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【ロス・インゴ ベ~ルナブレス デ! ハポン!】第10話 クイズ! 賭博発見! その7

「おいヒゲ。てめぇさっき仕事しなかったろ」


「え? なんのことですか?」


「星野がジャーマン食らった時に笑わなかったろ」


「陣内さん、さすがにあれは笑えませんて」


「さすがに笑えない、そういう時に笑って事故じゃなくてハプニングの域に収めるのがお前の仕事だろ」


「今回はさすがにそうはいかないレベルでしたよ」


「……そうか。まぁ今回のこれは本当によくなかったな。リーベルト。これでうまいもんでも……」


 ハイジさんが懐から財布取り出し、良崎の方を向くがカウンターのメンチで勢いがそがれる。


「金で解決しようとしないでくださいよ、特に金で生じた問題は……。風で化粧がボロボロです。メイク直しに行ってきます」


「ああ、言ってこい」


 良崎離脱。


「じゃあ僕もタバコ」


「じゃあ僕も」


 小林氏と桜井の喫煙ダブルチェリー離脱。


「水原さんは何してるんだ?」


 沈黙を嫌ったマスカラスマン。自分ならばあるいは風圧ジャーマンでも受け身を取れただろうと自分を責めているかもしれない。


「ああアイツ? 実家の喫茶の手伝いと近所の家庭教師の兼業やってるよ。小学生向けの。元々水原が通ってたそろばん塾が最近潰れたからな。その受け皿的に下町のオツムを支えてんだよ」


「似合いそうだな」


「向かねぇけどな。アイツには厳しさが足りねぇ。ガキにナめられたらもう終わりだ」


 沈黙。


「……あの、水原さんってどういう人だったんですか?」


 雨宮さんも会話に参加。そうだろうな。受け身でいてマスカラスマンの過保護な放任くらうのはまっぴらだろう。


「いやぁもう、そりゃお前素晴らしい人だったよ」


 マスカラスマンロングブレス。


「本当にいい人だった。正直な話、陣内が好き放題やってても許されてたのは水原さんが『許してあげてくれませんか?』って言うからだ。水原さんにそう言われると許そうって思えるんだ。本当に優しいいい人だってわかってるから」


「ああ、助けられたな」


「良妻賢母の手本のような人だったし、女子力も高かった。歌唱力も運転技術も高かったし料理は上手いし気配りはできるしモテてたなぁ」


「え、そうだったの?」


「お前そりゃモテないわけがないだろう。この幸せ者め。水原さんを泣かすなよ」


「そうだったのか」


「当たり前だ。決して派手な人ではない。化粧だって本当に薄い。でも喫茶店の娘だけあって気立ても良くて……。陣内、お前が戻ってきたのは嬉しいが水原さんも一緒だったら本当によかったのにな」


 雨宮さんがため息。


「そういう人にわたしはなりたいです」


「ああ。いじられキャラとしても……」


「いえ、人としてです」


「ああ、見習うところはたくさんあるぞ。本当に模範的な女性だった」


 しょったれた空気だな。


「なんの話ですか」


 良崎帰還。そういえばコイツ入学当初ファッションセンスいかれてたけど、水原さんと交流もってからは非常に良い方向に進んだな。なんだよあのお手本のような真人間は。


「病院行った星野と同伴で行った桜井は星野が無事で現地合流するから、じゃあ無事に生還できたってことで。危険が伴わない次の競技に行こう。文学部地下闘技場だ」


「文学部地下闘技場ってことはわたしたちに危険は伴わなくても結局血は見るんですね?」


「大丈夫だ。流される血は俺らのものじゃない」


「そこの確認じゃないんですよ。ズレてんですよねぇ。それに危険は伴わいかもしれませんが不快は伴う可能性はありますよね?」


「それは……」


「そこで言葉に詰まるんですね」


「心が貧しい奴は不快感を覚えるかもな。水原なら大丈夫だ。心が澄んでて豊かだからな」


 水原さんの悪用!






「VTR問題です。こちらのビデオレターをどうぞ」


 文学部地下闘技場の超大型4面オーロラビジョン全面に円谷栄治の笑顔が映る。


「こんにちは! みんな進級おめでとう! 新入生もいるのかな? よろしくね。ボクは円谷栄治。でもみんなボクを“王子”って呼ぶよ。マジもんの超能力者で日本霊媒師連盟という組織に所属するエージェントだ。陣内君とはツーカーの仲、水原さんとはカラオケ名勝負数え歌を繰り広げた仲さ。そんなボクですが、このたび人生のパートナーが決まりました! さて婚約指輪ですが」


 ピッ

 ハイジさんがVTRを停止。


「ヘドが出るヤツは今のうちに吐け」


「吐くならやっぱりトイレですか?」


「ケッ」


 ハイジさん、良崎、マスカラスマンは心が貧しいようだ!


「自分が不幸をかみしめてる時に他人の幸せの話を聞きたくないですね」


「金持ちのイケメンがモテて幸せになる話で喜ぶのは『りぼん』の読者ぐらいだ。俺たちがイケメンの話で聞きたいのは失態の話だ」


 貧し過ぎるぞ! 心の自己破産をしろ! 一度たてなおせ! 俺は嬉しいよ! おめでとう円谷くん! 円谷くんが今までどれだけ俺たちのために粉骨砕身してくれたか! あと見損なったぞマスカラスマン! お前はそこまで腐ってなかったろう! 俺は円谷くん擁護派だが、アンチ円谷くんにとってはそのウザさは別格か!? 一方で純粋な円谷くんファンの雨宮さんは円谷くん結婚と円谷くんの酷い言われようにしょんぼり。


「で、どの女の責任取るために名門円谷の籍使うんですか?」


「火遊びのヤキが回ったバカ野郎が“王子”を自称するとは笑わせる」


「まさかとは思ってましたが、コイツやっぱり火花じゃなくてもっとロクでもないもん散らしてたんですねぇ。25歳でしたっけ? 年貢の納め時としちゃ妥当でしょう。どうせ2年もすればまたロクでもないもん散らしは再開するんでしょうけど」


 コイツら止まんねぇな!


「そろそろ再開するぞ」


「ええ、覚悟はすみましたよ。どうせ婚約指輪はお金はあるけど金属の指輪だと電撃の超能力の精度が鈍るからボクは婚約ミサンガさ、とか自慢するんでしょう? お金じゃないのさ、とか言って」


 ハイジさんが深刻なムムム顔。


「……ハイ、ということでもう正解は出ましたが、クイズは続けます」


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