で食べる人もいるが、陽奈も春香も生活リズムがいいのでそんなことはない。たとえ休日であっても。

 そんな2人は勉強をしていた。いつも使う春香の部屋で、テーブル <以下:高さのない円状のもの> を囲みながらの作業。陽奈が質問して、春香が教える。これもまたいつものパターンだ。

 ただ一つ違うのは漣がいないということ。

 無論、ケンカしたわけでも仲間外れにしたわけでもない。用事があると言って断られたからだ。

 だが、その用事は教えてくれず、時間がないからと一方的に電話を切られた。電話をかけた最初は急いでなかったのに、用事の内容を聞いたとたん慌てだす。そのままこちらに口を挟ませず通話終了。どう考えても怪しかった、が陽奈たちには何も出来なかった。

 だからというわけではないが、今は勉強に集中していたところだ。

 「ここがこうで、こうなる。」

 「...つまり?」

 「...こういうこと。」

 ため息が出なかっただけマシと考えるかもしれないが、春香は龍吾以上のポーカーフェイス。これくらいは朝飯前だ。(尚、今日の春香の朝食はリッチそうなものを想像してください。)

 ため息の代わりに出たのは気になる疑問。指導する立場としてもが、それよりは幼馴染としてのほうが大きいだろう。

 「陽奈。いつも以上に集中できてない。何かあった?」

 「い、いや、何もないけど?」

 何もないわけではもちろんない。朝から胸のうちに何かを感じている。自分の中で決めたものが根本的に揺らいだような、嫌な感じ。明確には分からないがすっきりとしない気持ち。

 頭が悪いからではないが、考えても分からなかった。

 ならば仕方がない、と吹っ切れるのも陽奈のいいところだろう。

 「そう。ならいいけど。」

 もう、同じ質問は来なかった。(少なくとも今日は、という但し書き付だが)


 


 朝食を終えた漣は昨日の戦闘場にいた。

 龍吾たちが治せなかったがためにそのままになっている市街地は、元々そうであったかのように誰も疑問を持たず、不思議に感じなかった。

 土曜の特売品をゲットしにスーパーに行った帰りの主婦も、彼女を連れたリア充と呼ばれる大学生も、父と追いかけっこをしている小学生も、誰一人として目を向けない。道路の真ん中に転がっている家や電柱を。

 歩いている軌道にあるのならば避け、それが無理なら飛び越える。

 誰もが当たり前にその状況を受け入れていた。否、受け入れさせられていた。

 今回改操によって強制的に送られた情報は、「今ある状況を受け入れる」が大部分だった。普段なら闘いの時間帯に起きた不都合を記憶から消すのだが、決着が付いていなく再戦の可能性があるのならば消すのは終戦してからでいいだろう。それが上層部の対応 <以下:龍吾からの情報> らしい。(消すのには受け入れさせるより、精神力を使い、2度もしたくない。それが上の本音だとは龍吾のみが知っている)

 だが、その対応は正解なのかもしれない。現実に目を向ける少年にとっては。

 道を歩き、異様な状況を眺める漣。その目に希望はなかった。

 それでも悲しみはない。前 <以下:現実> を見つめる目はひっくり返った家から、その下のコンクリートに向けられる。その舗装された道路は凹み、崩れ、ひび割れをしていた。

 灰色の真下にあるむき出しの空間は、戦闘の規模を冷厳な事実として記している。

 もしこの下に人がいたら、死んでいただろう。この能力を使ったりさは間違いなく相手を殺す気だった。

 殺すか殺されるかの世界。改めて漣はそれを実感した。実感したが、それでも決意は揺らがない。何が漣の心の内を決めるのか。異能への憧れか。仲間を守りたい思いか。

 それは漣自身にも分からない。


 


 「結、闘う準備は出来たかい?」

 季節に合った白いワンピースを着た結は首を縦に振った。お決まりの麦わら帽子はないものの、十分に似合っている、とは少し言いにくかった。良く言うならギャップだろう。

 いつもなら、りさとかぶるが活発さを表現した服装。おしとやかな感じになったのは、この服が結のものではないからだ。

 貸し出してくれたのは春香。他のは和服か、もっと似合わなさそうなものだったので、これが一番の有力候補になる。借り物なので贅沢は言ってられない。今は我慢だろう。

 「それじゃあ行こうか。」

 「うん。」

 こちらも漣から借りた服装を着た龍吾が結の手をとり、北山家へ向かう。

 待機部隊がたどり着いたときには、漣しか家にはいなかった。


 


 漣の家のすぐ近くには山がある。

 それほど有名ではなく、高くもない。小学生の登山授業で使われるくらいだ。

 そんな山に、普段人はいない。夜になれば尚更だ。

 しかし、こんな前置きをするのは今の状況がそれに当てはまらないから。

 山の登山口と頂上の間 <以下:名前のしっかり付いている場所だが、ここにいる人は知らない> に小柄な人影がある。

 腕を胸の前で組み、両足を開く。一言で言うなら仁王立ちだ。

 そこに向かって、2つの違和感が近づいていた。

 昨日よりも強い威圧感を出しながら。

 リベンジマッチの開幕はもう目の前だ。

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