第六十二話 D;YourWriteOnline 3
グラたん「第六十二話です!」
パルLv20
メンタLv88
ティアールLv450
エーコLv450
ハチLv450
シイLv450
ディルメアLv450
「無茶苦茶ですね!? 流石にこれは酷いですよ!?」
メンタは絶叫した。誰がティアールたちのレベルが最前線より高いと思っただろう。
「チートです! チーターです!」
「パルのためだもの」
「こんなクソゲーにわざわざ参加するんだ。このくらいのハンデは在って良いぜ」
「そうですね」
「や、やっぱりズルはダメですよね」
「オホホホホ、何もかも駆逐して差し上げますわ!」
一人として揃わない理由にメンタは唖然としつつもステータス画面を可視化モードにして表示した。
「……つ、次はお互いの情報交換ですね。オレのステータスはこんな感じです」
プレイヤーネーム:メンタ
種族:エルフ
武器:短剣
LV88
HP 7100
MP 5600
STR 5250
VIT 3040
AGI 9900
INT 9500
MEN 7000
LUK 15
装備
武器:魔剣グラディウス
頭:デビルヘアー
胴:血まみれの巫女服
腰:血まみれの袴
足1:足袋
足2:風のサンダルフォン
装飾品:増幅のピアス
スキルスロット:【短剣Lv10】【身体強化Lv10】【武器消耗Lv10】【凶化Lv10】【暴食Lv10】【PvP特化Lv10】【血盟Lv10】【武器破壊Lv10】
特殊スロット:【残虐】【神速】
称号:狂戦士 血に飢える少女 対人上位 PK MPK 武器破壊者 防具破壊者 何でも食べます 神速 雑魚キラー 亜人キラー 人間キラー 巫女
効果:戦闘時自身のSTRとAGIを50%上昇させる。VIT80%ダウン
効果:戦闘時自身のSTRとAGIを30%上昇させるMEN40%ダウン
効果:対人戦にて全ステータスが5%上昇
効果:他人をPKした証
効果:他人にMPKした証
効果:敵の武器を破壊した証。武器破壊確率2%上昇
効果:敵の防具を破壊した証。防具破壊確率2%上昇
効果:とにかく食べた証。腐った物でもバッチ来い! 捕食時体力を1%回復
効果:アルティトラを倒した証。スキル【神速】が使えるようになる
効果:自身よりレベルが低ければ低い程自身のステータスが上昇
効果:亜人種が相手であればステータスを20%上昇
効果:人間種が相手であればステータスを20%上昇
効果:巫女服を手に入れた証。萌えるぜ!
「これは……また中々に」
中々に残虐なことになっているスキル構成にハチが絶句する。
「強いの?」
しかしゲーム初心者のパルには良く分からないらしく首を傾げていた。
「はい。恐らく最前線で戦えるレベルかと思われます」
パルの問いにティアールが答え、次いで自身のステータスを表示した。
「参考にはならないと思いますが……」
その後に続いてハチ、シイ、ディルメアもステータスを表示して見せた。
プレイヤーネーム:ティアール
種族:エルフ
武器:片手直剣
LV450
HP 100000
MP 100000
STR 100000
VIT 100000
AGI 100000
INT 100000
MEN 100000
LUK 100
装備
武器:神剣ラウンディアス
頭:なし
胴:神装ラファエル
腕:管理端末の腕輪
腰:ショートスカート
足:神速サンダルフォン
装飾品:無敵の衣
スキルスロット:【直剣Lv10】【身体強化Lv10】【武器消耗Lv10】【無敵Lv10】【聖剣Lv10】【超回復Lv10】【誓いLv10】【武器破壊Lv10】【最強Lv10】
特殊スロット:【無双】【神速】【破砕】【管理】
称号:パルのオトモその1
効果:YWO内部において最強の存在。主のために全力を尽くす勇者
