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第二十五話 勇者登場

 リドウ一行は繁華街にて夕食をとっていた。


 一々注目を浴びてしまうのは仕方がないが、食事くらい落ち着いてさせてほしいなと、気弱な愛奈は嘆息しながらの食事になってしまい、味を楽しんでいられるような余裕は無いようだ。愛奈にとって至福の時であるお食事の時間、特にこの世界では他にまともな娯楽も無いため、余計に彼女にとっては食くらいしか楽しみがないのに、それが全て台無しな気分であった。


 対照的に他の面々は平然と、全く気にした風もないのは言うまでもないか。


 一同は昼間の内に別行動で個々に集めた情報を、この場で互いに交換して吟味していた。


 別行動とはいえ、単独での行動はリドウだけであった。美少女軍団と一緒に行動するよりも、リドウの場合は一人で当たった方が遥かに効率がいいのだ。

 ……恵子はそれを「情報収集ってより、ナンパしてるだけでしょ」と悪意たっぷりに言うし、千鶴も冷え切った眼差しでリドウを見つめていたりするが。


 女子勢にしても、恵子と千鶴、愛奈とシャイリーという組み合わせで、二手に分かれて行動していた。戦闘能力の観点から、千鶴とシャイリーがばらけるのは自然の成り行きで、あとは特に理由も無く、そういう組み合わせにいつの間にかなっていたらしい。

 シャイリーを女子勢と述べるべきかは……まあ彼を相手に“気を良く”してくれるのは女より男、というのは誰の目にも明らかで、これも自然の成り行きだろう。


 とはいえ、今回は特にこれといった情報が集まることはなく、しかし一同の中で落胆を露にしているのは愛奈くらいであった。

 これまでも同じことをしてきた中で、初めて引っ掛かったのが遺跡都市ローラインでの愛奈のことだけだったのだ。上手く引っ掛からないことの方が常の恵子や千鶴にしてみれば、むしろいつものことなだけであった。


 だが、たった一つであるが、ちょっと気になる情報もあった。


「勇者がこの街に?」


 リドウが集めた情報の中で、勇者の存在があった。


 他の面々は初耳らしく、それぞれに眉を顰めたり、逆に興味深げにしていたりする。


「ああ」


 リドウは何の気もなさそうに頷いた。


「“時期的”にお前さんらの同級生とは思えんし、年格好も俺と同じかちょい上くらいって話なんだが……名前までは調べられなかったが、黒髪黒目らしい」


 リドウの言葉に少女たちは神妙な顔付きになる。全く想定していなかったわけではないが、勇者として活動している同級生が居た場合、どう対処すればいいのか……色々と厄介になるとしか思えないのだ。


「でも……ブランカ帝国はリリス教国家でしょう? 勇者が暢気にうろついていて問題にならないのかしら?」

「ああ、それか」


 リドウは気のなさそうな風に相槌を打つ。


「勇者にゃ手出し無用が暗黙の了解だからな」

「潜在的敵性国家の戦力を殺ぐ絶好の機会……と考えないほど、リリス教国家の重鎮が無能とは考えられないのですけれど?」

「暗殺にしくじりゃ、真正面から勇者を始末せにゃならん。その場合、ハイエンド級の使い手を抱えてるんでもねぇ限り、相当な犠牲が出る。成功しても一直線に戦争だ。国の威信を賭けた戦争ほど無駄なもんはねぇからな」


 戦争とはあくまでも外交手段の一つでしかない。戦争をしたいから戦争をするのではなく、何か要求すべきものがあり、それを平和的に手にすることができない時、初めて戦争という手段に訴える必要性が出てくる。戦争とは勝利した場合に明確な利益が見込まれなければならないのだ。

 国家とは、他の国家から舐められてはならない。侮辱され、相手が公式に謝罪もしないとなれば、その時は戦争しかなくなる。しかし、こちらの利益になるような物での“支払い能力”もない相手との国の威信を賭けた戦争など、はっきり言って全くの無駄だ。


 無駄だと理解していても、しなくてはならないこともある。国家の運営とはかくもメンドクサイものなのだ。


 勇者暗殺後に想定されるべき戦争の場合、順序が多少違ってはくるが、お互いに引けないという意味では間違いなく威信を賭した戦争になる。その場合、一国家単位で見れば裕福なリリス教国家にとって、貧弱なロンダイク聖教国家から奪うべき代物など大して存在しない。そんな無駄な戦争になると明らかなのに、自ら剣を突き付けるようなマネをする――それこそ無能の証明だろう。


 特別な感情は一切窺わせず、淡々とそこら辺を話すリドウであった。


「それに、リリス教国家にとっての勇者ってのは、存在自体は疎ましいが、勇者個人に確執があるわけじゃねぇってことを、リリス教国家の上層部連中はきっちり理解してるからな」

