第42話 襲撃
俺達3人は魔法使いと僧侶の職に就く事ができた。
3人共攻撃魔法・補助魔法が使えるようになったので戦闘の幅も一気に広がったはずだ。
しかし今のままではただ職業を取得しただけにすぎない。
職業レベルを上げなければ本当に強くなったとは言えないと思う。早くガリアムへ行き、存分にレベル上げをしたい。
馬車に戻ってくると御者はすでに寝ていた。
「俺達ももう休もう。ガリアムまでまだ時間が掛かるし、またモンスターに襲われるかもしれない。」
「そうですね。」
「おやすみなさい、亮助様。」
【無限倉庫】から毛布を取り出して横になる。
この世界はもうじき夏のようだが夜は意外と冷える。太陽が2つある影響なのか?そもそも日本と同じ気候だとは限らないのだから思い込みは危険だ。
この世界について、まだまだ分からない事だらけだ。
元の世界でもそうだが、情報は大事だ。もう帰れないのだから色々情報は積極的に仕入れて、この世界でいい生活を送れるようにしたい。
そんな事を考えているとナナが話しかけてきた。
「亮助様、何だか外が騒がしいみたいです。」
「ん?俺は全然気づかなかったぞ。【警戒】も反応していないし。ウィリアム達じゃないのか?」
「複数の足音が聞こえますが違うと思います。【警戒が】発動しないのは私達に敵意が向けられてないからでしょう。」
「分かった、念の為に戦闘できる準備をしよう。」
そう言って素早く準備を始めた。
それから間もなく外から叫び声が聞こえた。
「何だお前らっ!ぐわぁ!!」
「ぎゃあああああ!!!」
先に準備を終えた俺が馬車から飛び出すと見張りのために熾していた火が消えていた。
それと同時に荷馬車が急に走り出したのが分かった。
俺は訳が分からず、真っ暗でよく見えないがとにかく火があった場所へ向かって進んだ。
「ポイ、先に行くでやす。おいらは足止めしてから合流するでやす。」
「気を付けるっすよ。」
何やら話し声が聞こえ、こちらに向かって何者かが走ってくるのが見えた。
【警戒】による警報が頭の中で鳴り始める。先程まで反応しなかった【警戒】が発動している。相手の標的が俺に移ったからだろう。
俺は剣を抜いて尋ねる。
「止まれ!お前は誰だ!?」
何者かは止まらずに向かってくるが、暗くてよく分からない。
俺は思い出したかのように魔法を使った。
「ライト!」
「ぐがぁっ!目が!!」
周りが急に明るくなり眩しかったが、目を凝らして見ると俺の目の前には目を抑えている鼬かカワウソのような獣人が立っていた。
俺はとっさに勢いよく剣で斬りつけた。獣人は避ける事も出来ずに斬られてその場に倒れた。
チロリ~ン♪
○中級技能【暗視】を取得しました。
〇称号【盗賊殺し】を入手しました。
どうやらこの獣人が持っていた技能を取得したみたいだ。しかもこいつは盗賊だったらしい。
【解析】で調べてみると、名前はポイ、38歳の鼬人族の男で職業は【盗賊Lv.23】だった。称号に【盗賊団薔薇の棘】【犯罪者】【殺人者】が付いている。
さらに状態が死亡になっていた。そんな簡単に死ぬのかと思ったが、相手はノーガードだった。傷が深かったのだろう。
その後すぐにナナとあんずが遅れて駆けつけてきた。
「申し訳ありません、遅くなりました。」
「亮助様、荷馬車は負わなくていいの?」
「深追いは危険だ、追わなくていい。」
俺が殺した男が【盗賊Lv.23】だ。こいつの仲間はさらに強い恐れもある。それに今から追っても追いつけない可能性もある。俺の持っている車なら追いつけるかもしれないが、知らない人に見られる訳にはいかない。
「ナナ、あんず、荷馬車意外に被害はないか確認してくれ。」
「分かりました。」
「分かった。」
今の状況を確認しようと2人に支持を出したところで、ウィリアムとロザリアの声が聞こえてきた。




