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東方幻想腐女録  作者: グラたん
第一章
52/119

第四十七話 ロリコンの神様

グラたん「第四十七話です!」

 その観客席では理事長と枢、メンタ、見学に来た霊夢、魔理沙、パル、スルトの四人もいた。静まり返る中で一際大きな打撃音が鳴った。


「痛いです!」


 メンタの悲鳴が聞こえ、拳を落としたのは険しい顔をした理事長だ。


「生徒たちに下剤盛ったのお前だろ! なんだこの長蛇の列は!」

「こんな安い手に乗る方が悪いんです。オレが敵だというのに全員疑いもしないで食べるなんて警戒心と注意力が足りませんよ。あえてもう一度言いますがオレが敵だというのに」


 メンタが思い起こすのは昨日の夜の事だ。メンタが何の策もなくただお菓子を振る舞うなんてことはあり得ない。加えて明日は本選ということもあり、油断していたアナプロたちが悪い――とメンタは思うが、普通に考えれば今まで仲良くやってきたリーダーが下剤を盛るなど考え辛いだろう。


「きったねぇ……」

「相変わらずの卑劣っぷりね」

「メンタらしいね」


 魔理沙たちもメンタの卑劣な勝ち方に若干引く。


「今回の花形の十二姫まで沈めて……どうしてくれるんだ、この静寂と白けた空気……」

「これも立派な作戦の一つですよ! それに友好ある人たちには事前に知らせましたし……」


 下剤自体はメンタが手渡ししたものにしか入っておらず事前にリタイアした腐女子たちは無事に見学している。


「それが理由になるとでも思っているのか、馬鹿者!」


 再度拳骨を落とされてメンタは泣き目を見るが、理事長の心境としてはそれでも良かった。


 ――だがまあ……結果的には良しとしよう。全ては計画が優先だ。


「それにしてもお前までくるとは珍しいこともあるものだな」


 理事長が一度話を切り上げて白いローブ姿のスルトを見上げた。


「ククク、こうしてまともに話すのは何時振りになるかな?」

「およそ半年振りだな。相も変わらず女たらしのようだな」


 理事長は周りを見渡し、呆れる。スルトからの伝言や書類は何度かやりとりしているが実際に対面するのは凄く久しぶりだった。


「本当にそんなことすると思っているのか?」

「合意の上ならな。お前から手を出すなど考えられんよ」

「なら良い。……しかし随分と衰えつつあるようだな」

「ふんっ、それも今年で最後だ。今に見ていろよ」


 そうか、とスルトが頭を撫でると理事長は両手を上げて抗議した。スルトはそれを楽し気に笑み、躱す。

 ――おやおや? これは……これはまさか?

 そんな二人を見てメンタはニヤリと笑った。


「もしかしてスルトさんと理事長は元カレと元カノの関係だったりしますか?」


 メンタが爆弾を落とすと理事長は噴き、スルトは一つ小さく呻いた。


「ブッ!?」

「ふむ。どうしてそう思った?」

「いえ、理事長のツンから何となくです」


 メンタの直感は当たり、スルトは笑った。


「ははは、中々鋭いな」

「な、何がだ! 私とスルトはそんな関係では――」


 理事長が訂正しようとするとメンタが先んじて制した。


「あ、言わなくても良いですよ。もう何となく察しがつきました」


 ふと周りを見渡すとメンタだけでなく魔理沙や霊夢たちも一様に頷いていた。


「……だろうな」

「でも意外ですね。オレはてっきり枢さんと恋人なのかと思っていました」


 話を振られて枢は実に憤慨する。これまでも理事長といると何度となくそう言われてきたが決してロリコンではない。


「俺をロリコンにする気か」


 と、枢がいうとメンタは揚げ足を取ってスルトに言葉の刃を向けた。


「その理屈ですとスルトさんがロリコンになりますよ?」

「別に構わんぞ」


 そしてスルトが否定する――かと思いきや、首肯してメンタたちは動きを止めた。


「――え?」

「は?」


 パルも少し考え、それがとある言葉の略称だということを思い出して聞き返す。


「ロリータコンプレックスのこと?」

「そう……ですが……否定、しないんですね」


 地球にしろ幻想郷にしろロリコンは大抵悪い意味で取られるため、メンタも他者のコンプレックスを冗談ならまだしも本気で突く気はあまり無かった。


「自他共に認められているからな」


 スルトは恥じることなく誇り、理事長は逆に物凄く恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 なるほど、と霊夢はニヤリと笑い魔理沙も笑む。