プレイヤーネーム:エーコ
種族:獣人
武器:大剣
LV450
HP 100000
MP 100000
STR 100000
VIT 100000
AGI 100000
INT 100000
MEN 100000
LUK 100
装備
武器:王剣ゴルゲイム
頭:赤いバンダナ
胴:神装ウリエル
腕:管理端末の腕輪
腰:ショートスカート
腰2:天女の腰巻
足:神速サンダルフォン
装飾品:無敵の衣
スキルスロット:【大剣Lv10】【身体強化Lv10】【武器消耗Lv10】【無敵Lv10】【聖剣Lv10】【爆砕Lv10】【誓いLv10】【武器破壊Lv10】【最強Lv10】
特殊スロット:【無双】【神速】【バルバトス】【管理】
称号:パルのオトモその2
効果:YWO内部において最強の存在。主のために全力を尽くす傭兵
プレイヤーネーム:ハチ
種族:ハーフエルフ
武器:小太刀
LV450
HP 100000
MP 100000
STR 100000
VIT 100000
AGI 100000
INT 100000
MEN 100000
LUK 100
装備
武器:神銘霞ノ小太刀
頭:メイドのヘッドドレス
胴1:メイド服(半袖)
胴2:神装アリエル
腕:管理端末の腕輪
腰:メイド服
足:神速サンダルフォン
装飾品:無敵の衣
スキルスロット:【小太刀Lv10】【身体強化Lv10】【武器消耗Lv10】【無敵Lv10】【暗殺Lv10】【超支援Lv10】【誓いLv10】【メイドLv10】【最強Lv10】
特殊スロット:【無双】【神速】【不落】【管理】
称号:パルのオトモその3
効果:YWO内部において最強の存在。主のために全力を尽くすメイド
プレイヤーネーム:シイ
種族:人間
武器:片手直剣
LV450
HP 100000
MP 100000
STR 100000
VIT 100000
AGI 100000
INT 100000
MEN 100000
LUK 100
装備
武器:神剣エルィリンダー
頭:なし
胴1:奴隷服上
胴2:神装ガブリエル
腕:管理端末の腕輪
腰:奴隷服下
足:神速サンダルフォン
装飾品:無敵の衣
スキルスロット:【直剣Lv10】【身体強化Lv10】【武器消耗Lv10】【奴隷Lv10】【無敗Lv10】【超妨害Lv10】【誓いLv10】【土下座Lv10】【最強Lv10】
特殊スロット:【無双】【神速】【悲しき定め】【管理】
称号:パルのオトモその4
効果:YWO内部において最強の存在。主のために全力を尽くす奴隷
プレイヤーネーム:ディルメア
種族:エルフ
武器:片手直剣
LV450
HP 100000
MP 100000
STR 100000
VIT 100000
AGI 100000
INT 100000
MEN 100000
LUK 100
装備
武器:神剣ギガスロウント
頭:女王様のティアラ
胴1:国宝ドレス(戦闘用)
胴:神装ミカエル
腕:管理端末の腕輪
腰:国宝ドレス
足:神速サンダルフォン
装飾品:無敵の衣
スキルスロット:【直剣Lv10】【身体強化Lv10】【武器消耗Lv10】【傲慢Lv10】【聖剣Lv10】【超金銭Lv10】【誓いLv10】【崩壊Lv10】【お嬢様Lv10】
特殊スロット:【無双】【神速】【浪費】【管理】
称号:パルのオトモその5
効果:YWO内部において最強の存在。主のために全力を尽くすドS
酷いぶっ壊れ性能だとメンタは思った。
正直、この中では唯一の初心者であるパルを憐れんだ。
「えっと、これで良いのかな?」
そんなパルだが、一応空気を読んで自分のステータスを提示した。
名前:パル
種族:半獣人
LV20
HP 1500
MP 320
STR 460
VIT 460
AGI 290
INT 200
MEN 200