「どういう意味かしら?」


 千鶴でさえ意味が分らないのだから、他の少女たちもそれぞれ頭上にハテナマークを浮かべている。


「例えばだが……親しい人間が殺された時、凶器と犯人、どちらを憎む?」

「ああ……そういうこと、ね」


 この場合、犯人は国家であり、凶器が勇者だ。勇者とはあくまでも国家の意思によって振るわれるべき兵器であり、根本的に問題とされるのは使用する側なのだ。


 一足早く理解に至った千鶴からそう説明され、恵子や愛奈も疑問が解けてすっきりした顔になる。


「変な欲を掻いて勇者を暗殺したりすりゃ、余計な面倒を起こしやがってっつう具合に、同盟国からも総スカン食らうことになる。ロンダイク聖教側にとっても、勇者自身が面倒起こしやがったら、リリス教側に体のいい口実を与えることになるから、勇者には潔白性が求められる」


 煙管を銜えると、煙を上に向かって吐き出す。


「そうは言っても所詮は人間だからな――『自分たちが美味しい目見せてやるから、外じゃ問題起こすな』――と厳重に言い聞かせてるのが実情って話だが……」

「なるほど……」


 千鶴は頷きながら、なぜかジトーっとした目でリドウを見つめる。


「その勇者を確認するのは決定事項として……」


 千鶴が何を思ったのかを察した恵子が、自分までジト目になってリドウに言葉を投げ掛ける。


「お願いだから、いきなり喧嘩吹っ掛けたりしないでよ」

「安心しな。話によると気功士らしい。魔道士だったらいざ知らず、気功士の勇者にゃ大して興味は沸かねぇからよ」

「気功士か。『外れ勇者』だもんね」


 シャイリーがリドウの言葉に同意と補足をする。


「外れ勇者……ですか?」

「魔道士よりも気功士の方が尊ばれるのではなくって?」

「一般的にはね。召喚国にとってもそれは当てはまるだろーけどさ」


 長い時を懸けて熟練しなくてはならない魔道士よりも、手っ取り早く戦力になる気功士の方が好まれるのは至極当然の話であり、一般的には気功士並びに殲滅師の勇者こそが俗に『当たり勇者』とされている。


 千鶴の推測は確かに真理を突いているのだ。


 ……がしかし、リドウやシャイリーのような人種にとっては全く別の理論が働くのであった。


「気功士ってのはそれだけで一定の戦力を発揮できちまうからな。特に勇者は大して鍛えなくても、元来から保有するキャパが半端じゃねぇ。それは魔道士にも言えるんだが、強大な魔法を行使しようとすりゃ、それなりの研鑽は要求される。殲滅師でもなく、純粋な魔道士の勇者こそが、実は究極域にまで達する可能性が最も高い勇者なんだよ」


 そうは言っても、究極域にまで達するような魔道士勇者とて、本当に極々稀な存在ではあったが。


「気功士や殲滅師の勇者で、ハイエンドを“ぶっちぎる”ほどの使い手にまで成長したって話は聞いたこたねぇな」


 ハイエンドとは『非能力者が幾千万集まろうと手が付けられない使い手』を一括りにした等級だが、それ以上の領域というのが存在する――『一国の総戦力すら凌駕する使い手』だ。

 一国の通常戦力だけでなく、宮廷戦略旅団まで含めた文字通りの総戦力、それを相手どってすら勝利してみせるような『魔王級』とも言うべきハイエンド超級のことを、今リドウは表していた。


「四百年前に魔王を一柱相打ちまで持っていったのも魔道士だったらしい。二百年前に魔王に覚醒した【狂嵐】もな」

「純粋な魔道士の勇者って、召喚した国からも外れとして気功士の才能持ちよりも不遇に扱われて、上手く成長できるのってあんまり居ないらしいんだよね」


 シャイリーが残念そうに言う。


 リドウも同感だとばかりに、酷くつまらなそうに肩を竦めていた。


「どの道あれだ、勇者を相手にすると後が面倒だからな。大して楽しめるとも思えねぇのに、俺一人ならともかく、現状で戦り合おうとは思わねぇよ」

「面倒?」


 千鶴が訝しげに目を細める。


「魔王以外に勇者に負けは許されねぇ。何つっても召喚国の威信が懸かってるからな。同じ勇者同士で揉めたなら多少話は別だが、在野の使い手にやられたとあっちゃあ、召喚国が目の色変えてその使い手を潰しにかかるんだよ。抱えてる勇者の半数は常に所属国の常備戦力として、滅多なことじゃ動かねぇって話だが、事この手の問題になると一人残らず抹殺に出張ってくるって聞くぜ。面倒臭ぇことこの上ねぇ」