「へぇ……それでスルトさんとの関係の方は?」


 そして全員が足を退けたはずの地雷をパルは喜々として踏みつぶした。


「それ、敢えて誰も聞かなかったのに!」

「確実な地雷だったから避けたのに!」

「パル姉……時折本当に勇者ですね」

「ええっ!?」


 三人の抗議を聞き、パルは戸惑う。パルが天然でやらかしているためスルトも理事長もフォローのしようが無く、退路を断たれたスルトは止む無しに答える。


「――昔の恋人だ」

「昔の? 今は?」


 パルが聞き返すとスルトは首を傾げた。


「さてな。はっきりと断られてもいないから何とも言えん」


 それがスルトの答えであり、それ以上は答えようが無かった。


「そっか……理事長先生の方はどうなの?」


 だからこそパルは理事長に問う。


「馬鹿ぁ!?」

「それは聞いちゃあかんだろ!」

「パル姉、鬼ですね!」

「なんで!?」


 誰も分からないのであれば当人に聞くしかないと思っての行動なのはメンタにも分かった。分かったからこそ言ってはいけないこともある。

 が、今回はそれが幸いして理事長は一歩前進した。 


「…………だ」


 それは微かにしか聞こえない言葉だがメンタは耳聡く聞き返した。


「え? え? なんですか? 良く聞こえなかったのでもう一回大きな声で羞恥心を振り絞って出来れば涙目上目使いでハッキリと公言してくださーい」


 現状がどうなっているのかまるで解っているかのような発言に霊夢と魔理沙はメンタを羽交い絞めにして取り押さえた。


「お前が鬼だ!」


 流石に二人がかりで動きを止められてはメンタも大人しくならざるを得ない。


「い…………だ」


 理事長が勇気を出して言葉にしようとし、魔理沙がメンタの喧しい口に従来の三倍は粘着力のあるガムテープを張る寸前でメンタは叫んだ。


「聞こえませんねぇ。それじゃあ伝わるものも伝わりませんよ? さあ張り切って大きな声で叫んでみましょう! 出来れば愛を叫んでください! 哀でもオッケーでもがもがもが!!」


 ちょっと黙れ、と全員の意志が込められたガムテープを口に張られ、メンタは黙る。

 理事長の方に視線を向けると、理事長はスルトの前に立ち、頬を真っ赤にした顔を上げて叫んだ。


「い、い、今でも好きだっ!!」

「ふむ、左様か」


 まるで予測していたかの様な言葉に魔理沙は少しムッとしながらスルトに抗議した。


「エライ冷めてるな」

「まだ続きがあると見た」


 それは正しく、理事長は顔を上げたままスルトに面向かって言った。


「そうだ……お前と……スルトと一緒にいると駄目なんだ。……いつも守られてばかりで……それが無性に情けなくなって……」


 思い返すのはスルトと出会って以来の記憶。それ以来付き合いも離れずもしない関係が長いこと続き、守ろうとしてもスルトは安倍晴明以上の力を持っており助けられてばかりだった。