LUK 3060
装備
武器:初期装備の大剣・アヴェルカ
体:下着
体2:裸エプロン
装飾品:可愛い赤いリボン
スキルスロット:【スキルスロット拡張X】【ポイントオブステータス】
称号:メタルキラー 最強たちの主
ランキング:56位
『ラック三千オーバー!?』
ラック、運の良さ。プレイヤーの絶対限界値が100であるのに対してパルはその三十倍。通常のモンスタードロップ確率を10%とした場合、パルを連れて歩けばたちまち100%へ変わることになる。仮にこれが0,001%以下だったとしても3%まで上がることになる。
「あれですね、この中でまともなステータスって割とオレなんですね」
パルは首を傾げ、ティーアルたちはそっと視線を逸らした。
情報共有もそれで終わりとなり、各々がディスプレイを片付けていく。その後、メンタが話しを進めた。
「とりあえず、現状況でパル姉は安全に登りましたので、パワーレベリングを行いつつクリアの目的地に向かいたいと思います」
「ぱわーれべりんぐ?」
「あっと……パワーレベリングというのはゲーム用語なので、簡単に言うと上位者たちが付きそう強制的なレベル上げってことです。勿論、不正な行為ではないので安心してください」
そういうとパルも納得し、頷いた。
「ティアールさんたちもそれでよろしいですか?」
「パルが決めたのならそれに従います」
「おう」
「ええ」
「は、はい」
「オッホッホ」
メンタは思う。パルを上手く使えばこいつ等も使えるのではないか、と。
しかし圧倒的なレベル差があるので程々が良いとも考えた。
「それじゃあ早速行ってみましょう! 強くて美味しい狩場ならいっぱい知ってますから!」
こう見えてもメンタは古参勢だ。当然、初心者の狩場から上級者の狩場まで逐一を憶えている。それに加えてここら周辺はメンタのせいもあって近寄るプレイヤーも少ない。
「うん! 頑張ろうね!」
パルが立ち上がるとティアールたちも微笑みながら立ち上がり、後に続いた。
メンタが向かった先は半獣人領の奥地、ロウス鉱山だ。ここらの魔物は経験値が美味しく、時折メタル系の魔物も出るため稼ぎ場としては申し分ない。
「ヒャッハー! メタル! メタルですよ!!」
無論、ゲームバランスブレイカーのパルがいるためそこらから出てくる魔物はほぼすべてメタルに限られ、メンタが、ティアールたちが一斉に狩りを始めた。
ティアールたちはこれ以上経験値を稼ぐつもりがないため経験値入手設定はオフにしてあるし、メンタも現段階では必要ないのでオフにしている。つまり、パルは何もしなくても急激にレベルアップしていった。
「てい! やあ!」
しかしパルもただのお荷物になることだけは嫌なため、僅かな攻撃力を発揮してメタルを叩いていた。
「ぴぎぃ! ぴぎぃ!」
メタルたちはそんなパルに自ら近づいて経験値へと昇華されて行く。
「数時間狩りをしてますけど、パル姉の動きが見る見る上達して行ってますね」
「元々の戦闘センスが良いからかもしれませんね」
「流石はお嬢様です」
「りゃ、略してさすおぜ」
「おぜ?」
「何故おぜ……?」
「さすおじょだと語呂が悪いからおぜうさまと言い換えたんですね」
「ああ、それで」
「奴隷の分際でやるわね」
「貶されてるのか褒められているのか分かりません……」
談笑もそこそこにメンタたちは奥へと進んでいく。
ロウス鉱山は鉱山というだけあって鉱石が豊富に取れる場所だ。中にはレアな鉱石も手に入りやすいため、メンタという脅威さえなければ他のプレイヤーはここに来ていたことだろう。
カツン、カツンと適当に掘っていく。
「レヴィル鉱石にキャメライト鉱石……それに黄金まで……」
「やっぱりゲームバランス壊れてますよ、これは」
現在、メンタたちのインベントリにはレア鉱石が大量に納められており、一番資金となる黄金の塊もざっくざっく発掘されている。
