【言ってみろ 俺か? 幹部か? 長州か?】第5話 再発見! 豊島園! その5
「1万円か。でかいぞ。もう資金はいらねぇんじゃないか?」
カツアゲした1万だがこれはでかい! 500円では一人が安めのラーメンを食べたらなくなってしまうが、1万なら全員がそこそこのラーメンを食えるぞ!
「これならこれから先は刺客に勝ったらリヤカーの牽き手交代一択だな! 交通費としても十分だ」
※石神井公園→豊島園 西武池袋線で180円
「そうなるとリヤカーが邪魔だが……リヤカー以上に邪魔なものもあるが」
1万円もあればもうフリマの必要はないだろう。牽いて歩くにしてもリヤカーに積んだラジカセ、木人、ビデオデッキ、扇風機のような重いものはかなりの負担となる。
「ゲームだと荷物がいっぱいになった場合は捨てるっていう選択肢があるんだが」
「粗大ゴミですもんね。粗大ゴミはちゃんとお金払って捨てないといけないですから」
※練馬区で捨てる場合
・ラジカセ……400円
・ビデオデッキ……400円
・木人……?
「でもお前、オードリー春日知ってるか? アイツ、M-1前の時点で貯金が200万もあったんだぞ。それを実現したのはケチりとゴミ拾いだ。粗大ゴミを回収して家具にしていた。だが、キチンと捨てられた粗大ゴミを勝手に回収すると窃盗になるから、手順を踏まずに捨てられて回収できない粗大ゴミを集めた。ここでこの木人を捨てれば、明日のオードリー春日を作れるかもしれない」
「……法は守りましょう。保釈金は1万じゃ足りませんよ」
キングカズのクリアファイルを1万で売る方がよっぽど法に反しているだろう。
「っていうか戻るか? 大泉学園の大学に戻ってリヤカー置いてくるか?」
企画担当の小林氏がバツ印を作る。どうやらリヤカーを牽くのは決定済みのようだ。
「じゃあ次の刺客を探すか」
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
石神井公園を徘徊していたら次の刺客が現れた。
一人目はツーブロックで眉毛ナシ、短ランにボンタンのステレオタイプのヤンキー。
二人目は黄色と青の二色で髪を染めて虎柄にし、目を充血させて歯をむき出して唸っている狂気のボンタンヤンキー。
三人目は白ランにボンタンだが、顔に麻袋を被せられ、椅子に縛り付けられているヤンキー。
「押忍」
「ガァフルルルル……」
「命だけは助けてくれぇ……」
どっから探してくるんだ? こういう人間! 全員大学の学生なのか?
「ここのゲームは“ニセモンGO”だ。偽のヤンキー、即ちニセモンを見つけ出し、ニセモンボールを投げつけると捕獲できる。捕獲したニセモンは、リヤカー牽きや身代わり、好きなように使えるぞ」
ツーブロックのヤンキーのスマホから権藤教授の声で企画説明。
「偽じゃないやつもいるのか」
「本物のヤンキーにニセモンボール投げつけちゃったら一大事ですよ」
ガァフルルルル!
虎柄のヤンキーが弁当箱から生肉を引っ張り出してかぶりつく!
「じゃあ自己紹介してもらおうかな。じゃあツーブロックのお前から」
「ウス。玉猪竜のリュウっス。先輩だろうとナメた真似したら布都御魂のキレ味のキックでシメるんでヨロシク」
①ユーズーロンのリュウ
「コイツニセモノっぽいな。ユーズーロンとかフツノミタマとかヤンキーの知識量じゃ出ないだろ。ヤンキーなんて子供に読めない名前つけるときに初めて辞書を手に持つんだから。ヤンキーにできるネーミングはドラゴンリュウが限界だ。ヤンキーがユーズーロンとか知ってるわけない」
「あぁん?」
「ユーズーロンの龍、お前の好きな食べ物は何だ?」
「カレーっス」
知識が多いとニセがバレるからか置きに来た答えだ。
「でもスープカレーはダメっスね。何でかって? シャバシャバしてるからだよ、娑婆僧が!」
ドヤァッ! これヤンキーじゃねぇだろ。上手いこと言ってるもん!
「じゃあ次の君で」
「ガァフゥッ、グルルルルグエアアア!」
「なるほど、“ティガレックスのコウガくん”な」
ハイジさんには聞き取れているのか?
②ティガレックスのコウガくん
「グルルルルル!」
「すげぇ……まさにティガレックスだ! ティガレックスが実在してたら是非戦ってほしい相手がいるんだよぉ。最近流行りの—くんだ。あの子役、ティガレックスと戦わせたかったんだぁ! やめてくださしゃいティガレックしゃん、怖いことしないで欲しいでちゅ! って甘えてティガレックスもメロメロにできるか見ものだな!」
「グアアアアアア!!!!!」
生肉から血を滴らせながらティガレックスのコウガくんが雄たけびを上げる。コ、コココワイー!
「ティガレックスくんはぜひ捕まえたいところだ。次」
「ヘェ、命だけは助けてくれぇ」
③人質
「コイツはもういいか。っていうか天気悪くなってねぇか? 雨降るのか? 降るのかよ畜生がッなぁオイッ!」
「それ天気の子じゃなくて短気の子!」
ドヤァッ! ハイジさんの即興のボケにそれなりのツッコミを入れるユーズーロンの龍。上手く釣り出されてしまったぞ。ヤンキーが野良ボケの野良ツッコミで気分良くなるだろうか!?
「もういい、めんどくせぇから靴投げて晴れるか判断するか」
「手抜きの子!」
ドヤァッ!
「雨が降ってジメジメすると生えてくるからな!」
「きのこ!」
ドヤァッ!
「え、オーストラリアで野生化した犬?」
「ディンゴ!」
「千畳敷で扇いで雲を晴らすか」
「タヌキの子!」
「白と黒の石を使ったボードゲーム?」
「囲碁!」
「実写版『進撃の巨人』のヒロイン?」
「希子!」
「100円拾ったから交番に届けます」
「いい子!」
「元日本代表の監督?」
「ジーコ!」
「スペイン語で5?」
「シンコ!」
「アッチョンブリケらのよぉ!」
「ピノコ!」
「カカロットの息子……?」
「敵の子!」
「ジーっとしててもドーにもならねぇ! 融合! I GO!」
「ヒアウィーゴー!」
すげぇ、なんでも拾うな、ユーズーロンの龍。ハイジさんが気持ちよくなってしまった。
「エヘヘ、じゃあ内藤哲也の決めゼリフ!?」
「?」
良崎もウキウキしながらユーズーロンの龍にネタを振るがさすがにわからなかったようだ。正解は「トランキーロ」だ。焦ったな、良崎。
「コイツが偽物だろうな」
「ええ、でしょうね。ニセモンボールをぶつけましょう」
「よし。セアッ!」
大きく振りかぶり、オーバースローで投げられたニセモンボールがユーズーロンの龍のアバラに直撃する。
「ああぁ~!?」
ユーズーロンの龍の目つきが別人になる。コイツ、偽物じゃなかったのか!?
「どういうことだ? こばやっちゃん! アレ? 小林?」
小林さん、雲隠れ! どうやら小林さんは答えを知っていたようだ。ハイジさんがビビりきり、縮こまってしまった。
「ちょっと待って、ユーズーロンの龍……。今から敬語に変えますけどもぉね、まさかあんなにツッコミセンスと瞬発力に溢れるヤンキーさんがいらっしゃると思ってなかったんでぇ」
「ブン殴るぞ娑婆僧が。そしたらお前の鼻が、ねぇ、今から腫れるよ、だ!」
解せぬ。





