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第六章 幽霊少女の憂鬱

ユウ「ただの人間には興味ありません。この世界に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、ぼくのところに来なさい。以上。」


??「呼ばれたような気がして……」

「おうぃー! ゆぅうぅー! やっっとかえぇってきぃたのきゃ! アヒャヒャヒャ!」

「うわぁああん! …………ずでられ、たかっ、と、…………おも…おもた、よぉおおおおおおおお! ……うっ、き、気持ちわ、ゲロゲロゲロゲロ」


 ――――な、何だこの地獄絵図は…………

 僕がいない間に何かあったことは想像つく。でも何が?

 マスターやってるくせに、酒が弱いケイ姉が相当酔っぱらってるのは分かる。酒を一口でも飲めばこうなるし…………でも、クマのほうは訳が分からない…………


 これは、泣き上戸……いや、吐き上戸でもありそうだ…………

 せめてもの救い…………なのかは分からないが、飲んだビールが純度100%のまま出ている。絵面的には、まあ、ましだ……


「すぐ、すぐがえっで……ぐるっで、いっだのに! いっだのにいいいいいいいい! ゲロゲロゲロゲロ」

「そぅだぞぉ! うそぉつきは、いけない……いけな……うわぁあああああ! あいしてるって、いったのにぃいいいいいいいいい! そつぎょうぅしょうしょぉおおおおおお!」


 ――――あーあー、もう収集つかねぇ……

 ユウはそのまま逃げようとしたが、クマが背中にのってきた。…………ビールを吐き出しながら………お前は壊れたビールサーバーか!


「はい、吸って、吐いてー。吸って、吐いて―」

「すー、ゲロゲロゲロゲロ。すー、ゲロゲロゲロゲロ」


 取りあえず腹の中に溜まったビールを全部吐かせた。吐き疲れたようでそのまま眠ってしまった。

 このクマはさっさとベッドに眠らせておこう。ケイ姉は…………そっとしておこう。



 「あー、死ぬ。もう死ぬわ。動けないもん……」

 

 熟睡のクマをベッドに置いて、何とかビールまみれの体を洗ったりすると、そのまま床にうつ伏せで意識を失ってしまった……



 ――――ううっ!お、重い……何かが背中の上に? あのクマの仕業か、全く…………ってあれ? あれれ? か、体が動かない、息も苦しいぃ! こ、これって、金縛りじゃ!? いや、落ち着け、金縛りは疲れている時に、頭は起きてるのに体が寝ている現象って、聞いたことがある。それにしても、本当に人が乗ってるみたいだな……


「あっ………起きちゃった……」


 ――――こ、声が聞こえるぅううう!? ヤバいヤバい! これ本物だよ! どうしよう! ってどうしようもできない。 僕はどうなっちゃうんだ! ……って、あれ?しゃべれるじゃん……


「ちょっと、どいてください! 重い、重い、重い!」

「わ、分かりましたけど、レディに重いとは失礼ですね! 焼き殺しますよ!」

「えっ、殺されるの!? あ、やっと動いた!」


 自由に動けないのは2回目だが、やはり慣れないものだ……。うつ伏せの状態から姿勢を正すと、影も幸も薄そうな女の子が正座で座っていたので、僕も向き合って正座した。


 その子はとても焼き殺すなんて恐ろしいことを言うようには思えない、おとなしく、不思議な雰囲気をもっていた。

 夜の闇に消えてしまいそうなほど漆黒な、月明かりに輝く長い髪。

 それと対照的な、純白の光を放つ着物。こういうのを白装束というのだろう。

 おそらく年齢は僕より年下で十五歳ほどだと思うが、年頃の華奢きゃしゃな感じがせず、とても落ち着いている。


「あ、あの。あんまりじろじろ見られると照れるのですが……」


 ――――先ほどとは変わって、恥ずかしさで頬を赤く染めたの姿はやはり幼さが残っているように感じる。


「ご、ごめん! それで、君は何者なの? どうして僕の家に?」

「私が何者かは、分からないんです……私が目を覚ましたのは昨日のお昼頃で、その時から私の記憶があやふやで、自分の名前も覚えてなくて……」

「そうか……そんなことってあるものなんだね。じゃあ僕の家に来た理由は?」

「理由というと難しいです。薄々感づいていると思いますが、私、幽霊で、宙を浮いたり、壁をすり抜けたりできたんです。それで何となくうろうろしていたらここにいました。どうやら夜になったら人間に戻ってしまうようで、ここで一晩お世話になったら出ていこうと思っていたのですが……」


まさか幽霊がホントにいたなんて……

高難易度のダンジョンにはアンデット系のモンスターがいるというのは、聞いたことがあった。

しかしそれはモンスターの話だ。けして幽霊とは違う。

目の前の幽霊は僕達との違いが見つからない、生きた人間のようだった。


「にしてもあれだね。結構、想像してた幽霊と違うんだね! てっきり体が透けるとかかと思ってたよ!」

「そう、そうなんです! 夕方まではしっかり幽霊してたんです! でも夜になったら実体を持ったというか、浮いたり、すり抜けたりできなくなっていて……」

「あー、そうなんだ……」

「代わりに金縛りとか炎を操れるようになっていたんです……」

「そっか……って、えぇ!? 何そのハイスペック!」


 ――――炎を操れて、金縛りという拘束魔法まで使える。それって魔法使いじゃないか……!こんな仲間がいたらどんなに心強いだろう。よし! とにかく誘ってみよう!