 すっぱーと煙管を吸いながら、やれやれだぜとばかりに天井に向けて煙を吐き出す。


「あんましつけぇからって、国ごとぶっ潰すわけにもいかねぇしな」


 続けて小さく零されたセリフは、少女たちの顔を盛大に引きつらせてしまう。


「く、国ごと……」

「ブッツブス……?」

「真顔……というか、そんな心底面倒臭そうに言わないでちょうだい。余計に本気にしか聞こえないわ」

「あはははははっ」


 シャイリーだけは心底楽しそうに笑っていた。


「だから、やる気はねぇっつってんだろうが。それじゃ堅気に迷惑掛けちまうからな。どうせ大して楽しめる相手でもなかろうし、勇者なんざ無視するに限る」


 これで話は終わりだとばかりに、リドウは酒を食らって黙々と煙管を吹かす。


 そんなリドウを視界の隅に置いて、少女たちはこそこそと顔を寄せ合う。


「国ごとぶっ潰すってゆーとこは否定しないのね、あいつ……」

「勇者が大したことないよう祈りましょう」

「ってゆーか、何だかこれってとってもフラグな予感がひしひしと……特に『無視するに限る』というあたりが……」

「やめて」

「冗談でもそういうことは言わないの。本当にフラグが立ったらどうするのよ」

「そ、そーですね。すいません」


 何やら非常にメタな発言であったが……


 フラグとは回収されるために存在するのがこの世の摂理というものであった。しかも今回は速攻らしい。


 元々騒がしかった店内だが、何か違う意味でざわめく。


 新たに入店してきた数人の男女――その存在の際立った異質さが、そのざわめきを呼び起こしたらしい。


 リドウたちも一斉にそちらへ注目する。


 先頭に立つのは黒髪黒目の男だった。年の頃は二十歳代半ばで、美形と言うほどではなかろうが、決して悪い顔立ちではあるまい。非常に上質な装備で身を固めており、いかにもハイレベルな冒険者ですよと全身が主張している。


 その男に付き従うようにしている二名の女性。


 片方は、こちらも勇者同様の黒髪黒目にきりっとした目元が印象的な騎士風で、清廉な女騎士といった風情の装いだが……どこか他者を見下したような色が瞳に宿っており、リドウたちが直接知る騎士――元騎士を自称する色男のような誠実さや、元騎士の魔王の何事にも無関心そうな感情の乏しい瞳とは全く趣が違う。黒髪黒目という東洋人的外見であることを除けば、むしろファンタジーでお約束な貴族としては典型的に想像されるような感じだ。


 もう一人は黒髪女騎士とはあらゆる意味で対照的に、ウェーブのかかった緑髪に濃いルージュの引かれた唇や大胆に開いた胸元など、婀娜っぽい雰囲気がそこかしこから漂う色気たっぷりな魔法使い風のねーちゃんであった。


(ん……?)


 その緑髪魔法使いを目にした途端、リドウは何か異様な既視感に見舞われる気がした。もっとも、勇者関係の人間など覚えは無いし、ここ数ヶ月の記憶をざっと漁ってみても特に何も出てこなかったため、すぐに気のせいかと片付けてしまったが。


 店員や客たちは、先に居たリドウ一行と同様に今夜はやけに異質な連中が多く来店するなと、側の者たちと囁きあっている。


「……もしかして、あれが例の勇者かしら?」

「じゃねぇか?」


 その横では、恵子と愛奈もじぃーっと勇者らしき男を観察している。


「見覚えは無い……ですね」

「てか、少なくともうちの生徒じゃないでしょ。どう低く見積もっても大学生よ」

「まあ、現時点で既に勇者として活動してるって時点で、時期的にお前さんらの同級生ってことは考えづらかったからな」


 そんなリドウたちを視界に留めた勇者御一行が、やっと見つけたと言わんばかりの顔をして、こちらへと歩いてくる。


(……まさか、俺らが目当てだったのか?)


 内心で、厄介事かと悪態を吐くリドウと、ほぼ同じ感想を抱いている少女たち。


 そんな彼らの目の前までやって来た勇者御一行は、堂々と立ち止まった。どうやら間違いなく、リドウたちが目当てらしい。


 瞬間、千鶴はほんの一瞬ではあったが、勇者と思しき黒髪黒目の“色男”と視線が明確に交じったのを感じる。


(好きになれそうなタイプではないわね……)


 勇者の瞳に、千鶴は何か気に入らないものを感じ取ったようだ。


「何か用かい?」


 もはや避けられないと考えたリドウが、下手に少女たちに矛先が向けられては敵わないと、率先して自ら問う。


 応えるのはリーダー格の勇者自身であった。


「長くなりそうだから、僕たちも同席していいかな」


 リドウは肩を竦めてみせるだけであった。


 それに敏感な反応を見せたのはお付の女騎士であった。


「おい貴様、無礼であろう。我々を何者と心得る」

「知らねぇな」

「何だとっ」


 あわや剣を抜き掛けた女騎士であったが、寸前で自らそれを止めることとなった。ぎろっと擬音が付きそうな勢いでリドウに睨み付けられ、冷や汗しながら全身を凍りつかせてしまったのだ。


