承①
①ハチクマの息子の所へいく と言ったら 行く行く あたしも行く と女史も行くことになった 生憎の雨模様だったが まぁ なんとかなるだろう お土産は何がいいかな 西瓜が良いかも知れない すいかあ ウォーターメロンな 少し時期が早いかも知れないが モノが出始めたみたいだし 五月雨の時期だけど どうかな サミダレ あぁ レイニーシーズン to you な とう ゆう 女史はちょっと考え込んだが ダジャレと分かったらしく 梅雨つゆ ね ちょっと玄徳の方を睨んだ 気付かぬフリをしながら 生憎の雨だけど 今年は暑くなるらしいし 現に昨日おとといは くそ暑かったし おチビさんたちには おチビさん キッズな ハチクマの息子の娘達 ハチクマの孫娘な 女の子たちなの あぁ 女ばかり 3人 上がひとりで 下が二人で どういう意味 下が双子ちゃんなんだ まぁ大変ね やんちゃらしい 西瓜でも食わせれば 少しはおとなしくなるかなと 人ごみから だいぶ離れた ポツンと一軒貸家で訪れを告げると 横開きで すりガラスの玄関が開く やぁ おいっす 女史も来てくれましたか ようこそ ハチクマの息子の足元に猫がすりすりと纏わりつく 廊下にも 他に2匹ほど たむろしていた 框を上がると 玄徳の足元にも 擦り寄ってきた まぁ 随分と人馴れしているのね あぁ 奥の部屋から 似たような顔が 三つたてに並んでた 直ぐに4つ目 大元の顔が覗き 会釈した ハチクマの息子が 指で何やら 指示を出す 網にくるまれたまるまる一玉の西瓜を差し出すと 慌てて お辞儀をしながら 台所で作業を始め出した 上の娘も母親と 指差ししながら 手伝いを始め出した いや悪い アレは耳が遠くてな 口もあまり効けない フィンガーランゲージだったら あたしも少しできるわ お手伝いします ササッと 母親に近づいた ハチクマの息子は 下の双子達を 手前の部屋に招いた 玄徳も入れや おぅ 斜めに傾斜した台に 何やら図面らしき物が貼り付けてあった 何だ仕事中か まぁな タンク か 流石 玄徳 直ぐに分かったか ホントは部外マル秘なんだが このところ 石油 ペトロールの消費がドンと増えたからな 線が引けるヤツが珍しい 慢性的に人手が足りないだろう しかし 大学校の試験も近いし 大丈夫か いや 大丈夫では無い が このところ 出費が増えてな 安いとはいえ家賃も払わなければならないし チビどももな 矢鱈滅多ら喰いやがるし こんなに喰うかな と親ながら恥ずかしくなる まぁ デカくなるんじゃないか タッパがな 足の裏 足のサイズが普通の子達よりも 大きいように思える 背が高くなる子の特徴だ そうなのか しかし玄徳よ 試験だったら お前さんも大変だろうに オレか オレの場合は サボる口実が欲しいだけで ソレが今日ってわけさ ハチクマの息子は 微苦笑を浮かべながら 畳に座りがてら 双子のうち ひとりを 肩に背負った 代わりに 玄徳は もうひとりを 同じように背負って上げようとしたが 恥ずかしがって モジモジして 動きたがらない なるほど 双子でも 積極的な方が 碧あおい コチラ恥ずかしがりやが 緑みどり だったっけか 上の娘が 確か 茜あかね だったっけな 玄徳にしては 覚えが良かった 間もなく 茜が 切り出した西瓜が盛られた大皿を 部屋に運んできた 丸い卓袱台に載せる ありがとう 玄徳が礼をいうと 少し微笑んで見せた なかなかシッカリしている どちらに似たんだ ん 声に出てしまっていたらしい 作業を終えた女史が借りてきたエプロン前掛けを外しながら 部屋に母親と共に入ってきた よっしゃあ 皆んなで頂こう 食べよう 食べな 食べな タベルナ うん エトルリアでは レストランテ食堂の事を タベルナ というらしい 紛らわしいな タベルナ タベルナ 娘達が面白がって 唱和する そして 確かに あっという間に 無くなってしまった なるほど そりゃあ いくらあっても 足りないな 変な感心の仕方をしてしまった どうすれば お姉さん みたいになれるの 茜が不意に尋ねる ん という感じで 女史が反応する よく食べ よく飲んで よく寝れば なれる うん 玄徳が答えると 卓袱台の下から ケリが入る アブラカタブラ ん 今度は ハチクマの息子が反応する そう言えば 伏龍も聞いてたっけ 女史も坂東の出だと聞くが 東女は皆んな あぁデカいのか ん Π のことかと思ったが 単純に タッパ 背丈の事を言ったらしい 確かに 女史は頭ひとつ 周りの女学生達より 背が高かった 鳳雛はともかく 玄徳や伏龍と張り合うぐらいには 高かった いや ンなことはない 青木が例外だろ 女史は青木久美 と名乗っていた クラスメイトの女学生からは 久美テン とも キクちゃん とも 呼ばれていたが 野郎どもは 単に 女史 と呼び慣わしていた 野郎どもの 字名呼びの ノリだった




