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0.プロローグ

 再生ボタンを押すのが怖い。間違えて押すのも怖い。

 なので、私はスマホの電源を切っている。

 スマホを触るなんて、今の時代、ごく当たり前の行動なのに、それが制限されている。いや違う、自分の中で、制限せざるを得ない状況。

 ボタンを押したら、何かヤバいものが流れるの?

 それも違う。何もヤバくないし、寧ろ私にとって心の支えとなっている曲が流れます。

 じゃあ押してもよくない?

 駄目です。

 押しちゃえば?

 嫌だ。

 なんで押さないの?

 今外出中だから。

 外出中って、みんな電車の中で音楽聴いてるのに? ほら、ワイヤレスイヤホンとかで。持ってないの?

 持ってるよ、持ってる。私なら知ってるでしょ、今となってはただの置物同然だけど。

 何それ、新しいの買ったら?

 そういう問題じゃ、ない!



 学校帰りの電車の中、私は一人、窓の外を見つめた。いつもならスマホを弄りながら過ごすこの時間。無駄に持て余してしまっているので、外の景色を見てみたのだ。

 今年で二年目になる高校生活。初めの頃は窓の外を見ることもあった、はず。

 全然夜になる気配もない明るい空は、早々に学校を出ていく私に、まだ活動するように促しているみたいだった。

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