「仮にあんたらがどこかの王族だったとしても、俺の知ったこっちゃねぇな。用があるのはそっちで、こっちは特に関わりてぇとも思ってねぇんだ。聞くだけなら聞いてやる。とっととしろ」

「ぐっ……」


 女騎士は何とか反論しようにも、リドウの眼光はそれを許してくれない。


(器用なマネするね、リドウさん。他の一切に漏れなく、あの人だけに殺気を叩き付けるなんてさ。勇者さんのあの顔、どうして自分の自慢の騎士が口を開けなくなってるのか全く理解できないって目を白黒させちゃって、マジ受ける)


 シャイリーが笑いを噛み殺していた。この状況下でこれとは、この子も本当に、常人が理解しようも難儀する感性をした子である。


 と――


「あははははは!」


 突如大爆笑し出したのは、必死で笑いを噛み殺していたシャイリーではなく、勇者さまのお付のもう一人、色気たっぷりな女魔法使いさんであった。


「ヴィレッタ、何がおかしい」

「あなたの負けよ、ラクセス。この子、ちょっと格が違いすぎるわ」


 しかめっ面で抗議する黒髪女騎士ラクセスであったが、ヴィレッタと呼ばれた女魔法使いは目線をリドウに固定したままでシナを作ってみせる。


「ガキ呼ばわりか?」

「気に障ったならごめんなさい。チョイ悪系だけど……うん、可愛いじゃない」


 ヴィレッタの笑顔は男心を十分に擽ってしまうものであった。が、リドウは盛大に顔を引き攣らせてしまう。


 隣に座っていた恵子は、さりげなく少しだけ顔を寄せてリドウに囁く。


「あんたが『大人美人』相手にそういう顔するの、珍しいわね」

「……あの女、苦手だ。何となく、うちの侍女連中っぽいぞ」


 いつまで経っても子供扱いしてくる家族たちを、リドウはヴィレッタに彷彿としているらしい。侍女連中であれば“寝技”で黙らせるという手があったが、勇者のお付にそうするわけにもいかず、どう対応していいのか判らないようだ。


「ヴィレッタ、あまり年下をからかうんじゃない」


 勇者さまがヴィレッタを諌める。冷静に見える態度ではあったが、その瞳に微かな炎が宿っているのは隠しきれていない。


「嫉妬しないの。あたしはユーキだけよ」


 と、ヴィレッタはユーキにしな垂れかかると、彼は満足そうに笑顔になった。


 しかし、ユーキ……勇気、もしくは祐樹あたりか。


(やはり、日本人……)


 千鶴は外見には表さないよう気を付けながら、しかしじっと勇者さまを観察する。


(召喚対象に日本人が多いらしいとは聞いていたけれど……まさか、同級生以外に出くわすとは、ね)


 千鶴たちの同級生でないことは既に確定している。千鶴にしろ恵子にしろ、学内では知らぬ者はない有名人だったのだ。同級生ならまず先にそこで反応を示すだろう。


「……まあいい。いつまでもそうして突っ立ってられちゃ店にも迷惑だろう。座りな」

「ああ。悪いね」


 勇者さまが応えながら座ると、ラクセスは仏頂面でそれに従い、ヴィレッタは「どもー」と軽い調子で笑顔を振りまきながら座った。


「で、用件は?」


 リドウはさっさと話を済ませてしまいたいと、さっそく自ら切り出す。


「この国にリントブルムが棲み付いてしまったというのは知っているかい?」

「ああ」

「国側は今、戦力が枯渇してしまっているらしくてね」

「だから?」


 端的に切り返すリドウに、勇者さまは意外そうな顔をする。同時に、どこか可哀そうな子を見る目にもなっていた。ココまで言って理解できないなんて、何て可哀そうな男だろうと思っているらしいのが、リドウには見て取れた。


 そんなリドウこそ、自分がどうしてこんな切り返しをしたのか全く理解できていない勇者さまに、何となく哀れな気持ちを抱いてしまった。


「実は、僕は勇者なんだ」

「それで?」


 リドウはどこまでいっても淡々と応えるだけであった。これでは喧嘩を売っているようなものだが、ラクセスの態度を諌めようともせず、また少しのフォローもしない勇者さまはその時点でリドウにとって“同罪”であり、まともに対応すべき相手ではないと見切りをつけているらしい。


