②⓪⑨急ぐ理由 ※更新日変更
※忙しくまた少し体調不良で3/25更新としてましたが月末になりそうです‥‥すいません!!
今年は更新頻度が少ないですがお許し下さい。
とうとうストックも尽きてリアル仕事も忙しくヤバい~
それでもまだまだ続きますから宜しくお願い致します。
「私達の状況はご理解頂けましたか?」
「へい、事情は解りヤンした」
「‥‥‥‥‥」
目の前で飄々と答える元舎弟を睨む。
ツルギ領に『メスティエール商店』が新しく始める芋の加工事業の為にカーラが子爵さんから奴隷を借り受ける事が決まり、今日はその手始めとしてニノの『付輪』の名義を変えに仲介所に来たんだ。彼女そのついでにかつてワズ王国中に有る仲介所の本部、中央仲介所に勤めていたニノなら俺達の知らない事を知ってると思い知恵を借りようとしていたが、こいつがが担当していたのは身分証明魔具の関する業務で依頼の受注や仕事の斡旋、買取や販売などの取引に対する知識は限定されたものだ。知ってるかどうかさえ解らないのに一応教えてもらう身として情報を話したんだぞ。
「怖いでヤンすよ兄貴」
「嘘付け、このくらいでビビる奴があれこれ聞いて来るかよ」
「だってあっしの知ってる事で何が役に立つか話を聞かないと解らないでヤンすよ」
「そう思ったから話したんだろ」
ニノの細かい性格を解ってたとは言えあれこれ質問され中々進まない。まさか俺とカーラの色恋なんて関係無い話まで‥‥これで何も無いじゃ許さねぇからな。
「まだ何かご質問など有りますか?」
「もう一度聞きヤすけど何で緊急依頼以上に急ぐんでヤンす?患者は安定してるんでヤンしょう!?]
「安定してると言えばそうなのかもしれません、でもハヤ様は一日でも早く治療をなされてあげたいと感じていらっしゃると思います」
「危険を冒してまででヤンすか?」
「本当しつけぇなお前。今のお前の主人がこう言ってんだぞ、口答えすんな」
「いやね、時間を掛けた方が良いんじゃないかと思うんでヤンすよ。そうすりゃ兄貴も白紙小切手を使わないで済むでヤンすし」
「良いんだよそれは、もう決めた事だ」
「でも治療は?今ん所は賭けなんでヤンしょう?時間を掛けりゃ確実なものになるかもでヤンすよ!?」
「そりゃ‥‥」
「だから敢えて言わせてもらいヤすけど急いでも何も良い事が無い気がするでヤンす」
「‥‥‥」
悔しいがニノの言った事は正論だ
こいつが言う通り例えば十年とまで行かないまでも時間を掛ければツルギ領で金貨五千枚を何とか出来るかも知れない。【伝達症】の治療法だってもっと確実なものになっていると思う。それを考えれば『キキョウ花』の事や治療はそこまで急ぐ必要は無なかった。
しかし、だ。
「時間は掛けられねぇ」
「何ででヤンす?」
「子爵さんの歳考えろ、この先ぽっくり逝ったらどうすんだよ」
「フツさん言い方」
「解ってるけどさ」
はっきり言わないと通じない奴だこいつは。
「まぁ‥‥現役にしちゃ結構行ってると思うでヤンすけど、もし領主様夫婦がそうなっても御子様に任せたら良いんでヤンすよ。患者は親しい方達なんでヤンすから問題無いでヤンしょ」
「それは無理なんですニノさん」
「何ででヤンす?」
「お前ツルギ領に来て子爵さんに子供が居るとか見聞きした事有んのか?」
「そう言や無いでヤンすけど貴族家の跡継ぎが居ないなんて‥‥‥え?もしかしてその親しい間柄の患者達の中に!?」
「それはどうでしょう、ねフツさん」
「あぁ知らねぇな」
「領主様の御子様が四十年もその病気で寝たきり‥‥」
「何も言ってねぇぞ」
俺達はニノに患者が親しい者達と誤魔化して娘達とは言っていない。ツルギ家の内情を奴隷身分のこいつに俺達の口から言う訳にも行かないからで今更だけどやはりそこは明言を避けた。
「‥‥どっちなんで?」
「私達は否定も肯定もしませんよニノさん」
「まぁ奴隷のあっしには言えないでヤンすね」
「でもお前が思った通りなら時間を掛ける訳にも行かねぇだろ」
しかしニノが自分でそこを察したんだったら俺が急ぎたい事も理解出来る筈でツルギ領の未来、そして四十年も眠り続けている被害者達のこの先の人生が掛かっているんだ。
