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噂のマモノ育て屋さん  作者: なすたまご
新たなマイホーム
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9 変身する獣人



コタロウがクーノにこってり絞られた後、僕はコタロウに変身を見せてもらった。

人間の姿のコタロウが、コボルドの姿になる。コボルドの姿のコタロウが、オオカミの姿になる。そして、オオカミの姿のコタロウが、人間の姿になる。

おぉー。これはすごいな。自由自在に3つの姿に変身できている。


「コボルドには、こうやって変身する能力があるのかい?」


コタロウはブンブンと頭を横に振った。ついさっきまでクーノに怒られてしょんぼりしてたのに、今はもう元気そうだ。子どもの立ち直りの早さって尊敬するな。


「おいらたちの集落では、そんな話は聞いたことないねぇ。」


「そうね。この森で変身と言えば、妖狐族や天狸族ぐらいしか聞いたことがないわ。コボルド族がそういった術を使うなんて、聞いたことがないわね。」


「ということはつまり、シュンタさんの能力で変身が可能になった、ということでしょうか?」


うーん、そうなるよねー。僕の血を飲んで人の子の姿になったんだし、きっと変身できるようになったのもそのせいだろう。


けど、なんだかなー。思ってた変化じゃないよなー。

変身できるようになったって言っても、特別これから強くなれるってわけじゃないよね?僕の血の能力は魔物の成長を促す、なんじゃないのか?


「コタロウ。変身して、何か変わったことあった?」


そう聞くと、コタロウはんーと少し悩んだけど、すぐに答えた。


「オオカミになったらね、足が速くなったよ!僕、あんなに速く走ったの初めて!」


あ、確かに。さっきのことをよくよく思い出してみたら、コタロウはブゥを追っかけて来てたんだ。

あのときのブゥは全力で走ってるように見えたのに、コタロウはむしろブゥに追いつきそうだった。

僕が育てて来たブゥの速さに追いつけるなんて、すごいな。ブゥの素早さはコウガをも驚かせるほどだったのに。


と、いうことはつまり、これはあれか?この3種類の変身は、スピードフォルム、アタックフォルム、ディフェンスフォルム的なやつなのか!


それなら、確かにすごい使えるな、変身。それぞれの姿の長所を伸ばすようにトレーニングできれば、万能になるんじゃないか?

これは、いいね。いい感じだ。


けど、待てよ。オオカミの姿が、素早く動けるスピードフォルムで、コボルドの姿が爪や重たい武器でも戦えるアタックフォルムだと考えると、人間の姿は何フォルムなんだ?明らかにディフェンスじゃないし、コボルドのときの方がガッチリした体で力強くて丈夫そうだし。特にいいこと無くない?


「コタロウ、人間の姿になって変わったことは?」


「んー…。う、ううん。特にないかなー。」


ん?なんだか今、妙な間があった気がしたけど…。気のせいかな?

にしても、人間の姿になっても特になんともないのかー。

…何だろう、鋭い爪がなくなって、手先が器用になるとか?まぁ確かに人間の手の方が細かい作業できそうだけど…。

いやいや、結構人間の姿使えなくない?そもそも人間って無力だもんな。人間の最大の武器は知恵って言うし、腕力や脚力なんか魔物と比べ物にならない。わざわざ強い魔物が人間の姿になってもなんのメリットもないよね?

んー、これはちょっと保留だな。当分はその手先の器用さを生かしてベッド作りに協力してもらうことにしよう。今は人間の姿は生活フォルムっなんだってことにしとこ。いや、なんだよ生活フォルムって。


とりあえず、それぞれの変身後の姿によって、能力が変わるんじゃないかってことをみんなに共有しておく。コウガとクーノにも同じことが起きる可能性が高いから、伝えておいた方がいいだろう。


「なるほど…。確かに、この子が特別足が速いなんてことは今までありませんでしたから、その考えで間違いないでしょう。しかし、そうなると人間の姿になる必要はあるのでしょうか?特に変化もないようですし…。」


「なぁ、それなら、おいらたちも試しに変身してみて確かめた方がいいんじゃねぇか?コタロウがイマイチわかってねぇだけかもしれねぇし。」


「それもそうね。私たちなら何か気づけるかもしれないわ。…ということでシュンタさん。申し訳ありませんが、私たちも変身できるように血を…」


「またかよ!諦めないね君たちも!!」


こいつら、ことあるごとに僕の血を飲もうとして…。子どもの前でぐらい我慢してくれ!


…とまぁそんなやり取りをしていたけど、コタロウの変身については保留。今後コウガやクーノにも同じような能力が出たら、その時考えよう。

おっと、そろそろ昼ごはんの準備をしなきゃ。今日の分のぷつぷつの実を取ってきてもらってないし、モグロースもぐったりと気絶したままだ。このまま放置して、目を覚まして逃げられでもしたら大変だ。早く調理しなければ。…うっ、僕はちょっと無理だけど…。


というわけで、クーノにはモグロースの調理をお願いした。クーノが火打ち石を取り出して、火を使いたいと言ったので、洞穴の入り口近くで調理してもらうことにした。洞穴の中で火を起こすと、中が煙たくなるし、中毒でも起こされたら大変だ。今日は雲もなく快晴だし、雨の心配もないだろう。

僕はモグロースの肉を捌いているところなんて見てしまうと吐いてしまいそうなので、コタロウを連れてその場から離れておくことにする。

ちなみに、ぷつぷつの実はブゥとノウミィ、そしてコウガにお願いした。コウガは足の速さではブゥに少しだけ劣るけど、二足歩行な分、両手が空いているから3つは同時に実を持つことができるだろう。


んー、僕らは何していようかなー。おじさん、子どもと遊ぶのなんて久々だから、どんなことをしたらいいのかわかんないや。まぁ今の僕は子どもの体だから、コタロウにとっては少し年上のお兄ちゃんぐらいに見えているんだろうけど。


「コタロウ、僕らは何して遊ぼうか?」


コタロウの顔を覗き込みながら聞いてみると、コタロウが眉間に皺を作って、何か悩んでいるような顔をしていることに気づいた。コタロウは今人間の姿をしているから、僕でもすぐに表情から感情を察することができる。

どうかしたの?と聞くと、コタロウがゆっくり話し始めた。


「ねぇ、シュンタ。…シュンタは、今から話すこと父ちゃんには秘密にしてくれる?」


コウガに秘密?なんだ、親にも言えないようなことを僕に話すのか?一体、どんな話だろう。

けど、不安そうな顔をしているコタロウを前にして、秘密守れません!なんていうことはできなかった。ここは、大人な対応をしよう。深刻すぎる内容なら、コタロウには申し訳ないけど親に相談しなきゃいけないよな。


「もちろんだよ。何か困ってるのかい?僕なら相談に乗るよ?」


悪い大人だなーと思いつつ笑顔でそう言うと、コタロウはパァっと顔を明るくした。うっ、罪悪感が心に刺さります…。


「ありがとう!ほんとに、ほんとーに秘密ね!」


そう言うと、ここで見てて、と言って僕から少し距離を取り、僕と反対の方向を向いた。


「いっくよー…!」


コタロウは、大きく息を吸った。




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