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東方幻想腐女録  作者: グラたん
第一章
95/119

第八十四話 よろしい、ならば戦争です!

グラたん「第八十四話です!」

 昨夜の出来事などつゆ知らず。次の日、メンタたちは大広間にて朝食を食べ、今日も元気よく遊ぼうと気合を入れていたところなのだが――。


「よろしい、ならば戦争です!」 

「いきなり何を言いだすんだ、メンタ?」

「だってパル姉たちがいないんですよ。これはもしかしなくてもフラグですよ! 絶対何かが起こります」

「またまたそんな――」


 あるわけないと断定できないのが幻想郷だ。だが、いくらなんでもパルに限ってとてゐは思わずにいられなかった。

 そこへ身支度を整えた紫が残念そうな趣でメンタの前に座った。


「残念な事にその通り、パルさん、依姫さん、諏訪子さん、神奈子さんは月の兎共に連れ去られてしまいました」


 なるほど、笑えん。誰もがそう思った。


「フフフ、面白い冗談ですね」

「紫、飲み過ぎよ」

「酔いを覚ましてくるんだぜ」


 霊夢、魔理沙と三人に心配されズッコケそうになるが朝食を終えたスルトが昨夜自身が引き起こした現場の写真を取り出し、机に置いた。


「否、事実だ。現に裏の森一帯が焦土と化していた」

「スルトさんまで――」

「椛、射命丸」

「はいはーい、特ダネです!」

「飛空艇もバッチリ撮れてますよ!」


 二人には飛空艇が飛翔した後でリークし、何枚かはブレてしまっていたが確かに飛空艇らしき物体が空へ上がっている様子が映されていた。


『よろしいならば戦争DES!!』


 メンタ、てゐ、レミリアの三人は特に調子良く叫び立ち上がった。


「咲夜! あの空中に浮かんでる月を叩き落としにいくわよ! 四十秒で準備なさい!」

「いいえお嬢様。現状、私たちだけでは月面に到達できる手段はありません」


 現状、月面に向かう手段は敵の飛空艇かスキマくらいだ。レミリアは一旦舌打ちして爪を噛んだ。


「パァァァルゥゥゥゥ姉ぇェぇェぇェぇェえええええええエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


 メンタは頭を抱えてそのままブリッジを決め、叫び続ける。


「呪詛みたいになってるぞ、メンタ」

「あひゅぅ……」

「早苗には少々刺激の強い知らせだったか」


 近くで聞いていた早苗は血の気を失ってよろけ、スルトがそれを支えた。


「と言っても相手が月面じゃ、どうしたものかしら……」

「船……飛空艇があれば良いのですが」


 それが一番ではあるがそんなものが何処にある、と全員が紫を半眼で見た。


「師匠が作れば良いんじゃないか?」 


 てゐがそう告げると永琳は少し考えて否定した。


「幻想郷にある物資では形は作れても肝心の動力炉が作れません」


 メンタもブリッジから腹筋のみを使って立ち上がり考える。


「そうなると旧式のロケットを作って飛ばすくらいしかありませんね」

「とは言っても素材は何を使うのかしら。空中分解して大気圏で燃え尽きたり隕石で掠って宇宙空間に放り出されるのは御免よ?」

「素材なら永遠亭の周りにいっぱい生えてるだろ? 足りなきゃ冥界にでかい樹があるし」


 竹もしくは樹木。そも、幻想郷の船自体がまだ木造であるため鉄製品はまだ普及していない。無論、作ったら作ったで均衡が崩れるため紫が妖怪を嗾けて破壊工作を行っている。


「ちょっとちょっと、そんな小学生の自由研究みたいなロケットで大丈夫なの?」

「それ以前に西行妖を切り倒すのは止めてください!」

「ちなみに燃料は何ですか?」

「人力」

「無理ゲー乙です!」


