3/104
『しーちゃんと記憶の図書館』第3話
絵がつなぐ手紙
⸻
放課後、
小さな男の子が再び図書館にやってきた。
手には、画用紙を何枚も重ねた束。
—
「できたんだ! この子の絵!」
—
しーちゃんが受け取って広げると、
そこには青い海と、白い砂浜、
そして笑顔の少女が描かれていた。
波の色は、写真よりもずっとやわらかく、
空にはカモメが飛んでいる。
—
「とっても素敵ね。まるで、この子が今もそこにいるみたい」
—
男の子は少し照れくさそうに笑い、
「でもね…この絵、なんだか“誰かに渡したい”気がするんだ」
と呟いた。
—
その瞬間、
しーちゃんの心にひとつの記憶がよみがえった。
奥の棚に、あのアルバムと一緒に置かれていた封筒。
そこには宛先も切手もなく、
ただ「海の町にいるあなたへ」と書かれていた。
—
しーちゃんは、そっと男の子にその封筒を見せた。
「もしかしたら、この手紙は“絵”と一緒に渡されるのを待っているのかもしれないわ」
—
男の子は大きくうなずいた。
「じゃあ、僕が届けるお手伝いをする!」
—
こうして、
ひとりの少年の絵と、50年前の手紙が、
ゆっくりとひとつの物語に結びつこうとしていた。




