表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/146

【ロス・インゴ ベ~ルナブレス デ! ハポン!】第1話 潜入捜査! 新入生歓迎コンパ その1

『本日18時旧荒れ地テニスコート集合』


 俺は腕組みをして奥歯を食いしばり、眉根を寄せて会室の扉に張られたその紙を睨みつけた。その文字は……。見慣れたハイジさんの達筆でも水原さんの紙の大きさ弁えてない小さな文字でもない。特大の大髭書体‼‼‼


 @旧荒れ地テニスコート


 ドン! (1カメ)

 ドドン! (2カメ)

 ドドン! (3カメ)

 バ~ン! (4カメ)


「よく集まったな! 貴様らを呼んだのはほかでもない。この俺、権藤常親教授だ!」


「ハイ……」


 良崎さんテンション低め。というか割とみんなだ。


「……ッ。貴様らのそれ……。それは『凡リアクション』と呼ぶそうだな。聞いておる」


 権藤教授一人芝居開始。やけに芝居がかって一度頭を抱え、ぐっと強い眼差しのいかつい顔つきに。


「ッ先の‼」


 声がでかい。ちょっと今そのテンションについていける気力ない。


「ッ先の卒業(ひげき)を生き残り、チームの半数以上がこの場に残っていることを感謝する! 残念ながらこの場を去らねばならなかった者たちの想いと共に、諸君には頑張ってほしい! 欠員は必要に応じて補填していく。同期や先輩、愛弟子を失い、仰がれ尊ばれた悲しみは消えることはない。だがッ! それを乗り越えることはできる! これからは彼らにいらぬ心配をさせぬよう、笑われぬよう、常に“歴代の布陣で最高”の大学を作ることに力を注いでほしい! 大学の未来を‼ 貴様らに託すそれでは‼ 後任人事を発表する!」


 陣内一葉‼ そして水原銀子‼ ともに文学部日本文学科‼‼‼ 卒‼‼‼‼ 業‼‼‼‼

 嘘だと思ったがマジであの二人いなくなった。やっぱり水原さんの卒業を防ぐためにもう一度水原さんにサイバー攻撃仕掛けた方がよかった。


「まずは引き続き『演劇サークル』顧問はこの権藤だ。本サークルではどう動いても人事査定に影響はない役職・学年・学部学科間の軋轢はむしろやってみろ。それでも面白ければすべてが正義だ。なので人間関係を維持できる限り自由に発言してほしい。まぁ便宜上俺が仕切るがそもそもスクールカーストの変動とは無縁の黙ってれば少しはマシなガッカリ学園アイドル、空回りの三流プロレスラー、愉快犯のヒゲ、オタク、心を病んでそうなクソガキ、陰気でネクラなクソガキ、面白みのない優等生のクソガキといった人間の集まりだ。好きにやるがいい」


 黙ってれば少しはマシなガッカリ学園アイドル→リーベルト

 空回り三流プロレスラー→マスカラスマン

 愉快犯のヒゲ→小林氏

 オタク→ユダ

 心を病んでそうなクソガキ→星野

 陰気でネクラなクソガキ→桜井

 面白みのない優等生のクソガキ→雨宮


 本当にいないんだな、ハイジさんと水原さん……。


「まずは大学番長! 星野‼」


「うん」


 新番長:星野(ホシノ)(ユウ) 19歳 女 東京都文京区出身


「前任の陣内が―年の長期政権だった上に暴君の皮を被った名君だったからな。プレッシャーは重いだろうが頑張ってくれ。陣内も貴様には期待していた」


(まっか)せときー」


 コイツマジ態度悪いな死なねぇかな。ハイジさんの後任は絶対に務まらねぇわ。いっぺん半袖着て出て来いよ。手首見せてみろ。不自然な凹凸とかあったらそれ使って墨するからな。


「それでは新番長星野、副官は誰を指名する?」


「桜井」


 番長副官:桜井(サクライ)(リョウ) 20歳 男 東京都文京区出身


「オッケーイ」


 なんか初めて桜井の感情を観た気がした。「やる気はないです」っていう感情を。


「大学首脳陣は引き続き企画担当は小林、機材担当はユダ‼」


「ハハハ、参ったなぁこれは」


「フッ、やはり俺は賢く、そして美しい」


 大学首脳陣(企画担当):小林(コバヤシ)(サクラ) XX歳 男 東京都西東京市出身

 大学首脳陣(機材担当):ユダ 21歳 男 新潟県阿賀野市出身


 小林氏は卒業もせずに馬鹿笑い、ユダは手首のエンブレムをビシッと見せつける例のアレポーズ。コイツらは引き続き頼もしい。この人たちはふざけて足踏みしてるだけでガチ優秀な人材だ。


「そして大学裏番長・総番長も続投! 明星‼」


「ハーイよろしくね」


 大学裏番長・総番長:明星(アケボシ)真琴(マコト) 26歳 女 東京都新宿区出身


「あー、その、明星。さっきはここを寄せ集めだというようなことを言ったがお前は違うからな。例外というやつ、つまり、そう……()()めに(ツル)というやつだ」


「お気遣いは結構です権藤教授。わたしは今まで通りするだけですから」


 鬼畜お姉さんの今日の服装は音無響子の方か。名札は今まで通り、名札の右下に名前があり上に少しの空白があるもの。あれはアケボシフリーパスと呼ばれているらしい。鬼畜お姉さんが大学のどこかに出入りしたいときに、空欄に好きな肩書を書いていいというものだそうだ。悪人が持てば大変なことになるが鬼畜お姉さんは悪人ではない。スペックが高すぎるだけだ。そういえば卒業式で卒業証書受け渡しの助手もやってた。ハイジさんが心底ビビってたな。しかしここまでで一番うれしい人事。最も信頼できる人が一番重要なポジションにいる。星野が調子づいた時も沈めてくれるだろう。


「そして最後‼ 『演劇サークル』初代会長水原銀子から会長を受け継ぐのは‼」


 権藤教授が忍者の巻物みたいに丸めた紙を「勝訴」っぽくバーンと出す!