 霊夢も理事長が言いたい事をそれとなく気付き、補足した。


「陰陽師開祖のプライドが邪魔しているってわけね」

「……私は安倍晴明。陰陽の開祖であり後世の道を残さなくてはならないのだ」


 スルトは強い。それは間違いでは無いし、人類史でも間違いなく最強だろう。だからこそ晴明はそんなスルトから離れ、幻想郷へやってきたのだ。 

 晴明は陰陽師の開祖であり、後に続くための道を閉ざすことは出来ない。


「ふはっ、思ったよりまともな理由で反吐が出やがりますね」


 いつの間にか縄もガムテープからも逃れたメンタが口に手を当てて煽るポーズを取り、理事長を嘲笑した。


「何をっ」

「反吐が出るわけでは無いが、余も少し呆れよう。まさかそんな理由で疎遠になったのか……」


 スルトも今は全知全能の存在ではない。晴明がどんな理由で自らの元を去ったのか分かっていなかったが深く聞くこともないだろうとずっと考えていた。


「そ、そんな理由だと……これがどれだけ大事なことなのかお前が分からないはずあるまい!」


 その言葉に晴明は憤ると、スルトは首肯した。


「無論、そのような立場にいるため解る。しかし余に言わせればその程度だ。ククク……余を誰だと思っているのだ? その程度の理ならば破壊してやろう」


 スルトにとってはその程度でしかないが理事長にとっては自身が築いてきたものでもある。スルトが右手を伸ばすと理事長は反射的に身を下げて距離を取った。


「――っ!」

「何を恐れ、何から逃げる。儚き幻こそ、その瞳を眩ませて曇らせる。強きも正しくも清くあれども全て余という存在の前には揺れたまう泡沫の夢。余は全てを受け入れ全てを許そう。余はそれが許されし者」


 それに対して理事長は肩の力を抜き、微笑んだ。


「だからこそ、私はお前とは共に歩めぬのだ。お前は、スルトは優し過ぎる」


 両者の中ではそれで完結する内容をパルは疑問に思い、わざわざ言葉にした。


「要するに、守りたい人なのに自分の方が守られてばかりだから隣で肩を並べられるよになってからちゃんとお付き合いしたいってことだよね?」


 パルが再度地雷を踏み抜いて流石のメンタも戦慄した。


「うううっ!」


 理事長は羞恥のままにしゃがみ込み、顔に手を当てて呻いた。対してスルトは腕を組み、堂々と告げた。


「そうか、ならば余は何時までも待とう」

「気が遠くなりそうですけどね」


 と、メンタが言うとスルトは不敵に笑んだ。


「構わんよ。余は不死体だからな。それに待ち人は忘れない」


 ――良いなぁ……そういうの。

 そんな二人を見てパルは小さく呟いた。パルから見てもスルトという男性は大人の余裕と子供らしさを持ち合わせた存在だ。恋バナを好む女子からすれば今のシチュエーションは美味しい。自分もそんな風になれればなぁ……とパルは考えて心の中で留める。