「ぴぎぃー!」
「メタルクラッシャー!!」
その周辺ではパルが大剣スキルの中でも特にメタルに有効な範囲技、メタルクラッシャーを繰り出して一挙に葬り去っていた。
「メタルクラッシャー! メタルクラッシャー! メタルクラッシャー!」
作業とも言える回転効率と攻撃にパルは息を切らしながらも振り続けていた。
レベルアップの音楽が流れ、メンタは視界の右上にあるパルのレベルを見た。
パルLv93
「真面目にチートですね」
「唯一の欠点がラック値のオンオフが出来ないくらいですね」
「ある意味羨ましいとは思います。……パル姉ー、そろそろ安全エリアに戻りますよー」
「はーい!」
パルは視線こそ向けないが元気な返事を返し、倒してほしいと追いかけてくるメタルたちから一気に距離を取って逃走し、安全エリアへと入り込んだ。
安全エリアではフィールドや町中と違って運に関係する事柄は無いため、パルがゆっくりと休める数少ない場所でもあった。
「ん~」
鼻歌が聞こえてきそうなくらい上機嫌なパルはステータス画面を表示し、能力値を割り振っていく。
名前:パル
種族:半獣人
LV93
HP 6500
MP 3050
STR 6000
VIT 6000
AGI 7000
INT 2000
MEN 2000
LUK 3060
装備
武器:初期装備の大剣・アヴェルカ
体:布の服
体2:裸エプロン
装飾品:可愛い赤いリボン
スキルスロット:【スキルスロット拡張X】【ポイントオブステータス】【大剣Lv10】【剣聖Lv10】【神剣Lv10】【身体能力超強化Lv10】【破壊Lv10】【正義Lv10】【萌えLv10】
特殊:【最強無敵無敗無双】【絶対王者】【唯一無二】
称号:メタルキラー メタルスレイヤー メタルバスター メタルクラッシュ メタルに愛された者 メタルオンリー キングオブメタル 最強たちの主 ランキング1位 覇者 萌え 絶対剣士
効果:メタル系を倒した証
効果:メタル系を十匹斬った証。メタル遭遇率0.5%アップ
効果:メタル系を百匹斬った証。メタル遭遇率0.5%アップ
効果:メタル系を千匹斬った証。メタル遭遇率1%アップ
効果:メタル系を一万匹斬った証。メタル遭遇率2%アップ
効果:YWOを始めてからメタル系だけでのし上がった証。メタル系に追加で固定10ダメージ
効果:メタル系から寄ってくる証。メタル遭遇率10%アップ
効果:YWO最強を従えている証
効果:デスゲームランキングで1位に輝いた証。絶対安全圏
効果:YWOトッププレイヤーの仲間入りの証
効果:YWOに置いて容姿が優れている証
効果:今まで負けたことのない証。STR30%アップ
ランキング:1位
ティアールたちは完全に唖然とした。
「完全チートですね。しかしこれでランキング一位なら後はクリアするだけですね」
「クリアと言っても何処に行けばいいのかな?」
「そうですね……クリア条件はプレイヤーがクリアする度に代わりますので何とも言えません。今は確か天空だったような気がします」
「天空?」
「天空、空にあるフィールドにしてイベント以外では行く手段の無い場所のこと」
天空。かつてYWOでは浮遊大陸があり、そこでは一時的にプレイヤーが飛行することが出来るイベントがあった。デスゲームと化した今も存在し、ティアールたちの勝手なアップデートにより浮遊大陸に行き、もう一度クエストをクリアすれば飛行できるようになる。無論、地上でも。
しかし今となっては過疎していると言っても良い場所であり、初期から参戦しているプレイヤーたち以外はその向かい方を知らない。そして飛べるというアドバンテージを新参共に教える古参プレイヤーは今はほとんどいない。
「しかし! オレは知っているんですよ!」