 どうやって人力で宇宙まで行けというのだろう。

 さておき、永琳は比較的まともな代案を考え、イナバが持ってきたホワイトボードに図式を書き込んでいく。


「オホン。現実的に考えて、ロケットの素材は鉄です。多段分離式にして飛ばし、宇宙空間に到着後、推進起動式に変更すれば問題ないでしょう」

「ねぇ、ちょっといい?」


 そこで霊夢が手を上げた。


「何でしょうか?」

「別にロケット作らなくても紫かスルトさんがスキマ開いて乗り込めば良いと思うんだけど」


 それはそうだが――と思いつつもてゐとメンタはキレた。


「馬鹿野郎!! お前は何もわかってない!」

「霊夢さん何考えているですか!」

「な、何よ? 何が分かって無いのかしら」

『ロケット発射は女のロマン(です)!』


 論外、と霊夢は切り捨てて紫の方を向いた。


「さーて紫、スキマ開いてくれるかしら?」

「残念だけど月面周辺には外部からの接触をしないように対能力結界が張られているのよ。スキマでも移動は出来ないわ」


 ちっ、と舌打ちをして今度はスルトを見た。


「じゃ、スルトさん何とかして」

「皆で協力し何かを成し遂げる達成感は何者にも代えがたいモノだ。ロケットを、ひいては飛空艇を作るのもまた一興」


 と、阿保なことをぬかしたため流石に霊夢も半眼になったがスルトは顎に手を当てて思案する様子を見せた。

 霊夢はそういえば、と思い出した疑問を告げた。


「そういえば飛空艇って言ってたけど動力炉はどうするのよ? 永琳でも作れないとなると……貴方が持って来たり作ってくれるとかしてくれるのかしら?」

「否だ。動力炉の在りかは枢が知っている」

「へぇ……」


 枢が? と全員が疑問に思う中、黙々と朝食を食べていた枢が一度食事の手を止めた。対面にいるシンも手を止め、問う。


「枢、教えて」

「それは……言えない」


 視線は逸らされ、霊夢にも何かしら理由があるように思えた。


「よし、レッツ拷問です!」

「椅子オッケー!」

「罪袋用意完了」

「もがっ」


 そんなことは些事とばかりにメンタたちの手によって一瞬で椅子に括りつけられて罪袋を被せられ、ペンチの開閉音が鳴り始めた。


「止めてあげてください!」

「そうですよ。枢さんにも何か理由があって言えないのでしょう」


 早苗と紫が揃って止めに入り、シンは代わりに首を傾げた。


「性的な?」

「ち、違います! ……多分」

「で、どうなんだ?」


 魔理沙が『罪』と書かれた麻袋を取り外し、問う。


「……言うなと理事長に口止めされているんだ。シンに関わることだからな」

「むぅ……」


 自分の事とあっては追及は難しく、シンは口を閉じかけ、意を決してメンタの手を取って枢の頭部に当てた。


「言わぬなら、開いてしまえ、脳の奥……」

「地味に凄いこと言いますね。脳を解剖するのは簡単ですが、ここは筋を通して置いて方が後々面倒なことにならずに済むと思いますので陰陽師門に行ってみましょう」

「もし理事長が居なかったら?」

「書置きして枢さんの脳に電極繋いで中身を弄り回しましょう」

「人格は?」

「元に戻らないと思います!」


 それ即ち拷問――と魔理沙は思ったがシンが良いならと一瞬思ってしまった。


「洒落にならないから止めような!? なっ!」


 枢が必死の形相で抵抗し、身じろぎした。


「そんなことさせないから安心しなさい」


 霊夢が縄を解き枢の身体を開放して席に座らせ、ホワイトボードの前に立ってペンを取った。 


「なら、役割分担するわよ。メンタ、シン、てゐ、枢が陰陽師の方へ行って聞き出して頂戴。私たちとレミリアたちと永琳たちは素材の収拾。鉄なら地底の方が多いと思うから、さとり頼める?」