「……おい、メンタ」


 間を見て魔理沙はメンタに近づいて耳打ちする。


「はいはい何ですか?」

「いつもみたいに喚かなくて良いのか? 絶好のチャンスだろう?」

「赤の他人ならいざ知らず、友人の前でそれはやりませんよ」


 この場合の友人はスルトも理事長も含まれており、霊夢は若干呆れた。


「あんた、あの人と友達感覚なわけ?」

「腐り縁って奴ですよ」


 腐れではなく腐り縁である。


「色々台無しだな」


 それはメンタも分かっているが、今は先に伝えておきたいことがあった。


「まあとりあえずスルトさんに一つ言っておきたいことがあります」


 メンタはスルトの前に立ち、スルトはその表情を見て先に言い当てた。


「リア充爆ぜろ、だろう?」

「その通りですよ畜生ォォ!!」


 他人の幸せはメシマズである。メンタが地面に手を突いて酷く喚いていると全試合を終えたシンが観客席にやってきた。


「戻った」

「お帰り~」

「試合、全部不戦勝で終わった。実質優勝」


 それを聞いてメンタは気持ちを切り替えて立ち上がり、手を上げた。


「では祝勝会やりましょう!」

「おー!」


 その会場は博麗神社で行われることになり、パルと魔理沙は食材を買いに行くことになった。



 次の戦いからが本番のため今晩はパルが腕によりをかけて作っている間にメンタは紫たちと今後を打ち合わせていた。


「ぶっちゃけ門内大会が三日で終わってしまったので大会まで一週間くらい暇なんですよね」


 本来であれば門内大会の予選と本選を合わせても一週間はかかるはずだったのだがメンタの下劣な手段によって恐ろしい時短を強いられてしまい、暇が出来上がっている。


「中央都市への移動は一日あれば充分ですし紫さんのスキマを借りれば秒で到着します。というわけでスキマで連れて行ってください紫さん」


 紫もメンタが強くなるのには賛成であり霊夢もオマケで強く出来れば御の字だ。加えて理事長からも教員の質上げを頼まれているため丁度良い。


「良いわよー」

「軽っ!」

「仮にも大妖怪がそれで良いのか……」

「これで時間いっぱいまで修行出来ますね!」


 シンたちの移動にはタダ飯を狙った紫のスキマを使い、シンとメンタは修行がてらしばらく博麗神社に泊るため着替えを持ち込んでいる。


 枢は教員の仕事が残っているため深夜頃に私室にスキマで返して貰う予定だ。


「それは良いんだが……理事長、余ってしまった残りの二枠はどうなされるのですか?」


 元からハブられているメンタと優勝者のシンは確定として、本来であれば四人出場する予定のため残り二枠が余っている。


「ん? あー……どーしよっかにゃー」


 が、その決定権を持っている理事長はへべれけ状態になっており思考も表情も蕩けている。


「何なら出たい奴が出れば良いのではないか?」


 スルトが言うとメンタが判子の押された書類を手に持っていた。


「そういうと思いまして実はもう届け出を出してます! 良いですよね!」

「おーけー」


 その理事長はスルトにべったりとくっつき、対抗するように早苗が反対側からべったりくっついている。

 理事長が酒杯を持って片手をあげ、一息に飲みほした。


「おい……管理が杜撰過ぎるだろ」


 枢が少々呆れつつも理事長は上機嫌に酒を注いで飲む。


「細かいことはいいんよー」

「誰を選んだの?」


 霊夢が聞くとメンタはヤケに嬉しそうに枢を指差した。


「枢さんとてゐです」

「ブーっ!?」


 ブバッと枢の口から酒が噴き出され、直線上に居た魔理沙の顔に直撃する。机にあった料理はメンタが先に避けているため吹くだけで済んだ。


「教師も出て良いのか?」


 魔理沙が若干こめかみに青筋を立てながらも顔を拭きながら聞いた。

 枢は数度咳き込んで呼吸を整え、魔理沙に片手を立てて謝りつつ答えた。


「……教師と書かなければルール上は問題ない。むしろ教師を投入してくることの方が多いだろう。何せ優勝品は――」


 と、そこで理事長が身を乗り出して枢の口を塞ぐ。


「こりゃそりゃぁいわにゃいやくほくだるおうがロロオッロロロロロロロ」

「スキマ」

「はいさ」

「汚っ」


 理事長が吐くと同時に紫がスキマを発動させ、何処かに繋いで捨てる。


「それ以上に見事な連携だったぜ」

「ふむ、晴明もそろそろ限度のようだな。寝かしつけて来よう」


 スルトが理事長を抱き上げると彼女は顔を赤くしながらも抵抗した。


「こちゃまて! あたしゃまだまだのめオロロロロロオロロロロ」

「スキマ」

「ほいさ」


 二度目のスキマを行使し、その間に霊夢たちはあるべき行動を起こした。


「はっ、これは噂に聞く浮気ですね!?」

「もしくはNTRネトラレ

「是非とも覗きに行きましょう!!」


 比較的良い薄い魔理沙はそんなメンタたちを押さえつける。


「それを当人がいる目の前で言うか?」

「覗きはダメだよ~」


 パルが微笑みつつ手を振ってメンタを威嚇し、しかしスルトは首肯した。


「別に構わないぞ」


 普通であれば特殊性癖でもない限り拒否反応を起こすはずなのだがスルトの言葉に全員が固まって微妙な静寂が訪れた。


「えっ」

「ん?」

「はっ?」

「はぁ!?」

「え、ま、マジですか!? マジで良いんですか!?」


 特にメンタは大喜びでカメラとバッテリーを手にして録画モードに手をかけた。

 だがスルトとて特殊性癖を持っているわけではないので肯定はしつつも忠告はする。


「無論、余に食われる覚悟があるのなら来るが良い。最も余の方から手は出さな――」


 最後まで言う前にメンタはカメラを降ろして真顔で拒否した。


「えっ――いや、そういうのはお断りします」


 スルトの言葉の内、『覚悟』と『来るが良い』だけを拾って後は狂戦士バーサーカー脳内で保管し、最終的には『ククク、余に倒される覚悟があるのなら来るが良い』という文章が出来上がっていた。


