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73 幕間 冒険者を追放されたけど何故か仲間になってくれてた天才美少女剣士が最強過ぎる⑤

 ルシオは険しい山道を歩いていた。


「なんて高いんだ……」


 刺さった剣のようにそびえる頂きに声を失う。

 同時にこれから挑む任務に身体が震える。

 目的は、フルボル山の火竜討伐だ。

 名だたる冒険者が挑み失敗し、時に戻らなかった屈指の凶悪怪物である。

 逃げ出したくなる。

 だが、貴重な手持ち金が、このフルボル山に上る路用の金で、ほとんど飛んでしまった。

 成果報酬なので、その間の費用は自分持ち。

 いよいよ竜を倒して賞金を手にしないと大変なことになる。野垂れ死ぬ。

 ルシオは目指す遙か頂上を見上げた。

 山頂からは吹き出す黒煙が見える。

 さらに、火口からの有毒な大気で雑草一本生えておらず岩がごろごろ転がるだけ。

 まさに死の大地だ。

 そこに倒すべき火竜は巣くっているはずだ。 


 すぐ後ろには先日であったばかりの少女剣士が続いている。

 約束通り彼女はルシオと行動を共にした。

 奇跡の仲間であった。


「な、なあ、エンドラ」


 名前はわかったが少女の正体はまるでわからない。

 一体何者なのだろう。

 疑ったらせっかく組んでくれたパーティを解消されてしまうかも。聞けなかった。


「なあに?」


 エンドラは、このような、険しい山道を身軽でひょいひょい登っていってしまう。

 今も、崖のように切り立った場所もなんなく超えてゆく。

 ルシオは必死に後を追う。

 かえって手を差し出された。

 情けなくも、ひっぱって引き上げてもらった。 


「もう少しゆっくりしてった方が……疲れた状態で竜に挑んでも」

「わたしは大丈夫よ。でも、あなたがそういうなら……」


 音をあげたのは、険しい山登りだけではない。

 これまでも途中、何度も魔獣に襲われた。

 狼よりも体格が大きく角が生えている地上の生物とは明らかに違う凶暴な獣。翼が生えた蝙蝠のような魔物。

 その度にエンドラが撃退した。その際にみせた魔法と剣の数々に驚かされた。


「ま、魔法、まさか、エンドラ、君は魔法剣士なのか?」


 通常どちらかの才能になる。

 肉体系、

 魔術、方術。

 まれに両方の素質を持つ。


 大変貴重な存在である。


「まさか……伝説の勇者のパーティーに加わっていてもおかしくない実力だ」


 それも自分と同じかそれよりも年下ぐらいの少女が……。

 剣の腕も一流なのにさらに強力な魔法を使える。

 彼女はなんてすごいんだ。


「あなたは竜を倒す役割が残っているから、雑魚はわたしが相手をするから」


 鮮やかな剣裁きと身のこなしであっという間に倒してしまう。

 対人だけでない。魔物相手にも、とてつもない強さをみせる。


「やっぱり、魔獣が発生しているところを見ると、頂上にいるのは魔界からやってきた竜の一種よ」


 倒した魔物たちの屍を前にエンドラはルシオにささやいた。


「そ、そうなんだ……魔界の扉が開いてこの世界に魔物がやってきているという話は本当なんだ」


「さあ、行きましょう」

 

 エンドラはいつまでも休憩しようとするルシオをけしかけた。

 背中を押される。


「あ、ちょっと待って」

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