「勿論」


 パルのためならいくらでも持ってくるつもりでさとりは頷き、霊夢は班分けを書き込んでいく。


「場所は……確か守矢神社から北の方に行った所に空き地があったわよね?」

「うむ。周囲に人払いと防符結界を張っておけば問題無かろう」

「頼むわ。実作業には河童共を総動員して、細かい箇所は人間の鍛冶師に手伝ってもらいましょう。資金は紫のツケね」

「ええっ!?」

「しょうがないでしょ? 紫にしか出来ないことなのよ」


 逆に言えばスキマの使えない紫など金を投資するか信仰を集めるかくらいしか使い道がないと言える。


「そうだぜ」

「ありがとうございます、紫さん」

「そ、そんな都合の良い言葉を並べたって――」

「ダメ?」


 霊夢が珍しく紫にねだるような姿勢を見せ、メンタたちも紫の前に正座して無言で見上げている。


「わ、分かりました! 良いです! 払います!」


 無言の圧と沈黙に耐えかねた紫が根を上げ、言質を取った霊夢たちは笑顔で立ち上がって拳を掲げた。 


「各自、行動開始よ!」

『おおっ!』


 一時の気の迷いとは恐ろしいもので、紫は後で後悔することになる。



 東の陰陽師。夏季休業中ということもあり帰郷しない者たちは自室で暇を持て余したり、校庭でトレーニングしたりしている姿が見受けられる。

 教師も理事長と一部の教師を除いては帰郷しておりボーナス2か月分を手に旅行に行く予定が職員室のカレンダーに書き込まれていたりする。

 理事長室ではクーラーが25度設定でつけられており、書類の山もあと少しを残して理事長はお茶を飲んでいた。


「と、いうわけなので話して下さい。さぁさぁさぁ!」


 そこにメンタたちがいなければ緑茶はいつもの味だっただろう。今はただ苦い味が舌に残っていた。


「……全く、あいつは……」


 事情を聞かされ、その元凶がスルトだと分かるや尚渋い表情で額に手を当てた。


「ダメ?」


 シンが尋ねると理事長は顔を上げた。


「いいや。シンがそれを望むならば話そう。ただ……」

「覚悟は出来てる」

「俺も問題ない」


 愚問だったかと思い、理事長は立ち上がった。


「なら、良い。……場所を変えようか」


 理事長室の右の部屋は応接室、左の部屋は彼女の私室だ。この部屋に入った者は誰で生きて帰ることは無いと言われている場所でもある。


「私の部屋なら誰かに聞かれることも無い」


 その扉が開かれ、メンタたちは招かれていた。


「代わりに色々暴露されてますけどね」

「スルトのポスター……写真……新聞記事……」

「加えて本棚には腐った本か」


 本当に隠しておきたい物は別途隠してあるが、それでも趣味全開であることに変わりはなく三人を引かせることとなった。


「余計な所を見るな! ……それはともかくとして、腰を落ち着けようか」


 大テーブルにメンタたちを座せてお茶を用意し、簡易式の椅子を取り出して自身も座りお茶を一口含んで飲み込んだ。


「さて、まずはシンについてだが……北の古城の姫であることは知っているな?」

「無論」

「はい」

「では、その古城が何処から来たのかは知っているか?」


 はて? とシンとメンタは首を傾げた。


「ううん、知らない」

「分かった。ではそこからだな。あの古城が出現したのは今からおよそ11年前になる。特に事変にもならなかったから誰も気にはしなかったのだ。しかし当時の私は分かっている通り時間が無かった。藁にも縋る思いで古城に向かい、幻獣の素材があればと思っていた」


 理事長は一旦お茶を飲み、続けた。


「古城……というより廃墟と言った方が正しいのかもしれないな。大規模な戦火の跡が所々にある城だったよ。中に入り、城内を探していると地下へ続く階段を発見した。降りて、その先にあったのは祭壇と――シン、お前だった」


