【脳内補完計画出張版】34. 四国大会 本戦 決勝 後
本編は前話です。
コチラは【脳内補完計画】出張版です。
飛ばし読み推奨。
1.バーボンハウスで前話のSEKKYOはなかったことにする→主人公くん出場で四国大会優勝
2.選手間の雰囲気が悪いままでも主人公出場→優勝するけど咎められなかったことで主人公くんがさらに調子乗る
3.正論パンチのせいで喧嘩騒ぎに発展→あ、この部活動に参加してた記録は残したらあかんわとプロを目指す主人公くんは大会中なのに退部
4.SEKKYO返し喰らって出場停止→主人公くんなしなので準優勝
5.出場停止→主人公くんなしでも優勝→主人公くんへの露骨な嫌がらせが始まる
6.顧問のおばあちゃんブチ切れ→みんなが冷静になってSEKKYOを受けとめ、主人公くんも言い方が悪かったことを謝罪→青春小説化
【1. バーボンハウス】
やあ (´・ω・`)
ようこそ、我が心の内へ。
僕が誰かって?これまでなんとなく僕の遍歴を追ってきた君たちなら薄々気が付いているんじゃないかな?場の雰囲気を盛り下げることで定評のある葉隠君さ。ひとまず名前だけでも覚えて帰ってね。
急な展開で混乱してるかもしれないが、このテキーラはサービスだからとりあえず飲んで落ち着いて欲しい。
さて、もうこの顔文字を見た段階で勘の良い諸兄らは嫌な予感はしてると思うが。
うん、「また」なんだ。済まない。
まあ仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、あのSEKKYOを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
鬱屈とした世の中で誰に憚る事なく正論を述べて相手を屈服させた時の愉悦、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこの話を書いたんだ。
でもね、流石に心の中に秘めていたのさ。そこまで社会不適合者だとそもそも団体競技なんて出来るわけないしね。
じゃあ、注文を聞こうか。
【2. 調子乗りまくり全員退部伝説】
インターハイ目前のとある日の練習風景。
「だから言ったっしょ?先輩たちはヘタクソで雑魚なんすからぶっちゃけ数合わせにしかなってないっていのが現状なんすよ。
まずは連携を磨くかもっと身体能力を上げるべきなんす。でも時間がもうないんで、ちょっとでも使えるように連携を磨こうっていうことなんす。そこら辺分かってます?」
先輩の威厳などはとうに崩れ去り、ただ惰性で部活動に参加し続ける新レギュラー陣。かつてはあれだけの巨大勢力を築き上げていた修徳高校サッカー部も今や20人にまで減少している。もはや廃部寸前である。
「だから〜……」
「おい、もういい加減にしておけ……」
「……なんすか?先輩たちは全国制覇したいんすよね?それが絶対に叶わないのなんて見りゃ分かるじゃないっすか。だから自分は少しでも確率を上げようと……」
「お前の全国制覇に懸ける気持ちは分かった。
……そうだな、今お前が言ってることは本当なら部長の俺から言わなければならなかったんだろう。いつしかこのメンバーでの全国制覇など、たとえ奇跡が起きても無理だとそう諦めてしまっていたのかもしれん。
だがここはあくまでも部活動の場だ。活動を通して人間的成長を促す場なんだよ。だからこそ、あの時レギュラー決めとして、その場を乱す判断をしてしまった俺は部長失格だ。
俺は今日をもって修徳高校サッカー部を引退する!」
「ちょ、何言ってんすかキャプ……」
「あ、じゃあ俺も辞めるわ〜」
「やーめた!」
「じゃ、葉隠新キャプテンは1人で頑張ってね〜笑笑」
夏も間近というのにサッカーコートには寒々しい光景が広がっていた。
【3. こんなところにいられるか、俺は帰らせてもらう!】
「……おい、葉隠。お前今なんて言った?」
「え、皆さんにはもっと視野を広くしてプレーして欲しいっていうのと、抜かれることを恐れて縮こまったディフェンスされると良い攻撃は生まれにくいっていうのと、ボールハンドリングをもっと丁寧にやってくれってことぐらいっすけど。それがなんすか?」
「……だからぁ、お前は今さっきなんて言ったのか聞いてんだよおおおお!!!」
「えっと、もしかして今のじゃ分かんないんすか?……顔を上げてプレーしろ、攻め気で当たれ、ボールは丁寧に扱え、でどうっすか?」
「……ぅきいいいいいいいいいぃぃ!!!!!」
「うわっ、何すか先輩!?」
突如振るわれる先輩のひ弱パンチを避け続けるだけの俺。審判やらキャプテンやらが先輩を止めようとするも、謎に怒り狂った先輩は止めに入った人たちにまで怒りをぶつけ始めた。
もう休憩時間の5分はすぎているのに一向に始まる気配を見せない決勝大会に、先輩に感化されてベンチで起こる大暴動大会。これって、確実に俺がプロになる時には知られたくない過去になるよなぁ……。なんか俺も当事者として扱われたりするのかもしれないし。
うーん、決めた!