「メンタはやらせない! ボクが相手になるよ!」


 パルが酔ったままの勢いで立ち上がってスルトに詰め寄ろうとして霊夢と魔理沙が必死に手足を押さえて抵抗する。


「待て待て待て! お前の方が尚更駄目だろうが!!」

「メンタとかシンはともかくとしても、あんたに何かあったらそれこそヤバいわよ! というか戦争が起こるわ!」


 主に守矢と紅魔館での全面戦争になり、町や里への被害が大きくなることは容易に想像できた。霊夢はそこまで考えてそうなった方がお金が入るのではないか、と思考する。


「で、でもボクが行かないとメンタがぁ……」

「どっちも冗談だから行くな! マジで! なっ!?」


 魔理沙が必死に両者を押さえ、スルトが先に頷いた。


「うむ」

「はい」


 メンタも頷いた所でパルも席に戻って少しむくれる。霊夢と魔理沙が抑えなければスルトと戦えたのだから不満もある。


「むぅぅ……」

「どうした? 何か不満でもあるのか?」


 そんな戦闘狂思考を理解出来る筈もない魔理沙が聞くとパルはその膝に頭を乗せて目を閉じた。


「だってぇ…………くぅぅ……」

「寝た!?」


 そうだろう、と霊夢は頷いた。テーブルを見ればパルの周囲には本数こそ少ないが度数の高いお酒が空いており、つまみも相応に減っていた。


「結構酔っていたから当然と言えば当然ね。ほら、スルトさんもさっさと行って」

「うむ」


 霊夢に促されてスルトも酔い潰れた理事長を抱え直して別室へと連れていく。


「明日もあることだし、俺たちもそろそろお開きとしよう」


 枢も立ち上がり、酔い潰れていない人たちで後片付けを始める。


「そうですね」


 メンタたちも協力して瓶や缶に手を伸ばした。



 それから一週間後、メンタたちは決戦地である幻想郷中央都市カルリスへとやって来ていた。


「さて、幻想郷の中央都市カルリスにやってきましたよ!」


 メンタを筆頭に霊夢たちや紅魔館からはレミリアたちも来ており、早苗や諏訪子、神奈子も来ている。彼女たちが揃って町並みを歩くだけで人々は避け、妖怪たちは人目を避ける。親衛隊たちは影ながらひれ伏して通りを作る。


「ざわざわざわざわ」

「見て見てあの娘たち可愛い!」

「お、おいあれって守矢の巫女さんだぞ!」

「それに滅多に姿を拝めないはずの永遠亭の住人や博麗のクソニートもいるぞ!」

「幽々子様や妖夢様に紫様たちまでいるぞ!」

「あのポニテの子、確か紅魔館のメイドさんだったような……」

「何故に巫女? しかも博麗の巫女だと……」

「あのクソニートに何か弱みを握られているのかもしれないな」

「な、なんだって! そんなこと断じて許されない!」

「クソニート死すべし!」


 加えて最大都市での大会のためお祭り騒ぎということもあり義賊たちも売店を出店したり町の治安に貢献していた。


「それよか早く仕事しないと頭目に叱られるっすよ?」

「おっと、そうだったな。……って、うお!? 妖怪!」


 それと競うように親衛隊たちも悪漢たちを捕獲していた。


「……っ」


 瀕死体の霖之助を筆頭とし、


「ピクピク」


 アナプロ、


「ピクピク」


 シーケン、


「プルプル」


 枢、


「む、無念……」

『ピクピク』


 その他パルを見ていた大勢の野郎共が彼らの手によって簀巻きにされていた。


「悪い虫、ですかね?」


 義賊の一人が聞くと親衛隊の隊長が首肯した。


「我らパル姫親衛隊」

「我らは影から姫の護衛をする者なり」

「周りにいる人も護衛。だけど野郎断罪」

「こいつ等、特に霖之助コレは許されざる存在」

「あげる」


 彼らにとって女性以外はほぼ全て悪漢である。


「いつもご苦労さん。これは報酬っす」


 義賊は親衛隊と提携しており、お金や食料を渡すことで稼ぎを増やしており、親衛隊もそれに頷いて契約している。


「コクリ」

「確かに」

「あばよ、とっつあん」


 次の獲物を狙って彼らは去って行く。よくよく見ると町の影や上空には妖怪では最上位に匹敵する影法師や竜が飛んでおり、それをみた義賊たちは慄く。

 そんな義賊の一人が彼に近寄って話を聞く。


「お前……妖怪とコネあるのか?」

「ふっ……世の中には共通できるものがあれば手を取り合える存在もいるってことっすよ」

「無駄にかっけぇ……」

「さてと、こいつらは麻袋に詰めて売るっすよ」

「おうよ!」


 これが後に露見して彼は義賊の中でも一目置かれるようになる。


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