「でしょうね」
メンタの言葉にティアールが頷く。
メンタは知っての通り古参プレイヤーの一人のため知っていて当然だ。知らなくてもティアールたちが分かっているため何ら問題は無い。
移動手段は基本的には徒歩か馬車の二択だが、一度行った町になら自由に行き来できる便利アイテムも多数存在する。無論、全員が一度足を運んでいることが条件のため、今回はパルに合わせて馬車で移動することにしていた。
「ボク、馬車って初めて乗ったよ」
ガラガラガラと地響きを立ててレンタル馬車が走り、御者はシィだ。
馬車自体は一般的なものとそう大差ないのだが、馬と車輪は事前にカスタム出来る。例えば馬に鋼鉄の蹄を付け、仰々しい鎧を装着させたり、車輪に横長の短槍を付けることも出来る。
「ハイドゥ、ハイドゥ、ですぅ!」
「ブルルウウウルルウウウウウ!!」
シィが馬に鞭打ち、馬は魔物を轢き殺して駆け抜けていく。
「これはどちらかというと馬戦車に近いですね」
外を見ればどこまでも続く草原。空は快晴。背後は魔物の残骸と轢き殺しかねた残骸。そして前方にはプレイヤーの集団。
「え、おいちょ、まァァア”ア”ア”アアアアアアアアアァァァァァ……」
馬の移動速度と攻撃力は御者に依存するため、レベル差400以上の轢き殺しに堪えられるはずもなく彼らは蹴散らされた。
獲得したアイテムは馬車内部に落ちるため、コロン、と宝石が落ちてきた。
「レア物ですね」
ティアールが拾い上げたそれはダイヤモンド鉱石。NPCショップで売っても2000万レンは下らないと言われる激レアの宝石だ。
メンタは何も言うことなく背後を振り返って合掌した。
人間領の人間種族が最初に降りたつ町へとやってきたメンタたちは先程入手したダイヤモンド鉱石を売り払ってお金に換え、とりあえずパルの装備を何とかしようと大通りに出てプレイヤーショップを探していた。
パルは物珍し気に辺りを見渡し、低レベル高レベル種族問わずプレイヤーたちに活気があることに気付く。
「ねえメンタ」
「はい、メンタです」
「この町は他のところより活気があるんだね」
「まあ……ここにいるプレイヤーたちはクリアをしないと決めた人たちが多いですからね」
「そうなの? でもクリアしないと現実世界に帰れないよ?」
パルの言葉にメンタは人差し指を立ててチチチと振るった。
「パル姉は現実からこっちに来ましたが、さてはて現実に帰ったところで待っているのは何でしょうか?」
そう言われてパルは気付かされる。
「……そっか。そうだよね……」
「はい。それならばクリアせずにYWO内で余生を過ごす方がよほど賢明だと考える人は多いんですよ。それに此方からも外の状況は把握出来てますし」
「アナウンスがあったの?」
「半年前くらいに、ですけれどね。YWOをクリアするとクリア条件が変更され、外の状況も大まかに説明されるんですよ。そのせいで戻っても地獄ということが分かってしまったんです」
特に最初にクリアされた時はデスゲームになった時よりも阿鼻叫喚が起こり、精神的におかしくなるプレイヤーは数多く居た。
「じゃあ、この世界はどちらかというと救いなのかな?」
「かもしれませんね。これを見てください」
メンタが渡したのはクリア順に並べられた開示された情報だ。今までにクリアされたのは5回。
1回目は外の情報。地球が魔族に滅ぼされて隷属されたという絶望的な情報だった。中には家族や友人の骸が放映されてショックを受ける者もいた。
2回目のクリア時に開示されたのは現実世界で肉体が死んだ場合の情報だ。YWOで死んでも自動的に復活出来るが、現実世界の肉体が無い場合は永遠にこの世界に留まることになる。この情報は肉体と魂は全く別物ということを知らしめ、一部の物理学者は発狂したとかなんとか。
