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【第5話】しんぎゅらりてぃですとらくしょん⑨

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「ちょっとお!? なんであたしがあんた達と水着選ぶことになってんのよお!!」


商店街にあるファッションショップに花ちゃんの悲鳴が響き渡る。


「いやいや、ウィメンズと一緒に花ちゃんが水着選んでる方がいろいろと問題でしょ」

忖度のないつっこみに花ちゃんが納得いかないのかブリンブリンと体を揺らして反抗する。


「ポリコレ的には完全にアウト案件よこれ!?」

先ほどから店員さんの視線が痛いような気がする。


「ちなみに花ちゃんはどっちの水着を着るんだ?」

寧斗の疑問に若干のドヤ顔で花ちゃんが答える。


「さすがにビキニタイプのやつは変質者になっちゃうからラッシュガードみたいなやつね」

あんまり人目に肌は曝したくないもの…と聞いてもいないことまで答えてくれた。


「えっちゃんとせっちゃんが一緒に来た時にはあたしのビキニも楽しそうに選んでくれてたのに。あんたたちは薄情ね」

花ちゃんのお姉さんで超絶美人双子の江十夏さん、瀬十夏さん。

いたずら好きな二人のことだから面白がって花ちゃんにビキニを着せようとしていたのかもしれない。


「ち、ちなみに江十夏さんと瀬十夏さんはどんな水着を選んでたの?」


ちょっと気になって聞いてみただけだ。…下心などない。


「なあに~? 鼻の下伸びちゃってからに、下心丸出しじゃないの」

プライバシーの侵害になるから教えるわけないでしょ、と花ちゃん。


「商店街のから揚げおごるからカラーリングだけでも…!!」


「え、ほんと? 黒と白よ!」

から揚げの魅力の前には口の軽い弟であった。

どっちがどっちの色かは想像にお任せするわ、と肝心な情報は得られなかった。


「おい! こっちにふんどし売ってるぞ!」

寧斗が僕にネタで買わせようとしてるのか店内のふんどし売り場に案内しようとする。


「いやいや、ふんどしは水着じゃないから」

ネタでふんどしなんか履いていったら一生いじられるに違いない。

残念がる寧斗を制して僕たちはそれぞれ無難なスタイルの水着を買って店を後にした。


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「ふ、ふんどしだ! ふんどしが売ってる!」


「ものすごく目を輝かせてるところ悪いがふんどしは水着じゃないだろ」


ふんどしのなにが引き金になったのか不明だが珍しく生気に満ちた表情で絵入さんが博士に話しかけている。

抜戸さん達が買い物に出発してから少し時間をおいて私たちも買い出しついでに水着の新調にきていた。


「そういえば美多さんって海水浴とか大丈夫なんですか?」

御手洗さんがふと気になったのか素朴な疑問をしてきた。


「それがなんと、ふふふ~。平気なんですよ~」

どういう仕組みかは私も説明できないのだけれど博士のキテレツ技術で防水、浸水ともにばっちりなのだ。


「素材に使われてる金属とかの影響で重量はあるので遠泳とかはできませんが波打ち際で遊ぶのなんてお茶の子さいさいですよ!」


「それなら良かった。一緒に行くんだしボール遊びとかしたいもんね」

屈託のない笑顔で御手洗さんが言う。浜辺で遊ぶ自分たちの想像をして今から楽しみでしょうがない。


商店街のお店だから若者向けのものは少ないのかと思いきや店内には老若男女幅広い世代のニーズにこたえられそうな品揃えだった。

それぞれの水着が決まってレジに並んでいるとすぐ後ろにいた絵入さんの買い物かごにふんどしが入っているのが見えた。


「わっ、えっ、絵入さん! それ買うんですか!?」


「予備でな」


いったい何の予備なんだろう…。


普通のビキニタイプの水着もかごに入っている。

私に気づかれた後もふんどしを戻す気配がなかったのでどうやらジョークではなかったらしい。


「お、おまえ。それ…ほんとに買ったのか?」

博士があきらかに笑いをこらえながら絵入さんの買い物袋を指さして言う。


「絵入ちゃん、仮にそれ予備で使ったとして上はどうするの?」


「浜辺の貝殻でも使おうかと…」

御手洗さんの疑問に真顔で返す絵入さん。


「そしたら下も貝殻でいいのでは?」


「下貝殻は360°カバーできない」

博士の提案にそんな返答をする絵入さんがどこか可笑しかった。

水着のほかにも荷造り用の大きいバッグや日用品をみんなで買い物して解散となった。



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