 ようやくここに至って、勇者さまは自分が歓迎されていないことを理解できたらしく、唖然とした感情を顔に貼り付けていた。

 しかし、なぜか「ああ、なるほど」という顔付きになり、笑顔に戻ってリドウに話しかける。


「いや、信じられないのも無理はないけど、僕は正真正銘」

「だから、勇者なんだろ? んなこと、その並外れた闘気のキャパを見りゃ、言われずとも大方の見当はつく」

「え?」


 勇者さまは今度こそ呆然とする。


 自分の存在をきっちり認識されていて、それにも拘らずこんな対応をするリドウの行動が、全く理解できないらしい。


 まあ無理もない。勇者とは崇め奉られる対象というだけでなく、その強大な戦闘能力から畏怖を以って見られるべき存在であり、彼は今までその通りの扱いを常に受けてきたのだから。


「あ、ああ……そうなんだよ。それで、そのリントブルム退治を僕が請け負おうと思ったんだが、ちょうどその時、最近他の大陸で名前が売れ始めた月紅がここに来ているらしいと耳にしてね」

「ちょっと待て」


 リドウは指先で額を押さえながら、もう片方の手を差し出して、勇者さまの話を止める。


「そのこっ恥ずかしい二つ名、もうここまで届いてんのか?」

「ここ数年じゃ最大のビッグネームよ、あなた――盗賊殺しの紅の月――って」

「勘弁してくれ……」


 ヴィレッタの悪戯っぽい笑顔は、リドウに頭痛を喚起させる。少女たちは思わず苦笑していた。


 のろのろと頭を上げたリドウは、既に火の消えていた煙管の灰を落とし、もう一度火をつけると、深く深く吸って精神の安寧を図る。


「あー……まあそれは置いておくとして――リントブルムをあんたらが退治しに行くってのか?」


 そりゃまた七面倒臭いことを、とリドウは付け足す。


 たとえ『いいこと』だったとしても、こんな大事件にリリス教国家であるこのブランカ帝国で勇者が首を突っ込もうとすれば、まず帝政府に赴いて自ら許可を願い出なければならない。でなければ後々何かと、更に面倒な事態が発生してしまうのだ。


「勇者としてリリス教には思うところが無いわけじゃない。けど、一般人には関係の無い話だ。彼らのためにもリントブルムの討伐には一刻の猶予も無い」

「ご立派な心がけ、感服するぜ。別に止めやしねぇよ。行ってきな」


 がたんっ、と大きな音を立てて椅子を蹴って立ち上がったのはラクセスだった。


「貴様っ。もう捨て置けん。察しが悪いにもほどがある。ユーキは寛大にも、下賎な貴様らをリントブルム退治に同行させてやろうと言っているのだ。感涙に咽び泣いて、ありがたく従うのが貴様ら下々の民の役目であろうが!」

「知るかよ」


 リドウは明後日の方を向いて煙を吐き出しながら、素っ気無く応じる。


「なっ」

「俺らには俺らの目的がある。一分一秒争う旅路じゃねぇが、余計なことに首を突っ込んでいられるほど時間的に余裕があるわけでもねぇんだ」

「余計なこと、と言うのかい?」


 勇者さまは険悪な目になってリドウを睨み付ける。


「困っている人々が現実に大勢居るんだぞ。キミはそれを許せるというのか?」

「知ったことじゃねぇな」


 リドウと勇者は互いに見つめ合う。片方は感情を消し去った瞳で、もう片方は侮蔑を込めた瞳で。


「なるほど……」


 ふんっと鼻を鳴らした勇者は、ゆっくりと席を立ち上がる。


「もういい。どうやら噂ばかりの腰抜けだったようだね。期待した僕が馬鹿だったようだ」


カッチーンッ


 現実ではないどこかで、そんな音が鳴り響いた気が、この場に居た人間は皆が感じた。


 しかし、勇者一行はそれに全く気づいていないらしい。……いや、ヴィレッタだけは「やばっ」と顔を顰めて冷や汗していたが。


 異音の発生源はリドウ――ではなく、恵子と千鶴であった。彼女たちは極めつけに危険なまでの目つきになって勇者を睨み付けており、その横ではそんな少女たちの変化に涙目になっている愛奈も居た。

 シャイリーはそんな一同を興味深そうに眺めているばかりである。


 少女たちの様子の変化に気付いていないのか、それとも気付いていて敢えてそうしているのか、もしくは気にするまでもないとでも思っているのか……勇者さまは愛想のいい笑顔を浮かべながら少女たち、特に千鶴を見つめている。


「キミたちも、こんな腰抜けと一緒にいつまでも居ても、いいことなんか何も無いだろう? 良ければ僕たちと一緒に来ないかい?」

「触らないで」


 千鶴は己の手を取ろうと近づいてくるいけ好かない男の手を、氷点下の眼差しを浮かべながら払い除ける。


 今起こったことが信じられずにぽかんとしている勇者さまの横では、ラクセスが激昂して剣の柄に手をかけた。


「あなた、私の一番嫌いなタイプの男だわ」


 絶句する勇者さまから凍て付く視線を外さず、千鶴は側に立て掛けていた偃月刀を手に取りながら立ち上がる。


「おい、止めとけ」


 リドウが顔を顰めて静止の言葉を投げかけるが、千鶴はナチュラルに無視した。


 店内を漂う複数の殺気に、店員や他の客たちは騒然となるのではなく、一斉に息を呑んで黙り込み、慎重に事の成り行きを窺っている。あまりにもヤバすぎそうで、逃げ出そうにも迂闊に動けないようだ。


