2
目の前の少女の死にたいんです発言から、お互い数秒固まっていた。目を合わせたままだがとてつもなく気まずい。
「私、死にたいんです。」
「え、ああ。」
...。
何なんだ。こっちを見てないで早く飛び降りればいいじゃないか。それとも俺が此処に居るのが気まずいとかか?まぁ、初対面の奴に見られたままじゃいやか。
そう思い出直すか、と踵を返すと後ろ。つまり少女の方から声が聞こえた。
「...止めないんですか?」
「...は?」
何を言い出すんだ。止める?何で俺が此奴を止めるんだ?
「何で俺が君を止めるの?」
「え、」
純粋に疑問に思ったことを口に出すと少女は驚いたような、困惑したような表情を浮かべた。
「だって、大抵の人はその、自殺とかって止めるもんじゃないんですか?」
あぁ、なるほど。つまり此奴は俺に自殺を止めて欲しいのだろうか。俺が止めるのかって?ないな。
「何。俺に止めて欲しいの?自殺」
そう質問を投げかけると、少女は慌てるように「そういう訳じゃ...。」と言ってきた。
でも、何処か心の中では誰かに止めて欲しい、自殺したくない。死にたくない。そう思っているから聞いてきたんだろう。
迷うくらいなら他所で自殺して欲しい。そもそも此処は俺が何時も使っている場所だ。特等席、ていうのは何か変だがそんな所だ。
「なあ。迷ってるなら其処から退いて他で自殺するならしてくれないか。其処さ、俺が何時もいる場所だから人が死んだ、てなると居にくくなる。」
なんかちょっと可笑しいが、別の場所に行って欲しいのは事実。
そう言うと少女は少し考えて此方に、フェンスの内側に戻って来た。
「...すみません。此処をいつも使っている方の気持ちを考えてませんでした。」
そう言って頭を下げてきた。




