表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/104

『しーちゃんと記憶の図書館』第2話

最初の訪問者



扉を開けた翌朝、

しーちゃんは「記憶の図書館」の奥の間に向かった。


古い窓から差し込む光が、

棚に積まれたノートや手紙のほこりをやさしく照らしている。



そのとき、廊下から小さな足音が近づいてきた。

入口に立っていたのは、まだ小学校低学年くらいの男の子。


「ここ、入ってもいいの?」



しーちゃんはうなずき、

「ようこそ。ここは、まだ誰も知らない物語の部屋なのよ」

と微笑んだ。



男の子は棚の一番下から、

色あせたアルバムを引き出した。


中には、海辺で笑う女の子の写真。

その横には、走り書きの短い詩が添えられていた。


『波は知っている 君がここに来たことを』



「この子、僕と同じくらいの歳だ」

男の子は写真をじっと見つめた。



しーちゃんは、その目の奥に

何かを見つけたような気がした。


「もしよければ、この子のために絵を描いてみない?」



男の子はうれしそうにうなずき、

アルバムを大事そうに抱えて部屋を出ていった。



しーちゃんはそっと扉を閉めながら思った。


物語は、開くことで息をし始める。

誰かの手に渡るたび、新しいかたちで生きていく。



その日、「記憶の図書館」には

最初の物語の息吹が満ち始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