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ありふれた職業で世界最強  作者: 厨二好き/白米良
ありふれたアフターストーリーⅡ
245/541

ありふれたアフターⅡ ティオ編 子供ができてしもうた……

言い訳はしない。

白米はね、アメトークを優先したんだ。

そしてね、今日はガキ使を優先するんだ。

結論→書ききれなかった。


というわけで、あと一話だけ続くんじゃよ。


 曇天から姿を見せた邪竜ヘルムート。


 体長は優に百メートルを超え、光を吸い込むかのような黒鱗と、墨を垂らしたような黒と縦に割れた緋色の竜眼を持つ。幾本もの黒い竜巻に囲まれ、豪風が吹き荒れているというのに彼の周囲には湧き出るような黒い靄が纏わりついていて、その輪郭は判然としない。


 ただそこにいるだけで、空気が死んでいるかのように錯覚する。息苦しく、手足は震えて言うことを聞かず、まるで自分というキャンパスに黒インクを流し込まれでもしたかのように意識が塗り潰されていく。


(あぁ、これは、ダメです……)


 カチカチと鳴るのは自分の歯の音。それを頭の片隅で意識しつつ、ローゼは内心で呟いた。


 堕ちる――という言葉の意味を、今、理解した。


 あれは確かに、〝堕ちた存在〟だ。ただそこにいるだけで生ある者を害し、絶滅に追いやる者。説得だとか、戦うだとか、そういう概念の埒外にある〝討滅〟以外に選択肢のない存在。過去に、どんな事情があろうと関係ない。


 それは、まさに〝不俱戴天の仇〟


 互いの信義を賭けて戦うのではない。ただ、討たねばならない。この先の未来で、生きていきたいのなら。


 そう分かっていても……


(勝てるわけ……ない。こんな……これほどの……存在を生み出した……人の業……あぁ)


――未来など、なかった


 ローゼの心が折れかける。討たねばならないと分かっていても、未来が見えないのだ。眼の前の存在の、余りに深い憎悪に、絶望に、そして感じる強大な力に呑まれて……


「グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

「っ」


 咆哮が轟いた。暗雲を吹き飛ばさんばかりの、勇壮にして覇気溢れる雄叫び。人々を侵蝕する恐怖を吹き飛ばすには十分。同時に、白銀の光がオーロラのように都市を覆っていく。


 希望はここにある。誰一人、見捨てはしない。


 黒に染まりかけた世界が、灯火に照らされたように光を取り戻した。人々が恐怖の楔から解放され天を見上げる。言葉はなくとも、王の咆哮がその意志を伝える。


「クワイ、ベル……」

『相棒、しっかり。僕達は、王だ』


 【真竜の涙泉】に、精神の成長を促すような力はない。体は成長しても、その心は幼いままなのだ。だが、クワイベルは王だった。幼くとも、確かに民を守り導く王だった。


 強大な力を感じているのだろう。僅かな震えが伝わってくる。だが、その眼差しは、ただの一瞬も民を脅かす敵から逸れることはなかった。


 相棒の言葉と、その雄姿に、ローゼはハッと我を取り戻す。


「クワイベル。倒せる?」

『倒すよ。必ず。ローゼはみんなを集めて。広い範囲は守り切れない』

「……分かった。一人でも多く王宮に避難させる。王宮なら強力な障壁も展開できる。遠慮はいらないわ」

『分かったよ』


 ふわりと、竜翼により起こされた風がローゼの頬を撫でた。ローゼもまた、そっとクワイベルの背を撫でる。それ以上の言葉は要らなかった。


 躊躇いなく、ローゼはクワイベルの背から飛び降りた。すかさず白銀の光がローゼを包み込み、彼女を王宮の正門の前に下ろす。


 地上と空で、ローゼとクワイベルは背を向け合う。女王は民へ、王竜は敵へ、その眼差しを静かに向ける。


「守るわよっ、相棒!」

『守るさっ、相棒!』


 翼を一打ち。咆哮一発。王竜クワイベル――出陣!


 全身に極光を纏いながら、一直線に黒き嵐の中、世界の絶望に向かって飛翔する!


