表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
V[M]星屑の漂流者~自世界転生で仲間達を守り抜く~  作者: くろめ
記憶のない自分と向き合うということ
20/40

17 さあ、町をたんけ……遭難!?【樹海編1】

 時刻はまだ14時だ。夜まではまだまだ時間がある。

 もしも夜を少し過ぎたとしても、お父さんがおぼつかない呂律で「夜遅くなる前には帰ってこい」と言っていたので、大して問題ではないのかもしれない。遅くなければいいのだ。


 個人的に大問題なのは、セーラー服(?)が濡れてしまって着れないということだ。どうも他の服だと落ち着かないな……。

 動きやすくて、世間に出ても違和感がない服装をルイに選んでもらったつもりだ。それでも何だろう、自分にとっては違和感になってしまう。

 元々センスが無いのかもしれない。服装に関しても勉強しないとな……。


「具体的に時間を言ってないんだから、21時ぐらいまでは遊んじゃおうよ」

「遊びすぎも良くないが、まあ……少しだけ……」


 ああ、夜の風景は見てみたいな。

 昨日の夜は外に出なかったし、余計に。


「そうだ、星屑ヶ原行こうよ!」

「星屑ヶ原……? それって……」


 昨日、自分が記憶を失ってから初めて目を覚ましたあの時。ルイは自分に、落下した当時のことを詳しく説明してくれた。


 その時明らかになった場所の名前が、星屑ヶ原。

 不思議なもので、天ノ峰家には存在を否定されたと言っていた。だが歴史書の存在をひた隠しにしている辺り、天ノ峰家には何か裏がありそうなんだよな。


『もし口外するようなら……総力を挙げて止めるから』


 ヒカリはそう言っていた。世に出てはいけない情報だからこそ、隠し通そうとしているのだろうか。


 ……考えたところで仕方がないか。ルイが見つけたのだから本当に存在するのだろう。

 夜の少し寒い気温で満天の星空をこの目で見る。しかも、素敵な少年とたった二人っきりで。

 とっても素敵じゃないか。夜が今から楽しみだ。


「カレイドスコープも置きっぱなしだし、早く取りに行きたいなあ」

「望遠鏡のことか?」

「そうそう、メルカ語風の呼び方。ちょっとかっこいいでしょ?」

「オイラは望遠鏡呼びの方が好きかなぁ。というかメルカって?」


 ここに来て、全く知らない単語が出てきた。


「んえ、えっと、メルカはメルカ。国の名前だよ。通称米国って呼ばれてる」

「……え、アメリカじゃないのか?」

「え、何それ?」

「えっ」


 ……いや、考えてみたら、逆にそもそもアメリカって何だ? 確かにそういう国があったような感覚があるんだが。

 待って、それ以前にどうしてこの星の国を知っている?


 ああ、もう。

 どうして自分が宇宙人だと納得し始めていた辺りで、こう裏付けし切れないような事柄を思い出すんだよ……。

 しかも、それが間違いであると。余計に訳が分からなくなってきた。


 これ、一体何なんだ……? 一体、自分は何者なんだ?  


「ベガ、もうそんな顔しないって言ったじゃない。悲しい顔のままじゃ、きっと楽しいことも退屈になっちゃうよ」

「……あ、ああ、そうだな。ごめんよ」

「ベガが一番大変なのは分かってるからね。とりあえず、出来るだけ気持ちを紛らわせればいいなって、そう思うんだ」


 本当に……なんて良い子なんだろう。

 どうして恥ずかしがらずに優しい言葉を言えるんだろうな。

 自分には到底できない。恥ずかしくって。


『ルイ、大丈夫か? オイラがついてるぞ』


 なんて……。


 いやいやいや!! 違う違う!! そういうのじゃなくてだな……。


「ベガ~? 行くよー」

「ほぇ……? あ、ああ!!」

「待ってろよぉ~僕のカレイドスコープー!!」






「迷ったあああああああ!!」


 ルイによれば樹海のとある場所を抜けたら一本道が続き、そこを歩けば直ぐに星屑ヶ原が見えてくるらしかった。

 だが、そのとある場所を抜けても一本道なんて有りはしない。見るからにもう入ったら出て来ることが出来ないような、そんな場所であるにも関わらずルイは「真っすぐ行けば大丈夫……きっと大丈夫……」などとのたまった。だからそれを信じて進んでいったのだけど……見事に。本当に見事なまでに迷ってくれた。


 戻ろうとしばらく反対方向を歩いてみたものの、最初に来た道に戻る気配は全く無かった。恐らく歩いている内に角度がずれていったのだろう。


「どうするんだよこの状況……」

「……ごめん」


 自分とて流石にこの状況は怒りたくもなる。だが、静止しなかった自分も悪い。

 露骨に「迷いますよ」と身を以て警告している場所が目の前にあったにも関わらず、ルイに注意をせず受動的に進んでいってしまったのだ。自分にも間違いなく非が有る。

 それにルイは涙目だ。自分にはこんなに悲しそうにしている彼を叱ることは出来ない。


「おかしいよ。どうして、どうして迷っちゃうの。小さい頃から何度か星屑ヶ原には行っていた。その通りのルートを辿っただけのはずなのに……こないだといい、今回といい……」


 自分と出会ったのがその星屑ヶ原で、それがおよそ二日前。

 たった二日間で木々か急激に成長し、道を塞ぐなんてことはあり得ない。

 ならば、一体どうして、星屑ヶ原へ行けなくなった……?


 ああ……今だけはフェーリエントが居ないことが悔やまれる。彼女なら何か知っていることがあったかもしれないのに。それに、彼女が居れば割と直ぐに出られたような気がするのだ。


 一つ閃いたのが、彼女が自身の周波数をコントロールすること。人間に見えているものをあえて見えなくして、樹海の先を見渡すというものだ。そういった方法が使えたなら、もしかしたら樹海の出口が見つかったかもしれない。

 本当にそんなことが可能なのかは知る由も無いが、神様なんだし出来そうではあるよな……。



 そんなことを閃いた所で、彼女がこの場に居ない以上は実行に移せないのだが。

 じわりじわりと、時間が明るさを奪って行く。


 早くしないと日が暮れてしまう。

 どうすればいい。自分には一体何が出来る……?


 黙っていても事は進まない。二人で意を決して、また移動を始めることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