表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第3章 貴族の娘と盗賊団編
52/70

第47話 報復

※視点変わります。


あたしは盗賊団【薔薇の棘】の頭をしているラベンダってもんだ。

盗賊団といっても今は3人しかいない。

まぁ色々とあって分裂・・・というか引き抜かれて皆出て行っちまった。

そしてつい先ほどこの盗賊団は2人になった。

あたしらはガリアムを目指す一行を襲って荷馬車を強奪する事に成功したのさ。

でもベスがやられちまった。あの【暗視】のベスがだよ。

今はポイと2人でリーンの町から東に進んだ場所にある村に盗品を売りに来ている。

昔から付き合いのある闇商人と落ち合う手筈になっているのさ。


「しばらくぶりさね、元気だったかい?」

「相変わらずいい女だな、ラベンダ。」

「物はこの荷馬車だよ。」


あたしの目の前にいるこの男が闇商人だ。

表向きは世界各地を回っている旅商人で、裏では盗品でも何でも扱う闇市場の大物らしい。

名前もいくつか名乗り分けてて、あたしらに名乗ってる名前はヨハンだ。


「今回はちったぁ派手にやったみたいだな。」

「ああ、早速買取を頼むよ。急いでるんでね。」


盗品は基本奴らの言い値で買い取ってもらう。それが盗賊と闇商人との間にある暗黙のルールなのさ。

買い取ってもらえなければ困るからいいなりになるしかないが、闇商人も馬鹿じゃないから無理に買い叩こうともしない。報復を避ける為だ。


「この商品ならこの位の額でどうだ?」

「それで頼むよ。」

「俺に抱かれる気になればもっと色つけてやるんだがな。」

「馬鹿言ってんじゃないよ!また次も頼むよ、ヨハン。」

「ああ、またな。」


闇商人の提示した金額で手を打ち、あたしらは村を後にした。


これからどうするか。

決まってるじゃないか!あいつ等に報復だよ。


「姐さん、やめた方がいいっすよ~。」

「お頭って呼びなって何度言ったら分かるんだい。」

「すみません、お頭。本当にやるんすか?」

「ポイ、あんた悔しくないのかい?ベスが殺られたんだよ?敵討ちするに決まってるだろ!」

「分かりやしたよ。やるっすよ~。」


あたしとポイはガリアムに向かって出発したのさ。

出発して2日目、前方から騎馬兵を伴った馬車がやってくるのが見える。こないだの奴らだ。

恐らくガリアムからリーンの町に戻る途中だね。


「ポイ、準備はいいかい?今回はあくまで報復だ。仕返しできりゃいいんだよ。」

「分かってるっすよ~。」


街道脇の茂みに身を隠し、奴らが近づいてくるのを待つ。

少しずつ確実に奴らが進んでこちらに近づいてくる。


「ポイ、今だよ!」


あたしの掛け声でポイが煙幕玉を奴らに投げつける。

奴らは瞬く間に煙幕で包まれて視界を遮られた。


「うわっ!何だ?」

「何これ!?どういう事なのよ!」

「前が何も見えない!」


奴ら面白いくらい動揺している。さぁてまだまだこれからだよ。

咽ながら煙幕から出てきたところに剣を構えたあたしとポイが斬りかかる。

今回は殺しはやらない。あまり残虐な事を繰り返すと冒険者に狙われて後々仕事がしづらくなるからね。


「ポイ、ずらかるよ!」

「お頭、この女連れ去っていいっすか?」


ポイが気絶させた女兵士を担いでいた。


「まったく間抜けそうに見えてあんたこういう事はちゃっかりしてるねぇ、好きにしな!」

「了解っす!」


あたしらは馬を奪い、気を失っている女兵士を連れ去ってこの場を去っていった。


「ここまで来れば大丈夫っすね。」


気を失っている女兵士を降ろして一息つく。


「まぁ女兵士は予想外だが、ポイよくやったね。褒めてやるよ。」

「へへへっ!で、お頭。この女俺の好きにしていいっすよね?」

「しょうもないスケベだねぇ、でもあんたの手柄だ。好きにすればいいさ。」


いやらしい動きをしているポイの手が女兵士に忍び寄ろうとしていたその時、女兵士の意識が戻ったようだ。


「あれ?ウィリアム達は?ちょっ!何処なのよ此処は!?」

「ようやくお目覚めかい?」

「これから楽しむんだから観念するっすよ~。」

「嫌!近づかないで!!」


まったくポイの女好きにも困ったもんだ。今までだってそうだ。連れ去った女はこいつに遊ばれて捨てられる。

同じ女としては可哀そうだけど、あたしは盗賊だ。情けなんかかけてたらやってけない。


「さ~て、楽しませてもらうッすよ~。」

「いや~!!私・・・まだ・・・」

「ポイ!ちょっと待ちな!!」

「何すか?いいとこなのに。」

「嬢ちゃん名前は?」

「・・・」

「このままその男と続けたいのかい!!」

「ロザリアです!」

「そうかい、ロザリア。もしかして男とするのは初めてかい?」

「・・・はい・・・」

「あはははは!そうかいそうかい初めてかい。」

「こりゃ得した気分すね、じゃあいただくっすかね。」

「ポイ、やめな!こいつは奴隷商に売る事にするよ。」

「え~っ!そりゃないっすよ~。」

「処女なら普通の女奴隷用数倍高く売れるんだよ。もう決めたんだ、我慢しな!」

「ちょっ奴隷なんて嫌よ!」

「じゃあこの男に犯やられるのかい?」

「どっちも嫌!!!」

「あんたは奴隷商に売るんだ、諦めな!」

「そんなっ・・・・」


ポイもロザリアもガックリ肩を落とし落ち込んでいる。

ポイには悪いが金の方が今は大事なのさ。

金で手下を引き入れてまた昔みたいに薔薇の棘盗賊団を轟かせてみせるよ。

こうしてあたしらの復讐劇は終わったのさ。

第3章終了しました。

よろしければブクマ・評価していただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