『聞きなさい、王国の民よ! クヴァイレンの人々よ! 敵味方の区別なく、王宮のもとに集いなさい! 隣り合う者と手を取り合って、我が守護のもとへ集いなさい!』


 ローゼの言葉で人々の意識が覚醒する。都市全体を覆う極光のオーロラは、それだけクワイベルの力を削ぐ。人々を守りつつ、少しでもクワイベルが戦いに力を注ぐためには、守護の範囲を可能な限り狭くするしかない。


 王宮には、当然のこととして備え付け型の障壁装置がある。クワイベルの力がなくても、黒い雨から人々を保護するくらいは可能だ。


 元竜王国の人々は、恐怖に竦んでいた心を叱咤されたように女王の言葉に従おうとする。が、途中で、ローゼの言葉の中に敵であるクヴァイレンの人々を救うような言葉があったことに思わず動きを止めた。


 それは捕縛されているクヴァイレンの人々も同じだった。信じられないといった表情でローゼを見ている。


 そんな彼等に、ローゼは再度、声を張り上げた。


『分かるでしょう? あの存在に、アーヴェンストもクヴァイレンも関係ないと。私達が人であるだけで、いえ、生きているというだけで彼の者は絶滅を突きつける。私達人間同士が争っている場合ではないのです! 一人でも多く、生き残らなければならないのです!』


 咆哮が轟いた。暗雲蔓延る世界に極光が閃く。稲光を塗り潰すような鮮烈な光。


 激しい戦いの音が世界に響く中、それでもシンと静まり返っているかのように感じる王宮前の広場に、ローゼの、アーヴェンスト竜王国女王の決意の言葉が響いた。


『未来のために!』


 ザァッと、極光のオーロラに黒い雨が降り注いだ。自分達を守る守護の光の下……


「陛下。養殖場で働いている者達――アーヴェンストの者達が広場に見当たりません。東兵舎に大型のトレーラーがあります。許可いただければ迎えに行きます!」


 そう言って声を張り上げたのは、クヴァイレンの兵士だった。養殖場の竜達はクワイベルの加護を受けているがために、黒い雨の中でも耐えられる。弱く小さい者達も極光のオーロラの中に退避済みだ。


 故に、養殖場には最低限の障壁しか張られていない。養殖場に向かうまでの道中は雨ざらしだ。トレーラーが頑丈に作られていて黒い雨の中でもしばらくは耐えられるとはいえ、当然、命の危険は小さくない。


 クヴァイレンの兵士の表情は、まさに決死の覚悟を決めたといったもの。彼の言葉に賛同して、クヴァイレンの一部の兵士や民が、次々とアーヴェンストの民が割り振られていた危険地帯を進言し、その救助の許可を求めて来る。


 ローゼは彼等の見つめ返し、一拍、力強く頷いた。


「委細、任せます。全ての命をここへ!」

「っ、はっ」


 ローゼの視線を受けて、アーヴェンストの兵士が僅かに困ったような笑みを浮かべながらもクヴァイレン兵士の拘束を解いていく。拘束の解かれた自分の腕を呆然と見つめていた兵士達は、次の瞬間、グッと口元に力を入れると駆け出した。


『クライン、聞こえていますね? 敵味方区別なく、出せる限りの小型艇を出して外延部付近の人々を避難させてください!』

『委細承知。既に押収した車両も投入して救助活動に当たっています。後は、王宮の障壁を作動させることができれば……そちらは送り込んだ地上部隊がどうにかしてくれるのを待つしか……』

『……じぃがいてくれれば』


 サバスがいれば、王宮の障壁を起動させることもできただろう。王宮内に入った部隊も、今はクヴァイレン兵士の協力を仰げているかもしれない。だが……


 王宮へ、続々と人々が集まってくる。足腰の弱った者、怪我や病気で動けない者も、他の誰かに支えられて必死に逃げ込んでくる。だが、王宮から離れた場所にいた者達は、果たしてクワイベルの障壁が消えるまでに王宮に辿り着くことができるのか。


 と、そのとき、極光のオーロラが激しく揺らめいた。


『クワイベルッ』


 クワイベルからの返答はない。それだけ余裕がなくなっているのだろう。更に、オーロラが揺らめき、明滅する。


 ローゼが焦燥を浮かべた。すると、それを察したように、


「っ、障壁が!?」


 障壁が崩れたが故の叫びではなかった。逆だ。重ね掛けされるように、白銀の障壁が王宮を中心に展開した。クラインから『制圧部隊ではありません!』と報告が入る。王宮の誰かが作動させたのは確かなようだが制圧部隊ではないようだ。


 更に、艦隊の停泊港から幾つもの空戦機が飛び上がっていく。それらは外延部から順次滞空していくとエネルギーの全てを障壁に回して即席の屋根を形成していった。流石に全ての範囲をカバーすることはできないが、王宮までの道筋を作り出すことには成功している。


 その統制の取れた行動は、明らかにクヴァイレン側の誰かが指示を出しているものだ。


「いったい誰が……」

『ふむ、なんとか避難経路くらいは間に合いそうですな』


 呟いたローゼに、通信機越しの声が届いた。深みのある落ち着いた声音。慣れ親しんだ大切な人の声音。それは、


『じぃ!?』

『はい、ローゼ様。じぃでございます』


 そう、通信機の向こうにいるのは死地に置いてきたはずのサバスチャンその人だったのだ!


