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【その狂気! 貴様は断じて トキではない!】第16話 48時間精神と時の部屋体験 その15

 デン♪ デン♪ テーレレレンテレレーレーレー


「刺客の時間です。『演劇サークル』の皆さまは、用意をしてください」


 天の声。


「うし、とるぞ。もう早く出ようぜこの腐敗と自由と暴力の真っただ中から」


「ええ、本当に精神に異常をきたし始めると思います。やっぱりこの部屋はヤバいです」


 ドアをバァ~ンと開け、コートを羽織るタイプのカッコイイファッション、ヤクルートレディ姐さんが再登場。悪学部と思しきモヒカン、坊主、アフロ、リーゼントといった世紀末ファッションの男たちとミツビシのリーダータカギくん、5人の水着女子! 芸能コースに通っている清楚なミナちゃん、ハーフメガネのカナちゃん、Sッ気のありそうなマドカちゃん、天真爛漫なミサキちゃん、シャイなリオちゃんだ。5人ともアンチマテリアルライフル選手権や佐渡島の陣内さん拉致の時に手伝ってくれた女の子たちである。佐渡島ではハシャギすぎたマドカちゃんがハイジさんと小林氏をエアガンで撃ち、英雄に締め落とされたという失態を演じている。


「なんだァこのメンツァ。また『お笑いのシカク』か?」


「違うぞ陣内。そうだったらどれだけよかったか……」


 ヤクルートレディ姐さんの表情が冬のフィンランドの夜より暗い。そしてヤクルートレディ姐さんがガシィッと左手を挙げたカッコイイポーズ。そこには、かつて我々が『驚くなかれ! 大学発見』で装着させられた、感情の起伏や興奮を測定する腕時計的なメカが!


「お前ら全員これをつけてもらう」


 装着。


「そしてここで行われるゲームは『ファーストキッスはレモン味』だ。だがお前たちは観ているだけでいい。ただしこのメカからアウトが宣告されると攻撃を受ける」


「攻撃?」


「一覧がこちらだ」


①-人中に正拳突き(最大5連撃)

②-吹き矢

③-ケツキック

④-肩パン

⑤-電流

⑥-ツームストンパイルドライバ―


「おっと三つほど命が危ういのがあるなぁ」


「感情を殺すしかない。アタイたちは鬼になるしかないんだよ! この企画を無事に終わらせるためには、アタイは悪魔にだってなってやるわ!」


 ビィーとヤクルートレディ姐さんのメカが鳴る。スカァン! どこからか発射された吹き矢がヤクルートレディ姐さんの大きく開かれた胸元を飾るネックレスに直撃!


「グ……」


「大丈夫かヤクルートレディ姐さん?」


「アタイは大丈夫だ……。むしろ、これから行われる反人倫的所業を見て何も思わないようでは、いや、見届ける者として、責任を負いたいんだ……」


 一体何が起こるんだ!? 第三次世界大戦か!?


「ルール説明を……始める!」


 ヤクルートレディ姐さん、血涙(ケツルイ)でも流しそうな勢い。


「『ファーストキッスはレモン味』では、まず男たちに、内股に二つの風船を挟んでもらう。この風船道士はテープで繋がれているから片方が落ちることはない。そして内股から落とさず、ゴールまで風船を運んでもらう。だがこれではただの内股風船運びだ。ここからが『ファーストキッスはレモン味』」


 ゴゴゴゴゴゴゴ……


「えー、風船は柑橘類の果汁や皮に含まれる成分に触れると破裂する」


 ヤクルートレディ姐さんが風船を一つ膨らませ、輪切りのレモンで触れるとパァン! 即座に風船が弾け飛ぶ。


「女子たちはレモンで男子たちの内股の風船を割ってもらう。だが、内股で機動力が削がれた男子ならば仕留めるのは容易だ」


「そうだな」


「よって女子が使っていいのは口だけとする」


「!?」


「女子は口にレモン汁を含み、男子たちの股のパンパンになった風船にキスして割ると言っているんだ。ううっ」


 ヤクルートレディ姐さんマジ涙。下ネタに耐性のないヤクルートレディ姐さんに仕切らせるにはあまりにも残酷、そして全員地獄を見る。


「……」


「……」


「……」


「さすがにやめてくれんかぁ……」


 ハイジさんも腕組みし、目を瞑る。


「芸能コースの女の子たちが何をしたってんですか。確かにマドカちゃんは少しハシャギすぎました。しかし、こんなことしてまでしがみつくほど、芸能界は魅力的ですか?」


 ホント、もう、それな! だが良崎、お前だけはそれを言ってはいけない……。芸能の女の子たちより見た目がよく、知名度も高く、そしてこんなドイヒーなゲームもやらされない。芸能の女の子たちも良崎に憐れまれるのだけは辛抱ならないだろう。




