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『しーちゃんと記憶の図書館』第48話

海沿いの扉




海斗の家は、海岸線のはずれにあった。

白いペンキがはげた木の壁と、潮風にさらされた窓枠。

近づくほど、潮と古い木の香りが強くなった。



しーちゃんは、胸の前で日記を抱え、

そっと扉をノックした。


コン、コン。


しばらくして、中から足音が近づく。



「……どちら様ですか」

低く、少しかすれた声。



「図書館の者です。

 この日記を……お返しに来ました」



短い沈黙のあと、

扉のすき間から、鋭い光を宿した目がこちらをのぞいた。


その目は日記に移り、ほんの一瞬、揺れた。



「……そんなはずはない」

彼の声は震えていた。



「けれど、確かに……これは、僕のだ」


扉がゆっくりと開き、

潮風が二人の間をすり抜けていった。


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