表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【絶望セーブ】深淵ダンジョンの管理人、捨て子のパパになる 〜最強魔王たちと育てる、パンドラの箱の最後の希望〜  作者: beens
第5章『天界逆侵攻編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/50

第46話:血塗られた過去! 第五の使徒、処刑人の『鏡の部屋』とルシファーの咆哮

 天界の第五の丘、『断罪の鏡界パニッシュメント・ミラー』。

 そこは、見渡す限り巨大な鏡の破片が地面から突き出し、空さえも鏡張りになった、歪な反射の世界だった。

「……ここか。忌々しい記憶の墓場め」

 ルシファー様の声が、かつてないほど低く、重く響く。彼の足取りは重く、その周囲を漂う闇の衣が、落ち着きなく揺れていた。

「ルシファーおじちゃん? どうしたの、顔色が悪いよ?」

 パンドラが心配そうに彼の大きな手を握る。だが、その手をルシファー様は力なく、しかし拒絶するように解いた。

「……パンドラ。ここから先は、見ない方がいい。私という男の……真実の姿がそこにある」

 鏡の奥から、炎を纏った一人の天使が静かに歩み寄る。

 天界十二使徒・第五の騎士、処刑人カマエル。

 かつてルシファーが天界を追放された際、その背の翼を切り落とした因縁の執行官だった。

「久しぶりだな、裏切り者の明星ルシファー。貴様が再びこの聖域を汚すとはな。……そして、その傍らにいるのが、世界を滅ぼす災厄の種か」

「黙れ、カマエル。その娘を汚れた口で呼ぶな」

「ふん、守っているつもりか? ならば見せてやろう。貴様がかつて何をし、どれほどの同胞を焼き尽くしてきたかを! 『回顧の鏡』よ、真実を映し出せ!」

 周囲の鏡が一斉に輝き、凄惨な光景を映し出した。

 それは、数万年前の天界大戦。

 そこには、今のようなコミカルさは微塵もなく、冷酷な瞳で天使たちの軍勢を屠り、血の海の中で高笑いする「真の魔王」としてのルシファーの姿があった。

「見ろ、パンドラ! これが貴様の慕う『おじちゃん』の正体だ! 十万の天使を灰にし、神の愛を嘲笑い、ただ破壊のために生きた、救いようのない怪物なのだ!」

 鏡の中のルシファーは、今の彼とは似ても似つかない、ただ純粋な「悪」そのものだった。

 パンドラはその光景を、瞬きもせずに見つめている。

「……パンドラ、聞くな。見るな……。私は……私は、そういう男なのだ……」

 ルシファー様が、震える手で顔を覆い、膝をつく。最強の魔王が、過去の自分という影に押し潰されようとしていた。


 沈黙が流れる中、カマエルが勝ち誇ったように笑う。

「さあ、災厄の娘よ。その怪物の手を離せ。貴様の父親を奪ったのも、結局はこうした魔王どもの存在なのだと理解――」

「――ねえ、カマエルおじさん」

 パンドラが、静かに口を開いた。

 彼女は鏡の中の凄惨な光景から視線を逸らさず、一歩、また一歩と、膝をつくルシファー様へと歩み寄る。

「……怖かった。鏡の中のおじちゃんは、とっても怖かったよ。……でもね、今、私がお手てを繋いでるのは、鏡の中の人じゃないもん」

「何を……?」

 パンドラは、ルシファー様の震える両手を、自分の小さな手でそっと包み込んだ。

「昔のおじちゃんが何をしても、それはめっ!だよ。……でもね、今のおじちゃんは、私が転んだら誰よりも先に飛んできてくれる。私が描いた下手っぴな絵を、宝物だって言って部屋に飾ってくれる。……パパがいない間、泣き虫な私の隣でずっと一緒に怒ってくれた。……それが、私の知ってるルシファーおじちゃんだもん!」

 パンドラの胸の『箱』から、暖かな、太陽のような光が溢れ出す。

 その光は鏡を次々と粉砕し、映し出されていた暗い過去を、眩い純白の輝きで塗りつぶしていった。

「過去なんか、関係ない! 私が好きなおじちゃんを、勝手に『怪物』って決めつけないで! 『めっっっ!!!』」

 パンドラの光に当てられ、ルシファー様の心にこびりついていた罪悪感の鎖が、音を立てて弾け飛んだ。

「……ああ。そうだったな、パンドラ。……私は、貴様に相応しい『おじちゃん』でありたいと、そう願ったのだ」

 ルシファー様が立ち上がる。

 その背中から、黒く、しかし気高く輝く十二枚の翼が爆発するように展開された。

「カマエル。過去の私に怯えるのはもうやめた。……今の私は、世界一可愛い姪(予定)にカッコいいところを見せねばならんのだ。……消えろ、私の過去を汚した報いだ」

 ルシファー様が指をパチンと鳴らす。

 『真・堕天の終焉グランド・クロス

 鏡の破片すべてが黒いレーザーと化し、逃げ場のない処刑人を全方位から貫いた。

「ば、馬鹿な……。罪を克服したというのか……! ぐわぁぁぁぁっ!」


 処刑人が消滅し、鏡の世界が崩壊していく。

 元の丘の上に戻った一行の中で、ルシファー様は少し照れくさそうに、パンドラの頭を撫でた。

「……パンドラ。……ありがとう。救われたよ」

「えへへ。……だっておじちゃん、鼻水出てたよ?」

「……それは気のせいだ。魔力が漏れただけだ」

【ログ:天界第五の丘を突破。処刑人カマエルを完全消滅。】

【獲得ポイント:+150,000,000P(誇り高き処刑人が、罪を赦された魔王の光に焼かれた絶望より)】

【ルシファーのステータス:称号『過去を越えし魔父(自称)』を習得。】

【管理者コメント(自動返信):ルシファー様……いいところでしたけど、『姪(予定)』ってなんですか。……パンドラ、おじちゃんに優しくしてくれてありがとう。……でも、私の地位パパだけは譲りませんからね!】

「パパが嫉妬してる! あはは、急がなきゃ!」

 絆をさらに深めた一行。

 残る丘はあと二つ。天界の頂、神の法廷が、いよいよその姿を現し始める。

更新通知を受け取りたい方は、ぜひブックマークをお願いします!

「続きが気になる」「面白い」と思っていただけたら、下の☆☆☆☆☆から評価をいただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