二幕~盤上騎士団~
「……さて、あの真のサンライトキャッスル。いかにして侵入するか?」
「このまま正面突破でいーんじゃねーの? どーせ向こうさんは俺達が侵入してくる事なんざ知っているわけだしな」
3四朗と輝はサンライトキャッスルを見渡せる崖の上の岩の後ろに隠れ、侵入方法を探っていた。二人は黒いマントのフードをかぶり、舞い上がった地面の砂を防ぐ。
サンライトキャッスルの周囲の対人兵器は破壊されており、だれかが暴れていた形跡があった。
輝は腰の刀に手をかけ、
「3四朗」
「あぁ」
バッ! とその場から飛び上がると、二人が隠れていた岩が巨大な爆発音と共に砕け散った。舞い上がる砂煙の中から、大柄の男が奇声を上げながら現れた。
「くァ~ッ! 久しぶりだな3四朗。太陽騎士団なんてやってやがるサンライトのクソガキを殺しに中東まで来たんだが、どうやらあの城の中に居るようだな。お前等鬼瓦より早く辿り着いて殺してやろうと思ったが、同じタイミングだったな。まぁ、お前等は元仲間を殺せるとは思えねーが」
「カッパライダー……。相変わらず、一ミリの乱れもなく前髪がそろっているな。きしょく悪い」
突如現れた、素肌にライダースジャケットをはおり、前髪が完璧にそろった男、カッパライダーは右腕の生体兵器のような大砲を3四朗に向け言った。
「俺の名は田村茂だァ! カッパライダーじゃねェ!」
「うるせぇ」
頭上から輝の刀が一閃する。すかさず、カッパライダーは右足を上に上げ刀を防ぐ。奇襲に失敗した輝は後方に飛び下がり体勢を整えると、
「くァ~ッ! サンライトのクソガキを殺す前の前哨戦だ。テメェ等鬼瓦ファミリーをブチ殺してやるぜェ!」
ズドドドドドド! とカッパライダーは右腕の大砲を乱射した。辺りに砂煙が上がると同時に、サンライトキャッスル付近に黒い無数の兵隊達が出現した。
「3四朗! んだ、あのショッカーみてーなのは?」
「あぁ、あれはシャドウの兵隊だな。正面突破は難しくなったが――」
3四朗はカッパライダーに背を向け、サンライトキャッスル正門に向けて走り出した。それに輝は続く。目の前には無数のシャドウの兵隊が二人に気付き、襲いかかる。
「待て、コラァ! 邪魔だショッカー共! イーーッ!」
敬礼しながら大砲を連射しつつ、カッパライダーは二人を追いかける。そのグリーンのエネルギーに飲み込まれ、シャドウの兵隊は巻き添えをくらい消えていく。
「――そーいうわけか。カッパライダーも使いようだな」
「そうだ。バカとカッパは使いようだ。あんな化物とまともに戦ってたら死ぬ」
二人はシャドウの兵隊を蹴散らしつつ、走った。サンライトキャッスルの正門は目前である。
「覇翔月破!」
「ブラックハリケーン!」
サンライトキャッスルを守護するシャドウの兵隊達は、3四朗と輝の攻撃とカッパライダーの無差別な攻撃により全滅した。
ザッと大砲を肩に担ぐカッパライダーは、
「この城の入口に到着すると同時に、わきあがるショッカー共を全て倒す……。こりゃ、お前の作戦か? 3四朗?」
「さぁな」
「くァ~ッ! ブッ殺す。……?」
言いつつ、カッパライダーは左上の上空をチラッと見た。
そして、サンライトキャッスルの入口で双方は激突する。
ブウゥゥ……ンと右腕の大砲を大剣に変化させたカッパライダーは、そのグリーンの剣で輝を襲う。
「四次元ポケットみてーな便利な腕だな。そーいや生体兵器だったか?」
「その事は3四朗のよく知ってる所だろうぜ! あの世でたっぷり鬼瓦の悪行を聞けェ! フォーー!」
(ぐっ! 流石は鬼瓦最強の精鋭部隊、鬼瓦三銃騎を殺った奴だ。竜史の奴、こんな化物と初陣で戦ったとはな……)
輝はカッパライダーの左拳を腹にくらい、吹き飛んだ。
砂に足をとらわれつつ、体勢を立て直す輝は、
「3四朗まだか!?」
「この門、一人では開きそうも無い! 強力なエネルギーが必要だ!」
「強力なエネルギー……3四朗、全開で行くぜ!」
チラッと輝はカッパライダーを見る。
「全開で……? そうか!」
フッと笑った3四朗は輝と共に門の前で力を全開にした。
その姿を見たカッパライダーは、
「くァ~ッ! やっと死ぬ気になったかァ? 俺も全開で行くぜェ!」
ブオオオッ! とグリーンのオーラが辺りの砂を撒き散らし、暴れる。
そのエネルギーは剣から大砲に変えたカッパライダーの砲身に集中し――。
「カッパスマッシャーーッ!」
「ゼフィランサス・ゼロ!」
「覇翔月破!」
カッパライダーが技を放つと同時に、二人は背後の門に技を放った。
ズゴゴゴゴゴッ! と3人の技が門に炸裂し、爆音と共に門を砕いた。
そして、その門にすかさず3四朗と輝は飛び込み、振り返った3四朗は、
「ありがとうカッパライダー。貴様には褒美をやる」
ブラックハリケーンがカッパライダーを襲い、黒薔薇の花弁が視界を防いだ。
「ぬおっ!? 俺をダシに使いやがって! サンライトのガキの前に3四朗とルナティック! お前等をブチ殺してやるぜェ! ? またショッカーが出やがった!」
発狂するカッパライダーを無視し、3四朗と輝はサンライトキャッスル内部に侵入した。
その姿を城の中層階付近で見ていたナーコと幻覚は、
「あの空の魔方陣……カッパのアホが侵入した後、一分ほどで奴が到着するわね」
「あぁ、あの熊の絵の魔方陣はあの魔女ぜよ。この状況では3四朗達よりも、あの魔女を先に始末せねばならんな」
言いつつ、幻覚は下駄を鳴らし城の外周部を飛びつつ城の正門に降り立った。
ナーコもそれに続き、二人は破壊された正門入口から薄暗い空を見上げた。
魔法によってワープしてきた横田は、上空から二人を見つめた。
※
同時刻。
自身の部屋の玉座で3四朗と輝の侵入を感じた竜史は、
「来たか……。太陽の力・サンライト、そして月の力・ルナティック……この二つの力が合わさり、彼等が成長すれば私の計画は成就される。私の力もだいぶ浸透してきたところだ。このままだと、一度消滅した中東のような姿に鬼瓦市も消滅する事になるぞ太陽竜史。……世界とは何か? それを鬼瓦が知る日はもうすぐだ……!」
そう言い、ズズ……と左目の下の黒い痣を撫でると、その痣は呪印のように顔全体に広がった。そして、視界の先にある太陽竜史の銅像を抜き打ちで真っ二つにした。
かろうじて残っていた竜史の意識もほとんど消え、竜史の身体は夜天光に支配されつつあった。腰の後ろで手を組む竜史である夜天光は、正面のモニターに映る映像を見た。
カッパライダーの緑色の閃光が、竜史の瞳を染めた。
「カッパライダー……」




