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いつも通り  作者: 千泉怜
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目の前の少女の死にたいんです発言から、お互い数秒固まっていた。目を合わせたままだがとてつもなく気まずい。

「私、死にたいんです。」

「え、ああ。」

...。


何なんだ。こっちを見てないで早く飛び降りればいいじゃないか。それとも俺が此処に居るのが気まずいとかか?まぁ、初対面の奴に見られたままじゃいやか。

 そう思い出直すか、と踵を返すと後ろ。つまり少女の方から声が聞こえた。

「...止めないんですか?」

「...は?」


何を言い出すんだ。止める?何で俺が此奴を止めるんだ?

「何で俺が君を止めるの?」

「え、」

純粋に疑問に思ったことを口に出すと少女は驚いたような、困惑したような表情を浮かべた。

「だって、大抵の人はその、自殺とかって止めるもんじゃないんですか?」

あぁ、なるほど。つまり此奴は俺に自殺を止めて欲しいのだろうか。俺が止めるのかって?ないな。

「何。俺に止めて欲しいの?自殺」

そう質問を投げかけると、少女は慌てるように「そういう訳じゃ...。」と言ってきた。


でも、何処か心の中では誰かに止めて欲しい、自殺したくない。死にたくない。そう思っているから聞いてきたんだろう。

 迷うくらいなら他所で自殺して欲しい。そもそも此処は俺が何時も使っている場所だ。特等席、ていうのは何か変だがそんな所だ。

「なあ。迷ってるなら其処から退いて他で自殺するならしてくれないか。其処さ、俺が何時もいる場所だから人が死んだ、てなると居にくくなる。」

なんかちょっと可笑しいが、別の場所に行って欲しいのは事実。


そう言うと少女は少し考えて此方に、フェンスの内側に戻って来た。

「...すみません。此処をいつも使っている方の気持ちを考えてませんでした。」

そう言って頭を下げてきた。



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