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




清楚なミナちゃん(21) 埼玉県飯能市出身 スリーサイズ85 - 56 - 85cm

特技:料理 趣味:書道 好きなタイプ:長身痩躯

アピールポイント:「いいお嫁さんになれます!」


ハーフメガネのカナちゃん(22) 東京都港区出身 スリーサイズ88 - 58 - 85cm

特技:英語 趣味:ピアノ 好きなタイプ:筋肉質

アピールポイント:「尽くすタイプです♡」


Sッ気のありそうなマドカちゃん(21) 新潟県長岡市出身 スリーサイズ89 - 60 - 86cm

特技:サバゲー 趣味:海釣り 好きなタイプ:よく笑う人

アピールポイント:「わたしの美脚を見て!」


天真爛漫なミサキちゃん(22) 京都府京都市出身 スリーサイズ79 - 55 - 80 cm

特技:茶道 趣味:折り紙 好きなタイプ:桜井くんみたいな人やわぁ

アピールポイント:「桜井くん大好きやわぁ」


シャイなリオちゃん(21) 岐阜県飛騨市出身 スリーサイズ83 - 56 - 84 cm

特技:じゃんけん 趣味:マンガ鑑賞 好きなタイプ:とにかくイケメンな王子様

アピールポイント:「不思議ちゃんって言われます☆」


 全員20倍界王拳並の捨て身だ。

 そして悪学部の無法者+タカギくんも内股に風船を挟む。タカギくん……。彼なりに思うものがあったのかな? タカギくんのお笑いはとにかくライブのネタが命のコント道、大喜利もひな壇も彼にとってはお笑いではない。そういうスタンスで実際、学内のお笑いを制してきた。だが、トリオを組んでいるタカジョウとタカシロはもっと手広くお笑いをやりたいと思っていて、実際さっきもタカギくんのネタを改変してネタ見せをした。トリオの絆が心配されるだけに、タカギくんもそのトガリを自分なりにどうにかしようとしているのだろうか? ハイジさんや鬼畜お姉さん等、タカギくんを高く評価し、ファンを公言している大物は多い。だがそのトガリきった姿勢には苦言を呈していた。だがいきなり落差がヤバくないか!?


「……」


 インテリの証、丸メガネが泣いているぞ、タカギくん……。


「スタート!」


 ヤクルートレディ姐さんの合図で男子が出走! モジモジモタモタムズムズと前進する。


「!」


 そして女の子たちもレモン汁を口に含む!


「ぷはっ!」


「ぺぇっ!」


「うっ……」


「かぁ」


「あぶ」


 しかしその酸味に耐えきれない! 全員が一気にレモンを噴き出す! ヨゴレの水着女子たちが無理矢理口に含まされた黄色い液体の酸味と苦みに耐えきれずー!


「これキッチィな……」


 ハイジさん、直視できずに顔を覆って蹲る。


「見てやってください、見てやってくださいよ! 女の子たちあんなに頑張ってるじゃあないですか!」


 小林氏が激しくハイジさんを揺さぶるが、あの人だけは素で楽しんでる可能性があるのでそこがコワイ。


「俺ぁもう女の子たちが可哀想で可哀想で……」


 女の子たちは作戦を変更、モジモジモタモタムズムズと進む男子たちを待ち伏せし、キッスの一瞬だけレモンを含む作戦に。四つん這いになって男子たちの風船の高さに顔をあげる。


「……クソッ」


 ビーッ! ハイジさん鳴ったー!


「ウォラッ!」


 悲しみを消すかのように、ヤクルートレディ姐さんがハイジさんの人中に正拳突き! 間違いない、あのキレェ~な正拳突き。ヤクルートレディ姐さんは空手経験者だ。空手経験者なら人中を突いてはならんとわかっているだろうに……。ヤクルートレディ姐さんの悲しみもそれほど深い。


「グエーッ!」


 どの女の子かはわからないが、レモンの刺激で、日本漫画史上最高傑作の一つ『ドラえもん』で数コマの登場ながらも強烈なインパクトを残したキャラクター・オシシ仮面の断末魔のような声をあげる。


「もうやめろ! もうやめるんだー!」


 マスカラスマンも悲痛な面持ち。


「そうだよ! こんなこと、やらせる方が間違っている! キミたちはもっと自分を大事にするんだ!」


「芸能界なんてバカバカしいよ。俺たちはこんなことで喜ぶほど腐ってない」


 円谷くん・桜井の二大王子も止めにかかるが、女の子たちは一歩も引かない! ジャキッ、パァン!


「!?」


「大変だ! 円谷くんがマドカちゃんにエアガンで撃たれてしまった!」


「ボクのことはいい……桜井くん、こんな地獄は、キミが止めろ……」


「円谷くーん!」


 ジャキッ、パァン! 円谷くんエアガン2発目! 親の因果が子に報う……。流石に痛かったのか、女の子たちに背を向けて体を丸め、プリンス亀のポーズで防御。


「ネバーギブアップ、ネバーサレンダー!」


 清楚なミナちゃんが声を張り上げ、檄を飛ばす。


(BGM:『翼をください』)


 こんなことをやらされているこの子たちも、きっと小、中、高ではモッテモテのチヤッホヤだったのだろう。小さい頃は『セーラームーン』とか『プリキュア』とかを観ててさ……ピンク色でキラキラしたものが好きだったはずだ。そんな彼女たちに思いを寄せる男子も少なからずいただろう。埼玉、新潟、京都、岐阜から、大学の芸能コースに入学しに来るような子たちだ。しかし、大学に入ったら良崎に駆逐され……それも偶然ハイジさんの目に留まって可愛がられている良崎に駆逐され、良崎の入学前は在学中の鬼畜お姉さん全盛期。彼女たちの青春や自信、プライドとは一体どこで失われてしまったのだろうか? いつから王道を捨ててしまったのだろうか。彼女たちを想う、それぞれの地元(埼玉、新潟、京都、岐阜)の男子たちは想い人のこんな姿を見て! 怒りで腹を立たせるのか、それとも……?


「うぅ……」


 少なくとも、良崎や水原さん、星野、雨宮さんがこんな仕打ちを受けたら俺は主犯を許さない。それでも目の前で、レモンは女の子たちの口を経て大地に還る。

 クズめ! この部屋を作ったヤツ!

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