『無事だったのですか!?』

『ええ、どうにか。一緒に残った近衛達も無事でございますよ』


 信じがたい話に、じぃはやはり人外の何かだったのでは……と、ローゼをして喜び以上に戦慄を感じてしまう。そんな彼女の心情を察したように、サバスは苦笑い混じりの声音で言葉を返した。


『詳しい話はまた後程ゆっくりと。それよりも今は避難を急ぎませんと』

『そ、そうですね。王宮の障壁や空戦機の障壁はじぃが?』

『はい。正確にはクヴァイレン王の側近を捕まえましたので、ちょいとお話をして手ごま――ごほんっ、協力者になっていただいたのでございます』

『うそだっ。このじぃさんは鬼だっ。私にあんな――ザッ~~~』


 今、何か悲痛な声が聞えたような……。ローゼが問い返そうとする前に、『サイラス君。あまり心苦しいことをさせないでくれ』というサバスの言葉と同時に、短い悲鳴が聞こえた……


『ローゼ様。先程は見事な演説でした。サイラス君も陛下のお言葉に感化されたようで、快く全力で協力してくれていますよ。障壁制御のほか、火器管制もただいま手中に収めました。直ぐにクワイベル様の援護に入ります』

『ア、ハイ』


 サバスチャン――優秀過ぎる。ローゼが思わずカタコトになった。


 と、そのとき、


「ガァッ!!!」


 苦痛の滲み出た鳴き声と同時に、凄まじい衝撃音が奔った。見れば、王宮から少し離れた場所にある塔が大きく傾いていて根本からは土埃が舞い上がっている。その塔は更に傾きを大きくしていくとそのまま一気に倒壊した。


『クワイベルッ』


 目にしていなくとも分かる。あの悲鳴はクワイベルのもの。そして、塔を倒壊させるほどの衝撃で吹き飛んできたのもまたクワイベルだ。ローゼの呼びかけに答える声もない。


『希望など、ありはしない』


 代わりに答えたのは、相変わらず抑揚のない、だが限界まで負の感情を煮詰めたような声音だった。視線を転じれば、王宮の背後――ちょうど養殖場の真上辺りにドス黒い瘴気を纏ったヘルムートの姿がある。


 翼を打つ度に黒い瘴気が広がり、渦を巻くようにして纏わりつく。粘着性を感じさせる黒い竜麟は一切の光を反射せず余さず呑み込んでいる。


 ヘルムートの顎門が大きく開かれた。その口元に一瞬で集束される尋常ならざるエネルギーに、ローゼ達の背筋が粟立った。


『させるわけがないだろう!』


 舞い上がっていた粉塵を切り裂いて、空へと伸びた一筋の極光がヘルムートの横腹に突き刺さった。衝撃でヘルムートの体が傾いだことにより、次の瞬間放たれたヘルムートのブレスは都市の上部を掠めるように通過。


 直後、外延部の大地に突き刺さり、悲鳴のような轟音と共に浮島全体を激震させる。大地震に匹敵するような震動によって立っていられなくなった人々が次々と悲鳴を上げて転倒する中、ヘルムートのブレスが直撃した外延部の一部がごっそりと崩落していく。


 それに戦慄する暇もなく、ヘルムートが濁った竜眼を下方へと向けた。それだけで、纏う瘴気が実体でも持ったかのように結晶化――否、周囲の雨を取り込んで氷結していく。それらは歪に捻じれた槍のようになり、凶悪すぎるスコールとなって地上へと降り注いだ。


 対するクワイベルは、天へと昇る流星群を作り出す。極光弾の群れは、黒い結晶と見紛う黒雨の槍を迎え撃ち相殺していくが、無限とも思える射出により次第に間に合わなくなっていく。


『対空火器管制オールフリー! 迎撃しろ!』


 サバスの命令で王宮のいたるところにある柱や外壁、庭や屋上から対空兵器が出現し火を噴いた。何十発に一発の割合で含まれている曳光弾が荒れた空に彩を添える。大口径のそれらは見事に、クワイベルが対処しきれなくなった黒雨の槍を破壊していった。


『眷属のみんなっ。友を救って!』


 少しだけできた余裕を使って、クワイベルが呼びかける。王の加護を受けていた竜達が一斉に都市へと散らばっていく。友を――避難の遅れている人々を助けるために。


『やっと補給が終わったぜ。空戦機部隊、これより戦線に復帰する!』

『アベリア、行けるぞ!』

『ロゼリアもOKだっ。クワイベル様を援護する!』


 守護艦隊との戦いで武装をほとんど使い切っていたアーヴェンスト主戦力が戦場に復帰する。ボーヴィッドが選び抜いた精鋭中の精鋭達が空へと舞い上がり、アベリアとロゼリアも補給と最低限の補修を済ませて船首をヘルムートへと向ける。