「相手の実力も見抜けない低能が、リドウを相手に良くぞ咆えたものね」

「そーよ! あんたたちなんて、リドウにかかったら一瞬でコテンパンなんだから!」


 恵子までもが千鶴に追従して、怒気も露に立ち上がった。


「貴様らっ、愚弄するか!」

「愚弄したのはそちらが先でしょう? 勇者の上で腰振ってご機嫌を取るしか能の無い売女が、張子の虎の威を借ってつけ上がるものではなくってよ」

「なっ、貴様ぁ――もう撤回は利かんぞ!」

「どこに撤回する必要性が認められるのかしら?」

「やっちゃえ千鶴!」


 バチバチバチィ――と両者の間で火花が散る。


 ……いやしかし、千鶴の毒舌も酷いものである。図星でなくてもこれは怒るだろう。もっとも、千鶴としては相手に先に手を出させるために挑発したのだろうし、その思惑は正しく達成されているのだろうが。


「ちょっ、ちょっ、千鶴さんも恵子さんも落ち着きましょう!」

「ラクセス! ちょっと落ち着きなさい!」


 愛奈が友人たちを、ヴィレッタもラクセスを取り押さえようとするが、二人とも非力な魔法使いであったせいか、ガチ戦士系の千鶴やラクセス相手では上手くいかない。


「あぅ……リドウさーん……」


 愛奈はリドウにどうにかしてくれと泣き付く。


 ため息しながら安心しろと愛奈の頭をぽんぽんと叩いたリドウは、いきり立った少女たちへと、先ほどよりもドスを利かせた声を送り付ける。


「二人ともその辺にしておけ」


 でも――と二人は揃ってリドウに言い募るが、彼は視線だけで二人を黙らせる。


「実害があるわけじゃねぇ。好きに言わせておけ」

「…………」


 二人は全く納得がいっていない様子ではあったが、渋々と――本当に渋々とだが、矛を納めて口を閉じる。


 リドウは陶器製のコップに残っていた酒を一気に煽りながら立ち上がる。


「出るぞ。これ以上は店に迷惑だ」


 少女たちの答えを待つことなく、先頭に立って店の出口へと向かうリドウであったが、勇者の脇を通り過ぎようとしたその時、肩を掴まれて歩みを止められた。


「待て! 逃げるのか――ぐぁっ」


 流れるような動作であった。あまりにも自然すぎて、他の誰にも、勇者さまが苦痛の叫び声を上げてから、ようやく勇者さまがリドウによって、リドウの肩を掴んでいた手を背中に回されるようにして拘束されていることに気づいたほどであった。


(くっ……こんなもの、闘気を開放すれば――)


 勇者さまは全身に闘気を駆け巡らせる。しかし……


(ば、馬鹿な……ッ。この男は全く闘気を使っていないはずだぞ!?)


 軽く掴まれているだけにしか思えない自分の腕は、ぴくりとも動いてくれなかった。


 腕を拘束されて前のめりになっている勇者さまが狼狽する姿を、リドウは冷めた眼差しで眺めていたが、つまらなそうに息を吐きながら手を放す。


「あんたな、勇者だか何だか俺の知ったこっちゃねぇが、殺りてぇならてめぇの手で勝手に殺れ。他人の手を借りようとして、てめぇの思惑通りにいかねぇのが好かねぇから貶めてやろうなんざ程度が知れるぜ」