「あのさ、僕冒険者をやっているんだけど、良かったら仲間になって欲しいんだけど……」

「いやです!」


 ――――そ、即答……。いや、まだだ、まだ諦めないぞ!


「でもさ、夜に実体化するなら住むとこがいるでしょ? この家なら好きに使っていいし、もし必要だったらご飯だって準備するけど、やっぱりダメかな?」

「うっ、人の弱みに付け込んで……。知らない人にペラペラしゃべるべきではなかったです……。でも、ご飯なんて食べなくていいですし、家だって何とかしてみせます! だから冒険なんて嫌です! モンスターは怖いです! 食べられちゃいます!」


――――なるほど。モンスターが嫌だったのか! それなら……


「モンスターなんて怖くないよ! 近寄るモンスターは僕が全部やっつける! 命に代えても必ず、君のことを守り続けるから! だからお願いだ、僕の仲間になってください!」

「なっ……そ、そんな愛のプロポーズみたいな誘われ方したって、全然嬉しくないんですからっ!!!! …………嬉しくないけど、熱意だけは伝わってきました。まだ名前も知らないけど、あなたと一緒なら冒険してもいい……かもしれません……」

「ホントに! やったぁ!! ありがとう! 僕の名前はユウっていいます! これからよろしくね!」

「ユウさん、ですか……それなら私は幽霊の『レイ』と名乗らせてもらいます」


 こうして新たに半人半霊の少女『レイ』が仲間になった。なったけど……その直後レイの体がだんだんと薄くなってきた


「どうやら時間みたいですね……太陽が昇ったら、お昼みたいに誰にも見られない幽霊に戻ってしまうんですね……」

「そっか、でもまた夜になれば会えるよね!」

「はい! それまではあなたを見守ることにします。だから少しだけおやすみなさい……」


 別れが寂しかったのか、そう言うと彼女は、僕に催眠魔法をかけ、眠らせてしまった。



「おいっ!おいこら!さっさと起きないか!」


 もう朝か。夜はクマの介護だったり、金縛りでぐっすりと眠れていない。


「もうちょっと寝かせてよ……寝不足なんだから……」

「ね、寝不足だと!? 貴様、どうやら死にたいようだな! クマだからと甘く見るなよ、貴様程度いかようにでも殺せるのだぞ」

「殺すなんて物騒だなー……。ご飯なら炊いてあるから自分で食べてよ!」

「話を逸らすな! 純潔の誓いをして1週間もたっていないのだぞ! これだから男というものは信用ならんのだ!」


 ――――このクマは何を言っているのだ……。きっと二日酔いで頭が混乱しているのだろう。

 そう思い、クマと反対の方向に寝返りを打つと…………


「おはようございます! ユウさん」

「なっ……レイ!? 何で君が見えるんだっ? というか近っ!!」


 あまりに突然のことで思わず仰け反ってしまったが、あの子がいる!

 そう、まさしく想像通りというような透け方をしているが確かにレイがいる。さっきは見えなくなるって言ってたのに!


「いやー、夜に姿見られてしまったら、日が昇ってても見えてしまうんですね! 知りませんでしたよー」

「そ、そうだったんだ……知らなかったからびっくりしちゃったよ!」

「おいこら! 人を無視してイチャイチャするな! 私がぐっすり眠っている間に女を連れ込みおって! 絶対に訴えてやる!」


 ――――いったいどこに訴えるのか分からないが、クマが盛大な勘違いをしている……

 あっ、昨日アオイさんにもらったナイフを手に持ちやがった。どうやら武力に訴えることにしたらしい。


「一回落ち着いて、深呼吸をして彼女をよく見てよ!」

「むっ! また私に吐かせるつもりだな! 落ち着こうが何だろうが、どうみても黒髪ロングの男が好きそうな清純派で、ちょっと透けていて……透けて…………って、えぇぇーーー!!! ゆ、幽霊じゃないか!? 貴様! 人間に手が出せないからってそこまでするとは……」

「ちっ、違うよ!この子はレイ。僕たちの新しい仲間だ!」


 そう説明すると、まだ納得はしていないようだがナイフは置いてくれた。


「じゃあ改めてあいさつね! このしゃべるぬいぐるみはクマ。こう見えて天の使いで、こっちの幽霊が……」

「はじめまして! 命に代えても君を守る! と言われて仲間になりましたレイといいます」

「ユウ! やはりそういうことか! 取りあえず死ねぇ!!」

「ちょっ、なんでそんな誤解されそうな言い方を……って、危なっ!! 今避けてなかったら内臓いってたぞ!」


 とまあこんな感じで、ただでさえ騒がしい家がさらに騒々しくなり、二人と一頭?の冒険が始まるのでした!

 やっと、『レイ』出せた! ユウが弓上手かろうが、下手だろうがどうでもいいから! もうこの後の話想像するだけでニヤニヤするもん。

 しかしまだ後衛二人だからな……。実際いたら、せこい戦いになるんだろうな……


ちなみにツイッター始めました。よろしければフォローしてください!

https://twitter.com/ryo_mountain

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