『こちらヒッグス隊。シンセハイアー搭載機を編成した。アーヴェンスト空戦機部隊の指揮下に入る。連携は難しいだろうが、好きなように指示を出してくれ!』

『こちら発着管制室。港湾の火器管制は制御下。援護する!』


 クヴァイレンの空戦機部隊がボーヴィッド達の方へ飛んでくる。障壁を展開している空戦機部隊を除く、音波攻撃可能な機体を掻き集めて即席編成された部隊だ。リーダーっぽい何者かは、ちょっと前までの誰かとはまるで別人のよう。


 同時に、軍港一帯に設置された対空兵器が、一斉に砲塔をヘルムートへと向ける。


――敵味方の区別なく、全ての人々が明日を生きるために手を取り合った


『……害虫共が』


 初めて、ヘルムートの声音が波立った。僅かではあるが、確かに宿っていたのは〝不快〟だろうか。


『果てろ』


 再び、ヘルムートのブレスが放たれる。


 射線へ、飛び上がったクワイベルが割り込んだ。同じくブレスを放つ。漆黒と極光が王宮上空で衝突し、余波だけで王宮の障壁が激しく波紋を広げる。


『ぐっ、うぅぐっ』


 クワイベルから苦しそうな声が漏れ出した。徐々に極光が押され始めているのだ。正真正銘、成竜としての全力だがヘルムートには及ばない。


『シンセハイアー、起動する!!』

『アベリア、ロゼリア、主砲を合わせろ!』


 クヴァイレンの空戦機部隊が黒雨の槍をかわしながら弱体化の音波をヘルムートに放った。同時に、アベリアとロゼリアから主砲が放たれる。二条の閃光が、クワイベルのブレスと合わせてトライデントのようにヘルムートを襲う。


 が、


轟ッ


 黒の瘴気が爆発した。そう錯覚するほどに膨張し渦巻いた瘴気が音の波も、飛空艦の主砲もまとめて吹き飛ばす。更に、一気に膨れ上がったヘルムートのブレスが極光を呑み込んだ。


『そんなっ、まだ手加減を!?』


 クワイベルにできたのは、咄嗟に最大限の障壁を張ること。体の前に展開した極光の障壁がブレスの直撃を受けて悲鳴を上げる。クワイベルは滞空することもできずに地上へと押し込まれていく。


『後ろががら空きだぜっ』

『集中砲火!』


 ボーヴィッドとサバスが怒涛の攻撃を行う。数多のミサイルがヘルムートへと殺到する。


 だが、


『なっ。くそったれ!』

『天候を操る……まさに伝承通り』


 天より無数の竜巻が落ちてきた。螺旋を描くそれは飛来するミサイルを巻き取り粉砕する。目標に届く前に、全てのミサイルが竜巻の中で爆炎の華を咲かせてしまう。


『くっ。ロ、ローゼッ。みんなをっ、王宮から……逃がしてっ』

『クワイベル!?』

『もうっ、泉の力がっ』


 【真竜の涙泉】によって蓄えた王竜の力が尽きかけている。途切れ途切れのクワイベルの言葉が力の限界を伝えてきた。ヘルムートのブレスを防ぐのに、障壁に注ぐ力は限界以上のもの。穴の空いたバケツから水が流れ出すが如く、クワイベルの力が減少していく。


 都市を覆う極光のオーロラは既にない。正真正銘、限界ギリギリ……


『クワイベル様! 受け取ってください!』


 破られる。誰もがそう思った次の瞬間、一発のミサイルがクワイベルへと奔った。まさかの味方からの攻撃に、しかし、クワイベルは動じない。むしろ、嬉しそうに瞳を輝かせる。


 それはローゼも同じだった。


 何故なら、その声は、


『ジャンッ。無事だったのですか!?』 

『はい、陛下。他の者達も無事です。流石に死んだと思ったのですが、あの紅い光が――いえ、今は置いておきましょう。それより、即席ですが弾頭に泉の水を詰めたミサイルを用意しました。クワイベル様の体にかけるだけでも効果はあると踏みましたが、間違いありませんか!?』


 いったい、何があったというのか……明らかに助かるレベルの怪我ではなかったはずだが、ジャン達も無事らしい。それどころか、開きっぱなしにしていた泉に辿り着き、即席の泉の水運搬用のミサイルを作って放ってくれているらしい。


 次々と着弾するミサイルは火薬の量も減らしているらしく、クワイベルの竜麟を前に砕け散って中身の水をぶちまける。クワイベルから『大丈夫、ありがとう!』と返礼が来た。


 それが確かであることを示すように、弱まっていたクワイベルの力が復活する。障壁が輝きを取り戻し押し込まれていた体が滞空状態に戻った。そして、復活した力のまま極光のブレスが放たれる。幾本かの竜巻を消し飛ばしたブレスは、そのままヘルムートへと直撃した。