「兄貴と女神が急ぐのはツルギ領の今後を心配してでヤンすか」
「もしそうならな」
鬼人族達は寿命が人族が長いから後遺症は浅いかも知れないが問題は子爵さんの双子の娘達。
現実問題娘達にこれ以上精神と肉体の年齢差が広がれば【伝達症】が治っても未来は無い。
でも今治療出来て子爵さん夫婦がこの先五年十年生きれば介護しつつ教育をして何とか表向きでも子爵令嬢としての体裁を整えさせる事が出来るかも知れない。そうして形だけでもツルギ領を継がせ近臣者達が領の運営をすれば良い。
それと子爵さんの異母妹で混血のイサナだ。彼女は四十年前子爵さんの領運営の手伝いをしていると聞いている。現在のツルギ領を認識させ娘達が精神的に成長するまでツルギ領を任せるとか。
でもそうなれば婚約者で父が鬼人族の族長であるマギも治療しないとイサナは自分が治ったとしても納得はしないだろうな。族長も当然キョウ・ホーも副長で親しい部下だったマギを治したいと思ってる。何より子爵さんが自分の身内だけを優先して治療するなんて選択をしない。弟シマの身勝手な理由で鬼人族の男達が被害に遭ったんだから。
俺達が急いでいるのも全員分の『キキョウ花』が欲しいのもそれが有っての事だった。
「治療の方はどうでヤンすか?賭けな治療を患者にしない方が良いんじゃ!?」
これにはカーラが答える。
「ですが何時までも待つ訳にも行きません」
「何故でヤンす?」
「【伝達症】だと発見された真階医の方とお力添えをして頂いてる権階医の方がツルギ領に赴任なされてる間に治療をしないと他のお医者様では恐らく無理だからです」
「移動の話は無いんでヤンしょう?」
「ええ、しかし一年先は他の場所に移動させられるかも知れません。もし彼等が居無くなれば‥‥」
そうなんだ。このまま俺達が何もしなくてもセン・ジュやゲン・セイは治療法の確立の為に動いてくれるだろう、ただツルギ領が費用を用意出来るのが何時になるかは解らない状況になる。2人共ツルギ領を気に入ってるが亡命希望のゲン・セイは子供が成人するまで、明階医の家柄生まれのセン・ジュは特に本国から移動を命じられたら従うしかない。あの2人が居ないと治療そのものが出来ないんだから赴任してる内に動かないと全てが無に帰す。
「それにしても兄貴達が全部おっ被る必要は無いでヤンしょ」
「損得じゃねぇんだよ、知り合いも関わってるからな」
ナサは今も魔獣狩りで治療に必要な魔核を確保してくれている。それは自分の故郷の為に力になりたいからで被害に遭った鬼人族 達の治療を何時になるか金が出来るまで後回しにするなんて出来ない。
「兄貴がツルギ領に知り合い?」
「お前の集落に泊まった時、外で一緒に居た混血の男前が居たろ」
「居やしたね」
「あの人はツルギ領生まれで子爵さんとも縁が有るんだ」
「領主様と縁ってあの兄さん何者なんでヤンすか?」
「ニノさん、彼はナンコー領属の騎士爵を持つ準貴族になります」
「女神はあの兄さんの為でヤンすかい?」
「彼が心を痛めているのも有りますが私は私でハヤ様と奥様のお力なりたいと思ったからです」
「気に入った人達の為に動いてんだ、被るとかどうでも良いだろ」
四十年も耐えて来た子爵さん達夫婦の心情を考えたら、希望を見出した族長やシデを見ればナサを思えば出来るだけの事をしたい。
「気に入っただけで‥‥はぁ、こんな兄貴じゃ女神も苦労しヤすね」
「私も同じ気持ちですから平気です」
「しゃ!流石女神、兄貴には勿体無いでヤンす」
「い、いえそんな事は」
「余計な事言うんじゃねぇよ」
その勿体無いは要らないっての。
「もしかして兄貴、照れてるでヤンす?」
「そうじゃ無ねぇ、話が逸れてるからだ」
「兄貴が照れてるぅ~!しゃしゃしゃしゃ!!!」
「大声出すなって言ってんだろ!」
当然また栗鼠人のお姉さんに睨まれたがやっとニノが俺達が知りたい事を話し出した。
次回更新は、3/25予定です。
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