「何だと!?」


 相手が女ならばともかく、男に罵られては黙っていられないのか、勇者さまは顔を真っ赤にして憤慨する。


「勇者として……いや、勇者だからこそ、侮辱されて黙っているわけにはいかないっ。そこまで言うからにはそちらにも覚悟はあるのだろう? ――決闘だ!」

「相手も見ねぇですぐそうやって力に訴えようとする。これだから中途半端に力を持つ考え足らずは嫌なんだ」

「このっ」


 激昂露に剣を抜く。


「なっ!?」


 が……その剣は抜かれる前に、リドウの足裏が剣の柄を押し留めることによって、彼の思惑は叶わなかった。


「動きの起点が見えすぎだ。いくら膨大な闘気を持ってようが、それじゃ宝の持ち腐れだぜ」


 リドウは顔を勇者さまの抜剣を足で防いで睨み付けたまま、改めて煙管に火をともす。


「俺はそう気の短ぇ方じゃねぇと自負しているが、刃を向けられて黙ってるほどお人好しになった心算はねぇし、ましてや俺の保護対象に手を出そうってなら――」


 天に向けて煙を吐き出したリドウは、眼光を鋭くしながら顔の位置を戻す。


「命張りな」


 殺気混じりの視線を向けられ、勇者さまはぐっと息を詰まらせ、全身から嫌な汗を流す。


 しかし、二人だけのやり取りはそこまでであった。


 ヴィレッタが焦燥を露に、リドウから勇者を守るようにして間に入ってきた。彼女は更に、両手を合わせて片目を瞑りながらリドウに向けて精一杯の笑顔を振りまく。


「ごめんなさいね。あなたに期待してたから、当てが外れてがっかりしちゃった反動で、八つ当たりしちゃっただけなの。こんなの本当は言い訳にならないだろうけど、ちょっと世間知らずなのよ」

「世間知らずとは何だっ、ヴィレッタ!」

「ユーキは黙ってなさい!」

「む……」


 気の好いお色気お姉さんといった感じのヴィレッタが浮かべる凄まじい剣幕のあまり、勇者さまは一気に押し黙る。


 ヴィレッタはリドウの方へ顔を戻す。その時には既に、愛想のいい笑顔を浮かべていた。


「許してくれないかしら?」

「元々、俺はどうとも思っちゃいねぇよ」


 リドウはそこで、ふっと柔らかい笑みを浮かべてみせる。


「だが、あんたに免じて、今夜のことは綺麗さっぱり忘れてやることにした」

「ありがと」


 ヴィレッタはニコっと笑みを深めた。


 リドウも軽く唇を歪めてそれに応えながら、今度こそ店を辞そうと踵を返す。


「行くぞ」


 少女たちは何も言わず、大人しくそれに従った。


 いや、ただ一人だけ、


「命拾いしたわね」


 すれ違い様に、千鶴は全身を凍り付かせているラクセスの耳に小さくそう囁いて、その横を通り過ぎる。


 その時のラクセスは全身の血の気が引けた真っ青な顔をしていた。


 リドウと勇者さまのやり取りが始まると同時に、千鶴はラクセスの相手を勝手に引き受けていたのだ――己の制空圏にラクセスを納めながら、殺気を叩き付けることによって。


 リドウの殺気を煉獄の業火とすれば、千鶴のそれはリドウには及ばずとも、氷結地獄の冷気だ。千鶴はある意味、リドウよりも遥かに容赦が無い。一歩でも動けば殺られる――千鶴の殺気にそれを理解せざるを得なかったラクセスは、己の仕える勇者が侮辱され、危機を迎えた場面にもかかわらず、とうとう身動きできなかった。










 店を出た一同は宿の方へと向って足を進める。


 しばらくは誰一人として口を開こうとしなかったが、やがて先頭を行くリドウが、前を向いたまま背後に向かって声を投げ掛けた。


「お嬢」


 その声は感情を押し殺したもので、それがまるで、そうしなければ怒りに任せた罵声になってしまうのを堪えているようにすら聞こえてしまう。


「お前さんに言っておくことがある」


 リドウは足を止めて振り返った。その顔に浮かぶ厳しい眼差しは、恵子を不安にさせてしまうには十分なものであった。


「今後、俺に関して他人から何を言われようが、適当に同意してやり過ごせ」

「な――」


 何であたしにだけ――そう抗議しようとした恵子であったが、寸前でその言葉を飲み込んだ。

 恵子は多少考え足らずな部分があるのは否定できないが、決して愚かではない。今回のようなことが再びあったとしたら、今回と同様の喧嘩沙汰にならない方が不思議なほどだ。リドウはその点を心配してくれているのだと、彼女には理解できていた。


 千鶴に対してそれを言わないのは、既に自分の気持ちを明確に言葉にすらした彼女が、惚れた男をバカにされて黙っていられるような女ではなく、最悪はリドウのような超級の化け物が相手でもない限り、逃げるくらいは自力で可能なだけの実力もある。


 そのような判断が働いた末の言葉である――と恵子は理解できていた。


 できていたのだが……


 泣きそうになりながら、しかしその眼差しはきっと挑むようにして、リドウを見上げる。


「イヤ!」


 リドウは誰の目にも明らかな怒気を瞳に浮かべる。


「あたしは――」


 恵子は僅かな怯みすら見せずに、リドウを睨み返しながら、彼が口を開く前に言葉を吐き出す。


 その情景を、千鶴や愛奈はびっくりした様子で言葉も無く、シャイリーは面白そうに眺めていた。


「あたしはあんたがどれだけ凄いか誰よりも知ってる! 強いだけじゃない。殺しちゃうのが一番簡単なのに、殺しちゃっても誰からも責められない魔物だって『命』だから……だからあんたは“できるだけ”殺さない。殺しちゃっても、それを『殺したくなかった』ってあたしのせいにするんじゃなくって、『必要だったから』って言うわ」