 更に、消えた竜巻のルートを神業的な動きで潜り抜けたボーヴィッド率いるクランクス隊がミサイルを放つ。それらは全て、ヘルムートの顔面付近に着弾し盛大な爆炎と衝撃を撒き散らした。


『貴方の絶望を、僕は知らない。全てが終わった後に生まれた僕には、想像ですら碌にできない。でも、だけどっ、貴方は僕の兄弟だからっ。僕が終わらせなきゃならないってことだけは分かるんだ!』


 クワイベルが極光を纏いながら突進した。


 世界にただ一体の王竜。家族も同然の人達はたくさんいたけれど、血の繋がった兄弟は目の前の堕ちた存在のみ。生まれて初めて出会った兄を、この手で殺すのだと悲鳴のような咆哮が迸る。


 ヘルムートの、どこも見ていないような濁った竜眼がクワイベルを捉えた。返答はない。それほどの知能が既にないのか。それとも不要と切って捨てたのか。


 構うものかと、クワイベルは極光を纏った体のまま兄の体へと渾身の体当たりを行った。


 竜麟同士が衝撃音を奏で、摩擦が激しい火花を散らせる。


 ヘルムートの体が王宮から引き離されていく。クワイベルは、そのままヘルムートの首筋に噛みつこうとした。


――ガァアアアアアアアアアッ!!


 凄絶な衝撃波がクワイベルを襲った。ただの咆哮だ。だというのに、纏っている極光が吹き飛ばされ、クワイベル自身も全身が痺れるような衝撃を味わって吹き飛ばされる。


 クワイベルは無数の極光弾を生成し、それらを放ちながら、今度は通り過ぎ様の竜爪を繰り出した。


『グァ!?』


 掠りもしない竜爪。クワイベルが宙を泳いだ瞬間、カウンターのようにヘルムートの尾が顔面を薙いだ。


 空中で一回転しながらも、極光弾を乱射するクワイベルだったが、ヘルムートが放つ倍の数の黒雨の槍に消し飛ばされ、幾本もの槍に竜麟を砕かれてしまう。突き刺さった黒雨の槍が、単純な傷以上に肉体を壊死させんと効果を発揮し始める。


 あまりの激痛に思わず悲鳴をあげそうになるクワイベルだったが、それを呑み込んでブレスを放つ。極光の輝きは、ヘルムートの咆哮による衝撃波だけで消し飛ばされた。


『クワイベル様っ』

『主砲を――』


 空戦機部隊が、飛空艇ロゼリアとアベリアが、地上の対空兵器を扱う者達が、どうにかクワイベルを助けようとするが、


――ガァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


 再び迸った邪竜の咆哮。だが、今度は少し毛色が違った。咆哮と同時に、彼の纏う瘴気が波紋となって戦場に広がったのだ。その効果は劇的だった。


『ぁ……』

『っ』


 聞こえるのは、そんな声にならない悲鳴。空戦機が、まるで制御を失ったように落ちていく。飛空艇も動きが単純になり主砲が放たれる気配もない。対空兵器も沈黙した。


『クワ、イベル。瘴気が……みんなを、包んでっ……』


 辛うじて、ローゼから何が起きたのかを知らせる言葉が届いた。


 王竜は、民に加護を与える存在。なら、堕ちた王竜が与えるものは?


 絶望だ。恐怖だ。意志を奪う虚無だ。


 白銀の光が消え、代わりに人々に纏わりついた黒い瘴気。誰もが力の抜けた体のままに膝を突く。まるで、邪竜ヘルムートへ許しを乞うように。


『みんなっ』

『全て滅べ』


 クワイベルが慌てて加護の力を与えようとするが、ヘルムートがそれを許さない。クワイベルの体に無数の黒雨の槍が降り注ぎ、その竜麟を砕いて肉体を穿っていく。


 できたことは、墜落寸前の空戦機部隊をどうにか不時着させることだけ。当然、意識を割いたクワイベルは自身の防御が薄くなり、幾本もの槍を体から生やすことになった。


 漏れそうになる悲鳴を堪えて極光を全身から放って槍を消し飛ばす。


 クワイベルが咆哮を上げながら突貫した。爪を振るうが、一瞬でかわされて頭上より叩き落とされる。


 ならばと、体当たりと見せかけて激突寸前に反転し、同じように尾による一撃を繰り出すが、やはりあっさりとかわされ爪によって袈裟懸けに胸元を切り裂かれる。


 極光弾を放つ。黒雨の槍が数倍になって襲ってくる。


 ブレスを放つ。数倍の威力を以て返される。


 爪も牙も、尾の一撃も、全てカウンターとなって返ってくる。


 極光を纏った体当たりは、格の違いを見せつけるように、既に避けることすらされなくなった。


『ッ……ァ……グルッ……ィ』


 まさに満身創痍。


 たとえ成竜の力を得ても、たとえヘルムートが正気を失っていても、歴とした経験の差がクワイベルを追い込む。生まれて数年の幼竜が、数百年を生きる歴戦の王竜に敵うわけがなかったのだ。


