第45話 ガリアム到着
休憩している間、ナナに馬の乗り方を教わる事にした。
「ナナ、馬に乗るのって難しいのか?」
「そうでもありませんが、私はただ跨っているだけでうまいわけではないですよ?」
「とりあえず乗れればいいんだ、教えてくれ。」
「分かりました。」
「そうだ!あんずも乗ってみろ。」
「え~!私苦手なんだよ~。」
「何だ?乗った事はあるのか?」
「振り落とされたんだよ~・・・」
割と万能そうに見えても不得手はあるようだ。
でも練習すれば何とかなるだろ?
ウィリアムに馬に乗っても問題ないか聞いたら程々にならいいよと言っていた。
この際あんずも乗れるようになった方がいいので一緒に練習を始めた。
練習を始めてからしばらくして例の音が鳴った。
チロリ~ン♪
○下級技能【乗馬術】を取得しました。
下級技能【乗馬術】乗馬がうまくなる。
あ~、こんな技能も取得するのか。もう練習しなくてもいいじゃん。
あれ?でも馬に乗れてるナナやウィリアム達は【乗馬術】なんて持ってないぞ。
その事を伝えるとナナが分かりやすく答えてくれた。
「技能がないと何もできない訳ではありません。例えば私が持ってる【料理】ですが、持っていないあんずでも料理はできます。」
「じゃあ持ってる人と持ってない人も差は何?」
「簡単に言うと持ってない人はそこそこできる、持ってる人はうまくできる、という感じでしょうか。」
「じゃあ【乗馬術】を手に入れた俺はナナやウィリアム達よりもうまく馬に乗れるって事?」
「そういう事です。但し、練習は必要になります。練習する事、つまり技能を使えば使うほど上達するんです。」
技能を持っている=強いは間違っていないが、ただ持っているだけではダメなようだ。
すべての技能がそういう訳じゃないらしいが、練習するにこした事はない。
技能の使用は別に何か消費するわけじゃないから、気付いた時は練習するようにしようと思う。
乗馬の練習は出発するまで続けた。
「あの3人何であんなに元気なのよ!ナナさんは一緒に道中戦ってたのよ?」
「本当だね、ああなるには私達の修行がまだまだ足りないんだよ。」
「リーンの町に戻ったら自分頑張りますよ。」
俺達の練習風景を見てウィリアム達が話をしていた。
そういえばここまで盗賊やモンスターと戦ってきてるよな。
俺はステータスを見てレベルが上がっているのを確認した。
亮助
メイン職業:下級職業【旅人Lv.8】
サブ職業:上級職業【勇者Lv.2】中級職業【奴隷商人Lv.4】下級職業【村人Lv.6】【魔法使いLv.3】【僧侶Lv.3】【商人Lv.3】
あんず
メイン職業:下級職業【奴隷Lv.7】
サブ職業:【獣戦士Lv.3】【魔法使いLv.3】【僧侶Lv.3】
ナナ
メイン職業:下級職業【奴隷Lv.7】
サブ職業:下級職業【村人Lv.10】【獣戦士Lv.5】【魔法使いLv.3】【僧侶Lv.3】
驚いた事に3人共戦った分量は違うのに同じ位レベルが上がっている。
これはパーティーによって経験値が均等に入ってきたという事だろうが、そう考えると戦わなくても経験値が入ってきているという事になる。
初日の戦闘は3人、盗賊と戦ったのは俺1人、峠を越えてここまではナナ1人だからだ。
しかも思ったよりもレベルが上がってるような気がする。盗賊からも経験値が入ったと考えるべきか。
「亮助さん、そろそろ出発しましょう。」
ウィリアムが声をかけてきた。
辺りは暗くなり始めていた。
夜の方がモンスターに襲われやすいんじゃないのかと聞いたら、それはあまりないと返された。ない訳ではないらしいが、夜に活動するモンスターはほんの一部らしく心配するほどじゃないと言っていた。
ウィリアムは知識は高いが戦闘力が低い。もっとレベルを上げればいい兵士になるだろう。
ウィリアムは魔道具のランプに明かりを灯し先頭を騎馬に乗り進んでいった。
その後を馬車が付いていく。
道が平坦になった為進む速さも峠を越えてる時より全然速い。
たまたまなんだろうけど、ウィリアムが言った通りモンスターとの遭遇はなかった。
そのまま一晩中走り続けた。
馬も相当疲れてるだろうに。相当タフなのか?馬に詳しくないので一晩中走り続けても大丈夫な生き物なのか俺には分からなかった。いや、そもそも元の世界の馬と同じかどうかさえ分からない。
走り続ける馬に感謝してると夜明けがやってきた。
少し先に大きな壁が見えている。あれが迷宮都市ガリアムのようだ。




