サンライトキャッスル内部の戦い
「チィ! 邪魔な仕掛けが多い!」
「対人兵器が多いな。無駄無く、シンプルに侵入者を殺そうという意思が感じられるぜ。この城の設計者は、あの巨乳の魔女か?」
「いや、これはもう一人の方だな。巨乳の方は無駄が多い。星史朗がいる限り奴は見方だ。間違いなくもう一人の魔女、デスガールはこの城のどこかにいる」
バババババッ! と天井各所に仕掛けられたマシンガンの弾を撃ち落としつつ回避しながら、3四朗と輝はサンライトキャッスルの通路を走る。前の城とは違い、各所の壁や床、天井などは特殊な魔力を帯びていて、そう簡単には破壊出来ない状態だった。
この真のサンライトキャッスルの製作者の魔女、死の商人のデスガールは通路を走る3四朗達をメインモニタールームに映る映像を見ながら言う。
「とうとう来たわね3四朗。まさかカッパライダーのアホを利用して侵入するとはやるじゃない。てゆーか、昨日から待機してて、やっと到着とはね……まさか、あいつら寝てた? ……だけど、正面突破なんてらしくない事をすると、痛い目を見る事になるわよ。最強で美少女な魔女のこのアタシが、たっぷりとお仕置きしてあげるわん。星四朗の子供はアタシと作るんだから、アンタはいらないのよ3四朗……」
メインモニターに映る3四朗を見て、デスガールは吐き捨てるようにつぶやいた。
※
ただ、ひたすらに竜史の下を目指し通路を進む3四朗達のはるか後方から断末魔のような声が聞こえた。
「……ありゃ、カッパライダーの声だな。野郎、なかなか早ぇじゃねーか」
「奴はあー見えて戦闘に関してはプロだ。周りの地形やら何やらを活かせない空間では俺でも対処しきれん。奴に追い付かれる前に急ぐぞ……その前に」
ビュッ! と3四朗はブラックウィップを真横の壁に繰り出した。
「よし、これでオッケーだ」
「……何だ? ちゃーざー村。→(こっち)って?」
「カッパの生まれ故郷さ。行くぞ」
壁にちゃーざー村、→と刻んだ3四朗は右方向に走り出した。
「――シャドウの兵隊か! 輝、そこの室内に入るぞ!」
「おう!」
目の前の通路からシャドウの兵隊達が現れ、それを回避する為にドカッ! と3四朗はドアに蹴りを入れ開けた。室内は何かの研究室のようで、かなり広い空間だった。二人の侵入者に、室内にいた研究員達は驚く。
「走り抜けるぞ!」
「おい! 研究員の中にシャドウが混じってやがるな!」
「チィ!」
普通の人間の研究員に混じり、変装していたシャドウの兵隊達は二人に襲いかかる。二人は人間とシャドウを区別しながら倒していく。研究室には研究員の叫び声が無数に上がる。
「サンライトキャッスルの研究員共、死にたくなければ伏せていろ!」
そう言った3四朗は机の上に立ち、
「ブラックハリケーン!」
黒薔薇の花弁が研究室を自在に舞い、シャドウの兵隊達を蹴散らした。
追いすがる残りのシャドウ達には、机の上にある資料やビーカーなどの研究道具をブン投げて、道の妨害をした二人は奥にあるエレベーターに向けて駆ける。
「……まだシャドウ気配はないな。――あれは?」
一台のエレベーターを見つけるが、
「エレベーターは危険だ! 階段でいくぞ!」
エレベーターの横にある階段を見つけ、上の階に駆け上がる。通路には、研究員達が逃げ惑っていた。
「この状況は不利だな。シャドウだけならまだしも、あの研究員達が邪魔すぎる」
「そうだな――っと!」
答える輝の足下に、天井に仕掛けてあるマシンガンの弾が走る。
通路に逃げ惑う研究員達に室内に待機してろと怒鳴りつけ、二人は通路を駆ける。
途中、一人の研究員に追突しそうになり、その研究員にマシンガンの弾が迫る。
「どいてろ!」
左肩に弾を受けつつ、輝は天井のマシンガンを破壊する。
弾は身体を貫通したが、血が止まらない。輝はルナティックの調和の力で走りながら傷の治療をした。
今度は左右から槍がドドドドドドドド! と突き出し、二人を襲う。
「3四朗、肩につかまってろ! 覇翔月破!」
無数に突き出る槍地帯を、覇翔月破の突貫力で突きぬける。
無我夢中で走る3四朗のおでこに、水のような液体が落ちて来た。
「何だ?」
すると、天井の各所が無数に開き、水が放出された。
「水か? 水かさが増す前に気にせず突っ切るぞ」
「いや、待て」
超直感が働いた輝は、その水に少し触れた。すると、その水はコンクリートのように硬化した。
「――この水はセメントみたいなものか? 3四朗! 走れっ! 生き埋めにされるぞ!」
「ウォーターセメントか!? 人の肌に触れると急速に石化するセメントだ。こんな後処理に面倒な物を流すとはな」
輝は触れた小指を無理矢理振りほどき多少の肉を削られつつ、血を散らしながら3四朗の後を走る。
通路が次第に水色のウォーターセメントで埋めつくされていく中、二人は必死に走る。途中、二人の不意をつくように通路の左右から炎が射出され、3四朗は直撃をくらう。さらに、天井に展開したマシンガンから弾丸が放たれ、一発の弾丸が3四朗の左足を貫いた。
「3四朗!」
「――ぬぅ……おおおっ!」
痛みに耐え、3四朗は走った。
そして次の曲がり角を曲がった瞬間――。
「行き止まりか!」
「チィ!」
床に倒れる3四朗は、側面の配電盤を叩く。衝撃で配電盤の扉が多少開き、うっとうしいという感情を込めて、3四朗はまた配電盤を叩いた。
「こうなりゃ捨て身で行くしかないか!」
「輝! 一字三月だ!」
「止められるのは一瞬だぜ? うおおおおっ!」
輝の一字三月がウォーターセメントに直撃した。
二人の退路は塞がれるが、左足をおさえしゃがみこんだ3四朗は勝利を確信したような笑みを浮かべた。
一字三月によって押し返されたウォーターセメントは二人の眼前に迫る。
※
その姿をモニタールームで観察するデスガールは、
「とくとくらいなさい特性のウォーターセメント。この城のセキュリティ機能は無敵よ。鬼瓦が開発したコンピューターは本当に便利だわ。まるでアタシの手足のように動く。そこには通風口も何も無い。埋もれて死になさい、3四朗。次はあの女を……」
ググッとモニタールームの椅子にもたれかかったデスガールはサイドポニーの巻き髪をくるくると巻き、横田の顔を思い浮かべた。
※
サンライトキャッスル上空に、新聞紙に乗った魔女っ子コスプレをした巨乳のトンガリ帽子の美女がたたずんでいる。
その女、オーガスティン横田は新聞紙のマントを風になびかせつつ、
「また、たいそうな城を建造したものねデスガールの奴。無駄の無いコジャレた城のデザインがイライラするわ。今から侵入して壊してあげるから覚悟なさい――きゃ!」
城の対空防衛用のレールガンの弾が横田の新聞紙の絨毯に直撃し、くまちゃんパンツ丸出しのまま地上に落下した。その地上では、ナーコと幻覚が待ち構えている。




