表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/104

『しーちゃんと記憶の図書館』第59話

忘れていた景色



館内に入ると、

午後の光が窓からやわらかく差し込み、

木の床が金色に輝いていた。



女性は、

展示コーナーの前で足を止めた。



そこには、

海斗が描いた一枚の絵があった。



海辺の小さな町。

夕焼けに染まる空と、

その下で並んで歩く親子の姿。



女性は絵を見つめたまま、

口元に手を当てた。



「……この景色、知ってる」



声が震えていた。



「子どもの頃、母と歩いた道です。

 でも、ずっと忘れていました」



海斗は、

驚いたように彼女を見つめた。



「描いているとき、

 誰かの記憶に触れたような気がしたんです」



しーちゃんは、

二人のやりとりを静かに見守りながら言った。



「絵も、物語も、

 心にしまわれた景色を呼び覚ますことがあります。

 それは、その人に会いたがっていた景色ですから」



女性は、

絵の中の夕焼けに微笑んだ。



それは、

ずっと遠くに置き去りにしていた温かさを、

ようやく手にした瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