 まるで、意地になって突っ込んでくる子供を、大人があしらっているが如く。


 ヘルムートの視線が、興味を失ったようにクワイベルから逸れる。その視線の先にあるのは王宮だ。そこに集う人々だ。


『ダメだっ』

『世界に絶望を。光無き世界に安らぎを』


 ヘルムートのブレスが放たれた。


 ボロボロの体のまま、クワイベルが射線に割り込む。


『ガッ、ァアアアアアアアアッ!!』


 悲鳴とも咆哮ともつかない絶叫が迸る。障壁が消し飛び、その肉体を以て民の盾となるクワイベル。必死に抗い、どうにか威力を減衰させたものの防ぎきることはできず吹き飛ばされた。


 王宮の一角に背中から叩きつけられ、建物を一部崩落させる。瓦礫に埋まり、小さな呼吸を繰り返すクワイベルの姿は見るも無残なものだった。胸部に無事な箇所などなく、思わず目を背けたくなるほど焼けただれている。竜麟は、無事な場所を探す方が難しい。


「クワイベルッ。くーちゃん!!」


 黒い瘴気に纏わりつかれながらも駆けてきたローゼが、瓦礫に半ば埋もれたクワイベルへと飛びついた。必死に瓦礫を下ろしていく。


 天から死の気配が降ってきた。


「邪竜、ヘルムートッ」


 ローゼの叫びなど眼中にないというように、ヘルムートは顎門を開く。一切を破壊する光が瞬く間に集束されていく。


 ガラッと瓦礫の崩れる音がした。同時に極光が迸り幾重にも重なる障壁を形作っていく。


「くーちゃん!」

『だい、じょうぶ、だよ。絶対に、守る……から』


 瘴気が圧縮されたような怖気を振るう黒が、一筋の閃光となって迸った。クワイベルの展開した極光の障壁は、見事、その死の具現を受け止める。


 ブシュッと音が聞こえるほど、盛大に血飛沫が舞った。四つ足でしっかりと地を踏みしめ、必死に障壁を維持するクワイベルが踏ん張れば踏ん張るほど、全身に負った傷から血が噴き出す。


 ローゼは言葉に詰まる。何もできない自分が悔しく、憎くて、ただ相棒の傍に寄りそう。


『無駄だ』


 ヘルムートの冷めた声音が聞えた。


『僕は、そうは思わないっ』


 幾枚かの障壁が吹き飛んだ。クワイベルは全身から極光を迸らせながら、まるで魂を燃やしているかのように咆える。


『絶望しろ』

『王は、絶対に絶望しないっ』


 また一枚、障壁が砕け散る。


『諦めろ』

『約束は、違えないっ。使命は、捨てないっ』


 相棒と約束したのだ。王になると誓ったのだ。


『滅べ』

『生きるよ。命を賭けて。僕達は――』


 遂に最後の障壁が軋みを上げた。ビキビキッと亀裂が入っていく。


 だが、クワイベルの竜眼に諦めの色はない。このままでは死ぬと分かっている。他に手立てもない。だけど、一度掲げた魂だけは裏切れない!


 だから、せめて咆えるのだ。世界に向けて、人の業が形を成した邪竜()に向けて、


『貴方を越えて、この先の未来を行くんだッ!!!!』


 障壁が砕け――


『よくぞ咆えた。その高潔な魂に祝福を』


 声が聞こえた。温かな、母性を感じさせる優しい声音が。


『坊や。格上相手に力で対抗してはいかんよ。ほれ、こうやって逸らしてやるのじゃ』

『え? あ……』


 クワイベルを漆黒の光が包み込んだ。ヘルムートのヘドロのような黒ではない。言うなれば、夜空を連想させるような壮麗な黒。クワイベルの極光を邪魔することも、塗り潰すようなこともない。調和するように黒銀の輝きを以て祝福を示す。


