表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/104

『しーちゃんと記憶の図書館』第54話

道の途中で



海斗はリュックを背負い、駅へ向かう道を歩いていた。

空はすこし曇り、街の色が柔らかく滲んで見える。



ふと、古びた公園の前で足を止めた。

ブランコに座っている少年が、膝を抱えてうつむいている。



「大丈夫?」と声をかけると、

少年はゆっくり顔を上げた。

その瞳は、泣きはらした後のように赤かった。



「……お母さんとけんかした」


海斗はベンチに腰を下ろし、

リュックからスケッチブックを取り出した。



「じゃあ、ここで景色を描いてみよう。

 話すのがむずかしいとき、絵にすると楽になることもあるよ」



少年は最初、ためらっていたが、

海斗のえんぴつの動きをじっと見て、

やがて自分も小枝で地面に絵を描き始めた。



二人の間に、少しずつ風が通った。



別れ際、少年は小さく笑った。

「ありがとう。帰ってみる」


海斗はその背中を見送りながら思った。

“絵は、やっぱり誰かの心を変える力がある”と。



その足取りは、また少し軽くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