「あっ、ちょっと用事思い出したんで帰るっすわ!お疲れ様でーす!!」
用事(退部届提出)を思い出したんだ。今治からなら走れば1時間ぐらいで学校に着くだろう。よっしゃ、いっちょ飛ばすぜ!
背後では罵詈雑言が飛び交っていた。
【5. オメーの席ねーから】
なんか勝っちゃった。前半のリードはそのままに、俺のアドバイス通り火暮に裏パスを通して得点したり、今大会初のカウンター戦法が相手に刺さり、5対3で優勝しちゃった。
確実にマウント取られるだろうなと思っていたら意外にもそんなことはなく、皆疲れ果てた様子でバスに乗りそのまま帰宅。
俺は今日の試合の振り返りや期末テストに向けての予習復習を終え、寝た。
翌日。放課後になり視聴覚室へと向かう。今日はミーティングがあるそうだ。前回絶許リスト入りを果たしたあの子に言われた。
待てど暮らせど誰も来ないので、まあ今日はサボるかと図書室へ。そのまま読書をしていると下校を促すチャイムが鳴った。久々に充実した1日だった。
ていうか大会翌日に部活動とか普通に考えてありえないっしょ。ようやく騙されたことに関して考え始めたが、まあそれは置いといて。問題は今日借りた10冊の本をどうやって運ぶか……。
その後もミーティングがどうのとか、放課後の部活でボッチになるようなことは多々あった。が、もう正直この部活動で読み切れてないのは土御門の技術力と火暮の勘の良さだけなので、その2人+川瀬先輩を強引に誘って練習した。
結果、別練習組のレベルだけ爆上げされることとなった。
【6. 激オコ青春打ち上げ花火】
「……葉隠くん!今の言い方は何ですか!!先輩に向かって……(説教が長いので省略)」
「あの……。言いにくいんすけど、先生って普段部活動には居ないのになんで倫理道徳面についての説教してくるんすか?部活動に顧問が参加してないのってそれは大丈夫なんすか、監督責任的に。もしかしてサッカー知識がお有りにならないから普段いらっしゃらないのかもしれませんけど(先生へのSEKKYO返し)」
「(説教返し返し)」
休憩時間が終わりを迎える頃、年を取った老人にここまで当たるのはちょっとだけ罪悪感が湧いたので、とりあえず説教を聞き入れた風を装って全員に頭を下げた。
「皆さん、さっきは当たりの強い言い方をして申し訳なかったっす。自分なりに全国制覇とかについて考えた時に、今の先輩たちじゃ居るだけ邪魔になりかねないって思っちゃったんす。だから気付いた自分から積極的に改善していこと思って……。」
一瞬だけ場が騒ついたが、木谷キャプテンが両手を横に広げたことで収まった。そして皆を代表したのかなんなのか、話し始めた。
「俺こそ今の時期にレギュラー陣を入れ替えた責任はあるし、よく聞くと葉隠の意見に一理あるのも間違ってはいない。ただ、あの時視聴覚室で言ったように、お前の言葉には棘がありすぎる。それは今も同じだ。
……まあなんだ。お前にここまで言わせたのは俺の責任でもある。お前が言ったことは俺から言わなければならなかったことでもあるからだ。実際に火暮のポジション取りに関してはもっと積極的に発言すべきだったし、カウンタープレーも提案すべきだった。それにプレー中に焦ったようなミスをした時にはフィールドで俺が声を掛けて冷静に戻すべきだった。そして何より。未だに練習気分の抜けていないヤツには喝を入れる必要があった。
すまなかった、皆。そして葉隠。」
『キャプテン……。』
「……こんな今だからこそ、俺たちは一丸になって……」
審判の笛の音がキャプテンの演説を遮り、煮え切らない感じでピッチに上がることになった。だが皆キャプテンの言いたかったことは理解しているのか、笑顔である。
一部の人は俺の背を叩きながら、後半も任せたぞと言ってきた。
さて、やるか!
前話に対する賛否両論、誠にありがとうございます。
因みに賛否否否両論ぐらいでした。はい。