 その効果だろうか。クワイベルの脳裏に、〝力の使い方〟というものがイメージとして流れ込んでくる。クワイベルは導かれるようにして、イメージ通りに最後の障壁を操った。


 途端、極光の障壁は激しく渦巻き、同時に角度が付けられていく。渦巻く極光はヘルムートのブレスを直撃する端から吹き散らし、更には勢いよく何もない空へと逸らしていく。


 ブレスが途切れた。介入者の存在を感じ取ったように、ヘルムートが明後日の方向へと視線を走らせる。


『ほれ、ぼぅとするでない坊や。ここは戦場じゃぞ? ブレスじゃ!』

『ふぁ!? はいっ』


 姿の見えない、けれど脳裏に浮かぶあの人の言葉に、訳が分からないもののクワイベルは咄嗟に従った。余所見をしているヘルムートへ極光のブレスを放つ。


『さぁ、飛び立つのじゃ。上へ上へ、ヘルムートの上を取れ! 空戦において、下方は不利と心得よ』


 全身の痛みを無視して、クワイベルは飛び立った。ブレスだけは維持しながら遥か上空へと飛び上がる。


 ヘルムートが、煩わしいとばかりに咆哮で吹き飛ばした。そして、クワイベルへブレスを放つ。


『重力を意識せよ。翼を撫でる風を掴め。天を統べる一族ならば、己の力だけで飛ぼうとするな。そこにある自然こそ、我等の最大の味方じゃ』

『重力を意識する。風を掴む。自然こそ僕達の味方』


 流れ込むイメージ。迫るブレスに向かって一直線に下降しながら、僅かに動かした翼が風を掴んで流れを変える。それだけで嘘のようにクワイベルの体は螺旋を描き、背中を掠めるようにしてブレスを回避した。


 まるでクワイベル自身がカウンターとなったようにブレスの脇を猛烈な勢いで落下する。


『先を読むのじゃ。坊やの速度、体格、視線の動きから、奴はどう反応する? その先を行くのじゃ』

『先を読む。僕の攻撃を、どこに振るう?』


 脳裏に浮かんだのは、先程までの焼き直し。するりとかわされた動きが、幻のように現実世界のヘルムートにだぶる。クワイベルは、動き始めた幻のヘルムートに合わせて、その先に爪を振るった。


『ッ……』


 減速せずそのまま通り過ぎたクワイベルの爪に、ヘルムートの砕けた竜麟と血がついていた。イメージ通りに翼の角度を変えると、強烈な遠心力と同時に急激に方向が変わった。


 そこへ、ヘルムートが無数の黒雨の槍を射出する。


『射線を読むのじゃ。背後に誰も庇わぬよう立ち回ることも大切じゃ。必要な時に、必要な場所へ、必要な量を、的確に。突撃も、自己犠牲の盾役も、無暗に使うものではないよ』


 急旋回をしたのは、攻撃後の隙を晒したところへヘルムートが攻撃をしかけると分かっていたから。旋回した後のクワイベルの背後には何もない。庇う必要がなければ、虚空の雨など極光弾数発で軽く凌げる。


 次々と伝わる〝戦い方〟。先程までの、撃たれれば真向から防ぎ、攻撃するときは一直線のみの拙い戦いとは全く異なる〝戦術〟を感じさせる動きに、ヘルムートの傷が一つ、また一つと増えていく。


 比例するように、僅かにヘルムートから苛立ちが見え隠れし始めた。


 竜巻が進路を塞ぐように落ちてくるが、その渦巻く風すら利用してひらりひらりと空を舞うクワイベル。次第に洗練されていく飛行技術は、遂に黒雨の槍を極光弾なしでかわせるようにまでなっていく。


 ヘルムートの視線が、クワイベルから外れて再び王宮へ向いた。そこに撃てば、クワイベルが庇わざるを得ないと知っているから。


『坊や、分かるな? 戦場で敵から目を離した代償というものを教えてやるのじゃ』

『はい、はいっ、母上!』

『ぉ、おう……は、初めて母と呼ばれてしもうた……』


 なにやら声音が動揺しているようだったが、無意識で思わずそう呼んでしまったクワイベルは既に集中状態。集束されていく極光は、しかし、先程までとは少し異なる。


 ドゥッと大気を震わせて放たれた極光ブレス。大したダメージを食らわないのは実証済みと言わんばかりに無視して、ヘルムートはブレスを王宮に放とうとして――


『――ッ、ィ!? ガァ!?』


 極光がヘルムートの胸部を貫いた。細く、極限まで圧縮され、更には貫通力を増すために螺旋運動を加えられたブレスに。クワイベルはそのままブレスを薙ぎ払う。


 咄嗟に身を捻ったが故に両断だけは避けられたヘルムートだったが胸部から肩口にかけて存分に切り裂かれた。片腕がぶらりと垂れ下がり、少しの肉と皮だけで繋がっているような状態だ。


 ヘルムートが憎悪もあらわにクワイベルへと視線を転じ、


『グルァッ!!』

『ッ』


 既に目の前に迫っていたクワイベルの顎門に目を見開いた。クワイベルは貫通特化のブレスを放ちながら接近していたのだ。体勢を崩しているヘルムートにそれをかわす余力などなく、クワイベルの顎門は彼の片翼に食らいついた。


