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ジャン負け村人転生しようぜ  作者: リア
エピローグ
78/78

救済

〜二百年後〜



「最高位創造神様、こちらを」


「こちらに許可を頂きたいのですが」


「あーはいはい! わかったから一人ずつ喋れ!」



 天上界の一角。今日も今日とて忙しなく働く神が一柱。



「ったく、百年勉強地獄の後は仕事地獄かよ。忙殺する気まんまんじゃねぇか。親父が俺を生み出したのも納得だな」



 デスクの後ろの壁に掛けてある肖像画を一睨み。


 先代の最高位創造神は、ロキに全てを伝え終えた後で消滅した。


 残っているものと言えば、この肖像画だけだろう。



「最高位創造神様、これはどうしましょうか」


「あー、ったく! 感傷に浸ることぐらい許せよ!」



 また仕事に戻る。


 あの面倒臭がりのロキが、最高位創造神としてここまで信頼されているのは、少なからず、先代の教授のおかげであろう。



「兄さん、忙しそうだな。代わるか?」


「うるせぇ。今更譲る気はねえよ」



 執務中、弟の彼が隣に現れた。



「兄さん、非効率だとは思わないか? 俺の方が何倍も上手くやるぜ? それも省エネルギーで」


「るせぇなぁ。譲る気はねえっつってんだろうが」


「おー、怖い怖い。さすが、お父様に鬼神と呼ばれただけはあるぜ」


「あの親父、そんなこと言ってたのか」


「本人は自覚なしか。お父様、部下によく言ってたらしいぜ? 儂の息子は努力の鬼じゃ。ってな」


「へぇ」



 ロキはチラリと背後の肖像画を見る。


 厳しい顔つきでロキのことを監視していた。



「まさか兄さんがお父様に認められるようになるとは。よっぽどあの世界が大切なんだな?」


「まあな。たった二百年では諦められん」



 元々物忘れも激しく、勉強の才は全くと言って良いほど無いロキ。


 それが、最高位創造神になるためにどれだけの努力をしたか。


 人の生であれば三周できるような期間を、勉強と実際の仕事に回してきたと言えば伝わるだろうか。



「それよりも、お前はどうだったんだ。村人転生は」


「ま、悪くはなかったぜ。ただ俺にとっちゃ、こっちの席の方が大事だがな」


「譲る気はないと」


「わーってるよ。また兄さんを殺す気なんてない」


「本当だろうな?」


「最高位創造神に楯突くとか、考えられないぜ」


「ふん。まあいい」



 弟の彼はくつくつと笑う。



「それより兄さん、そろそろ」



 彼が言いかけたとき、ロキはバッと立ち上がった。



「言ったそばから。終わったのか?」


「ああ。悪いが、仕事は任せた」


「そんなことでいいのかよ。仮にも最高位創造神だぜ?」


「覚えておけ。世の中には仕事よりもっと重要なものがある」


「かっこつけちゃってまあ。ま、いいけどな。俺の望みでもあるわけだし」


「言っておくが、席は譲らんからな。あくまで代理だ」


「はいはい。数十年、せいぜい好きにやらせてもらうさ」


「頼んだ」


「どうする? 戻ってきたとき天上界がボロボロだったら」


「それはねえよ。お前は俺より優秀だろ?」



 ロキの言葉に、弟の彼は驚いたような表情になった。



「くくっ。兄さんが帰ってきたとき、席が残っていると思わないことだな。俺が優秀すぎて、みんな俺の方がいいって言うぜ」


「ふん。やれるものならやってみろ」



 ロキは弟の彼を残して執務室を出た。


 金色の円が、彼の前に出現する。



「やっと。やっとだ」



 ロキは満面の笑みで、その円に飛び込んだ。



〜人間世界〜



「あら? 揺れは収まったかしら?」


「そのようです」


「なんでや? 世界が崩壊するんとちゃうん?」


「もしかして」



 シャルルはロキが消えていった空を見上げた。



「あっ」



 しばらくして、そこへ金色の円が現れる。



「ロキっ!」



 中から現れたのは、白装束の壮年の男性。


 二百年前から随分と成長した姿になったが、シャルルにはひと目でわかるらしい。


 ロキは彼女らの姿を目にして、笑みを浮かべた。



「なんか、めっちゃ年取った感じするわ」


「はい。大人びて見えます」


「苦労してきたようね」



 金色の円からゆっくりと降りてくるロキへ、彼女らも笑顔を向ける。



「ああ。約束通り、世界を救ってきてやったぞ」



 ロキはサムズアップ。



「ロキっ! ありがとうっ!」



 シャルルは翼を広げ、空を飛んでまでロキに抱きつきにかかる。


 ロキは彼女を素直に抱きとめた。



「当然だ。この世界は、俺の居場所だからな」



 口角を上げたロキは、抱きついてきたシャルルの髪を撫でた。



「ずっと一緒だよ、ロキっ!」



 シャルルは満面の笑みをロキに向けた。

これにて「ジャン負け村人転生しようぜ」は終了となります。

ご愛読ありがとうございました。

稚な書きでしたが、楽しんで頂けたなら幸いです。

もしかしたら、続編を書くことがあるかもしれません。

そのときはまたよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 2日で一気に読みました。面白すぎて(笑) 続編が書けそうな終わり方でなお、このまま終わっても納得のいくまとめ方で凄いと思いました。参考になります。 個人的には続編を読みたい!
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