 恵子の強い感情の発露に、リドウは若干気圧されてしまっているのか、微かに唖然と目を開いている。


「正義漢の振りをするんでも、悪者の振りをするんでもない。きっと――自分もこの世界に生きる一つの命――あんたはそう考えてるんだと思う。あんたは『強者の論理』って言ったわ。強いからこそ許される生き方……でもあんたがその強さを得るために支払った努力は並大抵のものじゃないでしょ? あんたはきっと天才なんだろうけど、それだけじゃない。今だって、殺しちゃうのは弱さの証明だって、少しでも上に行こうといつでも努力を欠かさない……」


 リドウが常に力を、強さを求めている大きな理由はバトルジャンキー故なのだが、確かにその意味も少なからず含まれてはいると、彼自身否定はしない。


「あたしはそんなあんたがホントに凄いと思う。尊敬できると思う。そんな相手をバカにされて、本心を隠して自分も一緒になってバカにするようなマネ、あたしは絶対にイヤ。そんなこと――死んでもごめんよ」


 胸の前でぐっと拳を握り締めながら、今までより一層強い、強烈とすら言える感情を浮かべた眼差しでリドウと向かい合う。


「きっとそれが、あたしの矜持だから」


 じっと二人は見つめ合う、お互いに揺るがない瞳で。


「……お前さんは弱い。この世界でてめぇの論理を貫き通すにゃ、権力者であるか、それともどんな権力でも蹴散らせるだけの圧倒的力で以って黙らせるか、さもなきゃただ愚かであるか――だ。お前さんには権力も戦闘能力も皆無だ。それは理解してんな?」

「してるわ。あんたの力を頼って、狐になる心算もないわ。それでもあたしは……あんたの女タラシなトコだけは大嫌いだけど……でもあたしの心の中には、どこかであんたの生き方に憧れてる自分が居るの」


 胸を手で押さえながら、一所懸命に自分の意思を伝えようとする。


「弱者だからって、仕方がないって諦めて小賢しく生きるくらいなら、いっそ愚かでありたいと思う」


 更にしばしの時を、二人はじっと見つめ合った。


 やがて先に目を逸らしたのはリドウの方であった。


 彼は煙管を銜えてため息混じりの煙を吐き出しながら、踵を返して宿の方へと再び歩みを再開する。


 そして、極々小さな声で言った――


「好きにしろ」


 ――と。


「うん!」


 恵子は元気良くそれに応えて、その後を追う。


 リドウはその声を聞き届けながら、独り心の中で愚痴る。


(ったく、生意気なことをほざくようになりやがって、誰の影響だ?)


 間違いなく、そう言う自分自身の影響だろうに……まあ、それを自覚していながら愚痴っているのだろうが。


(ま、嫌いじゃねぇがな)


 ふっと独りでに笑みが零れてしまうのを彼は止められなかった。


 先頭を行くリドウと、彼に続く恵子を、二人の後ろから複雑な顔で見る千鶴も居た。


 千鶴は今の恵子の様子をとても好ましく見ていた。これを成長と言うべきかは人によるだろうが、少なくとも千鶴は、麻木恵子の日本人であった頃には有り得なかったであろう在りようの変化を目にして、素直に好ましく感じていた。


 しかし、そのせいで潜在的最大のライバルが想い人の株を上げてしまったことだけは、ちょっと素直に受け入れ難い。そんな相反する二つの感情を抱え込んでしまっているらしい。


 その横では、愛奈も複雑な感情を顔に浮かべていた。


(リドウさんといい、千鶴さんといい……しかも恵子さんまで無自覚なソッチ系だなんて、何だってこんな、自分からトラブルを招くような性格の人ばかりなんでしょーか……?)


 重いため息を吐きながら、痛む頭を横に振る。


 が、愛奈は全く自覚……いや、理解していなかった――こんな目立つ集団など、存在しているだけでトラブルの素であるということを。そしてその中には、確実に愛奈自身も含まれているということを。今更トラブルを招くの云々を言っても、可哀そうだがあまり意味は無い。


 最後尾からそんな一同を全員視界に納めるシャイリーは、とてもとても楽しそうに笑っている。


(うん、面白いね。でもある意味、今一番興味深いのは……)


 その視線の先に居るのは愛奈であった。


(こんな人たちと一緒に居るには、自分も同類でなきゃ絶対無理でしょ。愛奈ちゃんは最近加わったばっからしいし……リドウさんたちの影響を大きく受けるか、それとも耐え切れずに破綻するか……)


 大いなる見物として、シャイリーの密かな注目の的となっているなど、愛奈は当然気付いてすらいない。


(ホント、退屈しないね、リドウさんたちと一緒に居ると)


 当分は旅を共にさせてもらおうと、彼は彼で決意を新たにしていた。決意、と言うにはいささか軽い上に、邪とも言ってしまえる内容ではあったが……。

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