加えて、現実世界の肉体が死亡したプレイヤーはカーリュ・レミテスの粋な計らいで『天使の輪』が付与され、取り外しは出来ないため死亡したプレイヤーは『天使』や『エンジェル』とか『亡霊』など好き勝手呼ばれることになる。
3回目は現実世界に生存しているプレイヤーが全て死亡した場合の情報。所謂『全滅』『完全クリア』と呼ばれる状態になった場合、世界の『再構築』が始まることになっている。これはティアールたちも知っており、後に非デスゲームとしてもう一度浮上することになる。その場合、『天使』たちはどうなるのかというとティアールたち管理者の手によって魂情報を元により高度な発達キャラクターとして再構成される。
正確には異世界の構築と言い換えても良い。そこに住むNPCに魂を吹き込む行為であり、それは人間を構築することだ。寿命、能力パラメータ、会話レスポンス、スキル構成等々をティアールたちは管理するだけで良い。
4回目は生存する残り人数のカウント。これは五大種族のホームタウンの中央にディスプレイで表示され、現在は残り2万649人が生存している状態だ。それも日々減っており『天使』たちの自我の残り時間として閲覧されることが多い。
5回目は転生システムの存在。もし『天使』たちが『完全クリア』になる前にゲームをクリアした場合、ここではない全く別の世界へ転生できる権利を得るという情報だ。これによって死を待つだけだった『天使』たちは『プレイヤー』として再起動することとなり、次の攻略地点である人間領を中心に活動を再開したのだ。
誰も知る事の無い余談だが転生先は地球、境界世界、魔界以外に設定されている。無論、天界と冥界は死者の行き場なので除外されている。
「それでこんなに活気があるんだね」
辺りを見渡せば天使の輪を装備したプレイヤーたちが和気あいあいとしており、かつてのYWOのような盛り上がりを見せている。
「っと、到着しましたよ、パル姉!」
見上げると『アンアンofレイズ武具店』と達筆な字で書かれた看板があり、ショーケースには最前線で使っても問題無いと言われるほどのプレイヤーメイド武具が揃っている。
メンタがドアの取っ手を掴み、カランカランと鈴の音が鳴って開かれる。
「嬌声さーん、エロ本返してくださーい!!」
メンタのあんまりな挨拶に、奥の部屋から聞こえていた金槌の音が止まり、此方に向かって走って来る足音が聞こえる。
バタン! と奥の扉が空き、前掛けを装備した栗色の長髪の女性が大きな金槌を右手に持ち、メンタに向かって鍛錬スキル『四連打ち』を繰り出した。
「だからその名前で呼ぶなぁぁ!!」
ガガガガンッ、とメンタの頭上に破壊不能オブジェクトが開き衝撃が全て吸収される。町中でPKは出来ない仕様だ。
彼女の後に続いて巨漢の男性も姿を見せ、片手を上げた。
「おう、メンタか。久しぶりだな!」
「イエス! お久しぶりです、オブレイズさん!」
パルも二人を見比べ、女性の方の頭上には天使の輪があり、オブレイズと呼ばれた男性の頭上には何もないのを確認する。
「そっちの別嬪さんたちは?」
オブレイズに尋ねられ、メンタは半歩振り返ってパルたちを紹介する。
「こっちがパル姉で、手前からティアールさん、エーコさん、ハチさん、シィさん、ディルメアさんです! ちなみにパル姉は実の姉です!」
さらりとリアル情報を割ったあたり、気心の知れた友人なのだろうとパルは思う。
「で、マッスルな方がオブレイズさん、こっちの暴力スミスがアンアンさんです!」
「誰のせいだ、全く……私はアンアン。オブレイズの妻だ」
「俺はオブレイズ。あんた、メンタの姉さんか」
「パルです。メンタとは、知り合い?」
「知り合いというか第一陣仲間だな。しかしあんだけ発狂してたメンタがまともに治るとは……一体何があったんだ?」
それはですね――とメンタが代わりに説明して、二人とも眉間に皺を寄せて頷いた。
