選考会の始まり
クレープを買った所から逃げるように離れ、イヤさんと別れて、レイドのところに戻った。
「お待たせ」
「おう。もう、始まるぞ」
「はい。これと、これだね」
「なんだ？ 見た事無いな」
「これ、クレープって言うんだよ。手で持てて美味しんだよ」
「へぇ。ん、美味いな！」
選考会は、一週間掛けて行われる。その間、授業は無い。教師達も、選考会で忙しく授業する暇が無いから、らしい。
今日は、全ての初戦を行う予定らしいが、毎年その様には行かず、2日かかる様だ。
「お、リュメルが出て来た」
「へぇ、あいつ出てるんだな」
「うん。多分だけど、今回はリュメルが選手に選ばれるよ」
「へぇ、あいつ、魔法は確かに凄いけど、それだけなんだよな」
「そう。でもね、ここ数日間で魔法の使い方が上手くなったんだよ」
「あぁ！ なるほどな。それは、楽しみだ」
リュメルの相手は、というより、殆どの生徒が同じような、黒のローブを羽織っているので、ちょっと気味が悪い。
「試合！！！！ 開始！！！！！」
審判のその声で２人は後ろに下がった。
先に動いたのはリュメルだった。リュメルが得意とする風魔法を使って、相手の足元に向かって放った。
それを、相手は後ろに飛んで避け、火魔法をリュメルに放つ。
「あぁ、それはダメでしょ」
「だね。相手、テンパってるよ」
リュメルは、相手の魔法に自分の風魔法を当てて、風魔法をでそれを操作し始めた。
「相手驚いてるよ」
「これは、決まったな」
リュメルは、それを相手に向かって放つと、寸での所で水の防壁を張って防いだ。
「お、今の動き凄いな」
「うん。今のは練習してたんだろうね」
そして、火が水に当たり、水が水蒸気に変わり、ステージ上が見えにくくなっているのを利用して、その場からリュメルの後ろに向かって走り出した。
そして、相手がリュメルに向かって火魔法を放つ。
火魔法の熱で水蒸気が晴れ、リュメルは指をパチンッと鳴らした。その瞬間。相手の目の前が光が一瞬光った。
「目眩し！？」
レイドはそれに驚いていた。が、それを教えたのは僕だ。
そして、目眩しで火魔法は消失し、リュメルの風魔法が相手をステージ上から外に追いやって、試合はリュメルの勝ちに終わった。
「これは、後で何か奢ってやるかな」
「まじ？ 俺にもお願いな」
「お前は、何もしてないだろ」
「「ぷっ、あははは」」
そして、試合は半分まで行き残りは明日になった。
「見つけました」
「そうか。なら、観察しておけ、もし、被害が出そうならお前も出て行け」
「分かりました」