 メンタは横目でシンを一瞥し、固い意志を感じ取り視線を理事長へと戻した。


「……続けて」

「最初に見た時は既に死んでいるものだと思ったが、枢が首から血が一滴も出ていないことに気が付き、妖怪と成り果てていることを知った。その後は知っての通り、正体を隠してここへ連れてきたわけだ」


 一旦言葉を区切りシンの様子を見たが動じていない様子だ。


「それは分かった。肝心の動力炉は?」


 ほう、と理事長は克服した様子を見て関心した。


「その祭壇の奥に巨大な舟があった。中を調べて見たら動力炉を発見した形だ」

「つまり古城は月から来たということですか?」

「推察だがそうなるな」


 確証はないが巨大な船を作れる技術は幻想郷に無いため恐らくは外来か月面の二択だろうと理事長は推測している。

 なるほど、とメンタは立ち上がった。


「では早速向かいましょう!」

「待て待て。まだ話しは終わってない」

「え? もう知りたいことは知りましたよ」


 それはそうなのだが、と理事長は片手で制した。


「今のまま古城に行けば身を滅ぼすことになる。最後まで聞いて行け」

「分かりました」 


 メンタが再度座り直し、理事長はメンタたちの顔を見渡した。


「うむ。……ところで二人に聞いておきたいのだが、月は何故赤いと思う?」


 唐突かつ常識的な質問に二人は首を傾げたが何か意味があるのだろうと考えて答えた。


「ん……地球だと確か太陽熱で灼けたからって言ってましたよ」

「月は元から赤い。あの月以外は見た事無い。メンタはあるの?」

「元々は太陽の熱を反射して黄色に見えるらしいですが、ぶっちゃけ黄色の月と言われてもピンときません。枢さんはどうですか?」

「一応、黄色は見た事あるな」


 枢も昔は黄色の月を眺めていたことはあるが最近は赤い月が主流なのだろうと適当に思って見逃していたが今更ながらに考えると少々変な話だ


「では何故か。――それは境月大戦と呼ばれる戦争に原因がある。この前に在ったのが幻月大戦だ」

「幻月大戦は、確か幻想郷と月面の全面衝突でしたよね?」

「そうだ。そして境月大戦は境界世界と月面の戦いだ」


 聞いたことの無い世界名称にメンタたちは疑問を覚えた。


「境界世界ですか?」

「要するに死後の世界だ。スルトが言うには死んだ者の魂は天秤にかけられ、善い行いが多い者は境界世界へ、悪しき行いが多い者は魔界へと振り分けられ、その世界でもう一度死期を迎えるとまた天秤にかけられるらしい」


 理事長が聞いた話では並行世界を含む地球、境界世界、魔界の三種の世界を人々は輪廻転生するらしく、記憶を保持したまま転生するケースや元の姿のまま各世界を行き来することもあるらしい。

 それを地球では神隠しと呼び、異世界では勇者召喚や転生転移と呼ぶ。

 余談だが人間の大半は魔界行きとなり、即座に魔族に殺害されて地球送りになる。その惨い仕組みを作ったのは他ならないスルトだったりする。


「あれ? でも冥界って幻想郷にもありますよね?」

「あの冥界に送られるそうだ。スルトが言うには冥界は色々な場所に繋がっているらしい」


 それはとても興味のある話だが、内容がズレ始めているのを感じシンは修正した。


「それで境月大戦はどうなったの?」

「結果から言えば月面が惨敗している。それはもう惨めなくらいに」

「まるで見て来たような口振りですね」

「紫に連れられて見ていたからな」


 他にも見学目的と興味本位で神々がトトカルチョをしに来ていたりするが理事長は知る由もない。


「スルトの奴が戦うというので見学しに行ってきただけだ」

「何でそこでスルトさんが出てくるのですか?」

「それは境界世界と魔界はスルトが守護する世界だからな。……後で知ったのだが、戦争はスルトの方から仕掛けたらしい」


 メンタとしてはスルトが自ら戦争を仕掛けるというのは考え辛く、戦うとなれば余程の事情があるのだろうと思った。


「何故?」

「鬱陶しいから、だそうだ」

「もっと具体的に言って」

「どんな理由があったのかは分からん。もしかすればただの腹いせかもしれん」


 それはあり得そうだとメンタは頷いた。


「いい迷惑ですね」

「うむ。して、古城に行けば身を滅ぼすと言った原因を話そう。……半分くらいはスルトの性でもあるのだがな。あの当時スルトに対して唯一抵抗出来ていたのが依姫だった。神を降ろし、精一杯やっていたよ」

