第41話 盗賊団
※視点変わります。
とある森の中、男と女が1人ずづ茂みに潜んでいた。
そこへもう1人男が戻ってくる。
「只今戻りやした。」
「ベスかい?首尾はどうだい?」
「へい!魔物寄せの粉を使ってガリアム行きの馬車1台と荷馬車2台にモンスターをけしかけやした。モンスターは倒されやしたが、峠のてっぺん辺りでそのまま野営を張っておりやす。」
報告に戻ってきたのはベスという名の黒装束姿の鼬人族の男だ。
「良くやった、褒めてやるよ。よ~し、2人ともここからが正念場だ。準備しな!」
「姐さん本当にやるんすか?」
「お頭って呼べって何度言ったら分かるんだい!!」
「すっすいませんお頭。でもやっぱやめた方がいいっすよ。」
「なんだいポイ!まだ覚悟を決めてないのかい!!もうやるしかないだろ!!!」
怒鳴られているポイという男は黒い鎧姿の蜥蜴人族で今回の作戦に反対している。
あたしは盗賊団【薔薇の棘】の頭をしているラベンダって者だ。
人族の女で、自分で言うのも何だが割と容姿には自信がある。だからこそ装備はいつも露出の高い物にしているのさ。男を騙すのにも使えるからね。
ポイを何とか説得させる。
「あたしらは盗賊団なんだよ!仕事しなきゃ食ってけないんだ!」
「盗賊団って言ってももう俺ら3人しかいないじゃないっすか!」
「仕方ないだろ!みんなよそに引き抜かれちまったんだから。何かい!?あんたも抜けるのかい?」
「そこまでは言ってないっすよ・・・。あ~分かりましたよ、やりますよ。やればいいんすよね。」
若干強引で脅迫のようだったがポイを納得させて作戦決行だ。
作戦はこうさ。相手が寝静まったら気付かれないよう荷馬車を奪う。気付かれたら最小限の攻撃で無力化する。勝てそうもなければ奪うのみとする。これだけさ。
「そんな簡単にいきやすかね?おいら不安でやす。」
「俺もっすよ~。」
「ウダウダ言ってないで出発するよ!!」
あたしら3人は峠のてっぺん付近で野営を張っている一行を目指して進んでいく。
今あたしらは明かりを点けていない。
なぜならベスが技能【暗視】を持っているからだ。暗闇でも昼間と同じように見える便利な技能だ。
ベスの後ろをあたしとポイが付いていく。
森を抜け、斜面を上がり少し先に野営を張っている一行を見つけた。
「火の番をしているのが2人、他は寝てるっす。」
【聞き耳】を有するポイが報告する。
【暗視】のベスと【聞き耳】のポイがいるからこそ、この盗賊団が今までやってこれたと言っても過言じゃない。
「よしっ!まずあたしが御者を始末して荷馬車を奪う。その後合図するからベスとポイで火の番をしてる2人を殺りな。すぐに合流してずらかるよ!」
「了解でやす。」
「了解っす。」
2人と別れたあたしは気付かれないよう荷馬車に近づき、御者席で寝ていた御者の口を素早く塞ぎ、装備しているナイフを首に突き刺した。
御者は声も上げられないまま絶命する。
手慣れた手つきで馬に蔵を付けて荷馬車と繋げていく。今まで散々盗みを働いてきたんだ。これぐらいお手のもんさ。
準備ができたらあたしが持っている技能【念話】で合図を送った。
その後すぐにベスとポイが向かった先から叫び声が聞こえてきた。火の番を始末する事に成功したんだろう。
しかし声を上げられちまったのは誤算だ。他の奴らが集まってくる前にずらからなけりゃヤバい。ハッキリ言って普通に戦闘したらこちらの分が悪い。
あたしは急いで荷馬車を出発させた。
「ベス!ポイ!飛び乗りな!!」
走らせた荷馬車にガタッと誰かが飛び乗ってきたのが分かった。
飛び乗ってきたのはポイ1人だった。
「ポイ!ベスはどうしたんだ!!」
ポイは何も言わず首を横に振っていた。
「クソッ!何てこった!とにかくずらかるよ!!」
まさか【暗視】を持ってるベスがやられるとは。やはり普通の戦闘では分が悪すぎたのか?
あたしは唇を噛みしめながら無我夢中で荷馬車を走らせた。