「そうか……」
「ここに来たってことはメンタもクリアを目指すのか?」
「はい」
メンタが短く答え、パルはずっと燻っていた疑問を口に出した。
「二人はYWOに残るの?」
パルの問いにオブレイズは頷いた。
「ああ。地球がアレじゃ帰らん方がマシだろう。それにアンアンを置いてはいけん」
「我ら生まれは違えど死ぬべき時は同じを願う――こいつのプロポーズの言葉だ。ったく、私には勿体ない旦那だ」
ちなみにですが、とメンタは加える。
「オブレイズさんはYWO運営側の一人で、アンアンさんは歴史家だったそうです。住まいは中国で古代の武器や防具をYWOで再現できないかって思って鍛冶師を始めたそうです」
「そうなんだ~」
パルも、日本以外の状況も多少は知っているためそれ以上は口にしなかった。
「で、メンタ。今日来たのは姉さんの装備か?」
オブレイズがパルを一瞥し、メンタは大きく首肯した。
「はい! お金に眼つけないので最高品をお願いします!」
アンアンがパルに近寄り、じっと大剣や手、足、胴を見つめる。
「えっと……」
「ちょっと大剣を持ってみてくれ」
「はい」
「振るって」
「は、はい!」
言われるままに振るい、アンアンとオブレイズは揃って口元に手を当てた。
「初心者、速度と一撃を重視するタイプだな。大剣もレベルに見合って無いな」
「リアルスキルも一般程度、構えも動きもプレイ三日目ってところだ」
「どうしてわかったの?」
パルは驚き、その周囲で武器や防具を見ていたティアールたちが背を向けつつも立ち位置を変え、各自聞き耳を立てる。
メンタもそれを感じ取り、間に入った。
「オブレイズさんたちは最前線のプレイヤーですからね。それくらいは分かるんですよ」
その言葉にオブレイズも頷き、ニヤリと笑みを作った。
「アンアン、作るのはライトプレートと腰、足回りだ。後は革装備の方が良いと思うが、どうだ?」
「同意だ。スカートと……ハイニーソだな」
「オーケー。メンタ、素材は持ち込みか?」
「それは向こうで話しましょう」
メンタが奥の部屋にオブレイズたちと共に入って行き、歓声が上がったり叫び声が聞こえたりする。
しばらくするとメンタが奥の部屋から出て来て、凄く満足そうな表情で親指を立てた。
「イイモノが作れそうです」
「ありがと、メンタ」
パルは何が作られるのかさっぱり分からなかったが、メンタが良いというのなら良い物なのだろうとお礼を述べた。
「制作には時間がかかるみたいなので明日取りにきましょう。それとティアールさんたちは奥の部屋に行ってください」
メンタの言葉は意外だったのかティアールたちが振り返った。
「私たち、ですか?」
「はい、全員です」
見れば奥の部屋からアンアンが真面目な表情で手招きしている。
ティアールたちは誘われるまま進み、奥の部屋へと入って行った。
「ではパル姉、レッツショッピングです!」
「お、おー?」
ティアールたちが入ったのを見て、メンタはパルの手を取って店を出ていく。
カランカラン、と鈴の音が鳴った。
※ネタです。お付き合いください。
――――――――
紅魔館を突破した先に光は無かった。そこにあるのは世界の闇。
入った者は二度と出ては来れず、苦しみと快楽の狭間で溺れることになる。
イナバ「AHAHAHAHA!」
輝夜「私は鳥さん! ぱたぱたぱたぱた」
妹紅「イエァ! イエァ!」
モブウサギ「ぴちぴちぴち」
モブウサギ「ぱたんぱたん」
永琳「いらっしゃいませ~、ようこそ私の実験場へ」
それは地獄の始まり。真夜中の狂乱宴が始まろうとしていた。
メンタ「次回、Fight・Drag・Order。深夜狂宴乱舞エイエンテイ」
グラたん「慣れてきましたね」
メンタ「オレたちは一体どこに行こうとしているんでしょうか?」