「見ている分には楽しいですね!」


 メンタの嬉しそうな表情に対して理事長は苦い表情で返し、当時の戦場を思い出つつ言葉を出した。


「あの戦いを見て本当にそう思えるのならお前は傑物だと思うぞ……。ともあれ、最終的に依姫はスルトの攻撃……と言えるのかどうかはかなり疑わしいのだが、攻撃によってその身を滅ぼし、地球へと落ちて行った」

「あ、それだと丁度パル姉に憑依した時と符号しますね」

 現在パルの年齢は19歳であり、11年前は8歳となるので依姫と契約した時期と丁度符号するのだ。

「ふむ、そうなのか」

「ちなみにスルトがやった攻撃というのは?」

「後で聞いた感じだと『呪詛』らしい。それも生物である限り必ず発狂して死に至ると言っていた。その残滓が今も古城に残っている」


 正確には『衝動の開放』という邪神の技であり対象の強い欲を発狂させる形で表面化させる。これ精神耐性は関係なく、魔法防御も無視されてしまうため実質的な対策は純粋であるか否かでしかない。


「恐っ!? でも対策があるんですよね」

「現に理事長たちは生きている」


 最低でも一回は理事長たちは古城の中へと入り帰還していることから何かしら対策はあるとシンは思っている。

 理事長は部屋の隅に置いてある小箱を手に取り、鍵を開けて中身を机に置いた。


「その対抗策がコレだ」


 それは幾何学的な模様が描かれた護符だ。首から下げられるように小袋に入っており、袋自体も物理防御魔法が付与されている。


「今あるだけで9枚だ。オリジナルを除けばこれで全部だ」

「作るのに時間がかかるんですか?」

「うむ、特殊な技術で作っているからな。仕事さえなければ一か月に一個くらいのペースで作れる」


 陰陽師の仕事と理事長の仕事が今はあり、休日をフルに使ったとしても制作できるのは一年に1枚くらいが良い所だ。


「それだけ難しい……」

「無論、今回は枚数があるのだから私たちも行こう」

「え、いやオレとシンで行ってきますよ」


 流石にそんな貴重な物を消費させてしまうのはメンタとしても心苦しく、そもこれはメンタたちの問題のため理事長を手間取らせなくても良いと思った。

 そんな考えを見抜いたのか理事長はウインクして微笑んだ。


「どちらにしても内部案内は必要だろう。下手に動かして古城が爆発でもしたら堪らん。あの古城には名品がいくつもあるからな」

「それって歴史的遺物の類ですか?」

「良く分かるな。現にメンタの装備しているその腕輪も遺物の一つだぞ」

「そうなんですか! ってことは見つけて売ったらいくらになるか……楽しみですね!」


 メンタは総古学は詳しくないがネタがあるのなら行ってみることもやぶさかではない。それを知っているシンは微妙な顔をしつつ突っ込んだ。


「いや、歴史的遺物だと見る人が見ないとガラクタ……」

「そうだな」


 枢も文学と美術センスは一般程度しかなく、名品の絵も『自分で描けるかもな』とほざくタイプだ。

 理事長も自身の趣味を語ると長くなるのを自覚しているため一度咳払いをした。


「オホン。ともかく、私たちも古城へ向かう。良いな?」

「足手まといになったら置いて行きますからね」

「お前基準だと到着早々に全滅するんだが……」


 まあ、上位妖怪が出ても何とかなるか、と考えられるくらいには枢たちも強くなっていた。


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