 クワイベルは、そのまま空中でロールを行い捩じ切るようにして翼を噛み千切った。


 今度こそ、ヘルムートから絶叫が響き渡る。クワイベルは回転運動に合わせて遠心力をたっぷり乗せた尾の一撃を放ち、絶叫するヘルムートを地へと叩き落とした。


『悪くない連撃じゃった。さぁ、坊や。精神を研ぎ澄ませよ。ブレスの威力はエネルギーだけに依存するのではない。心を強く持て。揺るぎなき意志が、覚悟が、竜の咆哮(ブレス)を強くする!』

『はい、母上。……終わらせるよ、兄弟』


 極光が世界を照らした。力の練り方はイメージできる。導いてくれる温かい存在から受け継いだから。


 大きく仰け反ったクワイベルの胸部がググッと大きくなり、ヘルムートが地より天を仰ぐ。鋼鉄の意思を宿す竜眼と、絶望と憎悪の竜眼が交差した。


 直後、天の裁きというべきか、一筋の極光が地へと突き刺さった。浮島を激震させ、ヘルムートを包み込む。


 世界が極光の光に照らされた。


 浮島を貫通した極光が雲海にも大穴を空けて下界へと突き立つ。


 そして……


 虚空へ消えていく極光。後には何も残っていない。


 ふらふらと力なく飛ぶクワイベルが、徐々に体を小さくしながらローゼのもとへ戻ってくる。


「くーちゃん!」

『ローゼぇ』


 ローゼのもとに辿り着いた頃には、すっかり元の大きさに戻ってしまったクワイベル。ローゼはそんなクワイベルを胸元に掻き抱く。


「凄かったっ。恰好良かったっ。あなたは間違いなく、最高の王だった! 竜王国の誇りよ」


 クワイベルに頬ずりしながら涙を流すローゼに、クワイベルもまた甘えるように頬を寄せた。そして、人々がワッーワッーと歓声を上げながら駆け寄ってくるのを耳にしながら見つめ合い、互いにニッと笑みを向け合う。


「やったわね、相棒っ」

『やったぜ、相棒!』


 二人共王族とは思えないほど傷まみれだ。だが、駆け寄ってきた人々にとって、彼等は紛れもなく王だった。寄り添い合う一人と一体の王に、竜王国の人々は涙を流さずにはいられない。


 ローゼとクワイベルが揃って人々へと振り返った。


 そして、


 閃光が迸った。


 二人目がけて、天より裁きの如く。


「ぁ」

『ローゼッ』


 呆けるローゼ。彼女の名を呼ぶことしかできないクワイベル。死が二人を照らし、死神の鎌が振り下ろされる。


「暗雲も晴れておらんのに気を抜くとは……大減点じゃぞ。坊や」


 極大の黒き閃光を頭上に、いつの間にか、和洋折衷衣装の美女――ティオが片手を掲げてそこにいた。


 


いつも読んで下さりありがとうございます。

感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。


さくっと無双シーンで締めようとしたら、何故かくーちゃんが前に出て来た。

白米のプロットは、だいたい息をしていないんだ……


さて、今年最後の日となりました。

今年一年いろいろありましたが、おおむね楽しい一年だったと思います。

なろうで投稿し、なろう民のみなさんが感想欄で見せる阿吽の呼吸に癒されていたのが大きな理由でしょう。

本当に、今年一年、ありがとうございました。


ありふれたの番外編やアフターについて、書いてあげたいキャラがまだまだいます。

なので来年も引き続き、ありふれたを投稿していきたいと思っています。

また来年も、なろう民のみなさんと楽しんでいけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。


来年の目標はずばり、〝予告は守る〟です。

あと、何か新しいストーリーも書ければなぁと思っています。

まだプロットも何もありませんが、確実に言えることは、ありふれたと同じく白米の趣味全開、何より白米が楽しめるご都合主義なお話になるってことでしょう。

もしよければ、また一緒に楽しんでくれると嬉しいです。


それではなろう民の皆様、よいお年を。

来年もまた、よろしくお願いします!


明日、ティオ編最終話をアップします。サブタイは〝星降る朝に〟。〝魔神が生まれた日〟でもいいかと思いましたが、某ギアスな人と被りそうだったので変更です。

時間は指定はしません。新年早々、目標破りになりそうな気がするので。

と、言いつつ、これだけは予告。

お正月特別篇も投稿します。まだ、なんにも考えてないけどね!



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― 新着の感想 ―
関係ない、かなあ? クヴァイレンはヘルちゃんからしたら仇だよね? まあ、今は理性が飛んでるから、どっちも関係ない感じだけど。
[一言] ヒッグスはいない方が良かった。
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