「烏丸‼」


 『演劇サークル』二代目会長 マスカラスマン 21歳 男 東京都西東京市出身


「本名は勘弁してください!」


「不服!」


 マスカラスマンと良崎が良い反応で飛び出し要求通りのリアクション。


「権藤教授、これはさすがにありえません。俺の正体がバレるじゃないですか! 『演劇サークル』の会長の名前にリングネームで登録はさすがにできません! かといって本名もできません!」


「いやそれ以前にコイツ正規の手続き踏んで『演劇サークル』入ってないじゃないですか! それにコイツはマスコットの中身でしょう!」


 ハイジさんと水原さん亡き今、マスカラスマンと良崎、全力を出す。


「まぁ落ち着け。烏丸は」


「マスカラスマンです」


「烏丸は水原が持っていた『演劇サークル』のブログの管理の権限も受け継がれる。兼任しているプロレスサークルの宣伝程度の私的利用は」


「そもそもブログは私的のものでしょう」


「大目に見よう。それに今回の人事で星野、桜井、雨宮も『演劇サークル』の所属になる。つまり貴様が事実上大学の為政者だ。それに貴様に拒否権はない。学籍が惜しくないのか。そして落ち着けリーベルト。事実上の為政者で4年ですぐ下に番長の星野が控えているということは烏丸はいざという時の体のいい腹切り要員だ。リーベルト、貴様にも世渡りの素養があれば少しは余地があったのだが……。学園アイドル3連覇、4連覇、そして明星破りの5連覇も期待しているぞ」


「なんで留年確定みたいな言い方するんですか。即座に顔面採用で内定勝ち取ってやりますからね!」


 学園アイドル(2連覇):良崎(ヨシザキ)・リーベルト・アンナ 21歳 女 東京都練馬区出身


「俺は腹切り要員か……」


 マスカラスマン少し表情暗め。そこに雨宮さんがポンと肩に手を乗せる。


「お互い真面目だと損をしますね」


「ああ、その通りだがそういう言葉は自分で言わないからこそ価値がある。それに俺はいざとなったらヒール転向というギミック的に不自然が生じないキャラ設定になっているからそこまで損というほど損でもない」


 雨宮さん梯子を外されたような顔! メガネに影が差す! 新体制で連携の先行き不安な中、雨宮さんからマスカラスマンに絶妙なパス! そして見事なシュート! 雨宮→マスカラスのホットラインは手探りでも進めていく価値はあるな。


 被害者枠:雨宮(アマミヤ)栞奈(カンナ) 19歳 女 東京都文京区出身


 そして良崎の口から内定という言葉が出たか……。恵まれた顔面と学祭ミスコン2連覇の肩書があるバカと違ってこちとら無個性無資格だ。吐きそう。


「人事が出揃ったな」


 新番長:星野(ホシノ)(ユウ) 19歳 女 東京都文京区出身

 番長副官:桜井(サクライ)(リョウ) 20歳 男 東京都文京区出身

 大学首脳陣(企画担当):小林(コバヤシ)(サクラ) XX歳 男 東京都西東京市出身

 大学首脳陣(機材担当):ユダ 21歳 男 新潟県阿賀野市出身

 大学裏番長・総番長:明星(アケボシ)真琴(マコト) 26歳 女 東京都新宿区出身

 『演劇サークル』二代目会長 マスカラスマン 21歳 男 東京都西東京市出身

 学園アイドル(2連覇):良崎(ヨシザキ)・リーベルト・アンナ 21歳 女 東京都練馬区出身

 被害者枠:雨宮(アマミヤ)栞奈(カンナ) 19歳 女 東京都文京区出身


「星だの桜だの雨だの烏だのとなんだかやたらカッコイイ文字を名前に含んだやつばかり集まりましたね。あとは月、あたりが入れば完成ですか?」


「桜井の彼女の名字、月島だよ」


「はぁん? コイツ彼女いるんですか?」


 良崎と星野もコンタクト開始。リーベルトさん、習慣が抜けず何の気兼ねもなくため口叩いていい相手、後輩星野に敬語。


「高校で一番モテてたよな、月島」


 リーベルトさん、本能で出しかけたローキックを理性で止める。桜井との距離のとり方がわからない様子。


「……」


「まぁ写真とかその辺諸々後でリーベルトにも見せてやんなよ桜井。わたしはさ、陣内がいたときは陣内倒してテッペン取りたかったから陣内へはああいう態度だったけど、ここにいるメンツとはこれからは良好な仲を築いていきたいって思ってる。そういうことで、これから飲みに行こう。もちろん、役職・学年・学部学科等のことは気にせず、後輩だからと奢られることもなく全員で均等に割り勘でさ」


「ええ、それはいい心がけですけどガキの分際でリーベルト呼ばわりはよしなさい。そしたらこっちもその気でこの大学の動かし方を教えますよ。コネの便宜も図りますし、こうなった以上仲良くしましょう」


「そいじゃ行こう! 新体制親睦会兼『潜入捜査! 新入生歓迎コンパ』‼」


「いらないところ似るんじゃありませんよ‼」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