第19話「VS関東大瑞穂高校①」
天候は曇り。気温は18度。
グラウンドコンディションも良好で、試合環境としてはとても良い。
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「読者のみなさん、本日の実況を担当します
南東京高校放送部木村です。
どんな試合でもかけつけ担当させていただきますので、
設定や不自然には目をつむりお付き合いください!」
「それでは、これから行われます南東京高校対関東大瑞穂高校の試合をお届けします。
スターティングメンバーを発表する前に本日の解説をご紹介します!」
「本日の解説は、関東大瑞穂高校栗林監督です!」
「どうも~宜しくお願いします。」
気だるい感じで解説席に座っている今回の大物だ。
「今日は解説引き受けていただきありがとうございます。
でも本当によかったんですか?指揮できないですけど・・・」
不安な顔で隣を見る木村。
「いや~大丈夫ですよ。私が出るまでもないです。」
南東京高校の監督に聞こえるように答える。
「お~っと早速ありがとうございます!」
これは数字取るぞ。
「それでは、両校のスターティングメンバーを発表します。
まずは、左から右に攻めます。上下白のユニフォーム
南東京高校になります。」
「GKから高橋、
DFは4バック右から坂崎・鈴木・柏木・橋本
DMF粕谷・宮本
OMF斎藤・佐藤・山下
CF加藤
以上になります。
フォーメーションは4-2-3-1にこちらからは見て取れます。」
「続きまして関東大瑞穂高校は、上下水色のユニフォーム
スターティングメンバーは
GK・・・・
以上になります。
フォーメーションは4-3-3になりますか?」
ここぞとばかりに聞いてみる
「そうですね。多分そうだと思います。」
相変わらずやる気はなかった。
「今日の試合展開で注目ポイントはどこになりますか?」
栗林監督はこの試合どう見ているのだろう。
「普通に考えれば、うちが勝ちますね。3-0ぐらいで。
ただ、もちろんこちらにも嫌な展開はあります。
それをしっかり南東京高校が準備しているかにかかっているんじゃないですかね。」
急に真面目。
「わかりました。そろそろキックオフの時間です。」
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センターサークルに置かれたボールに近寄る。
「加藤」
後ろから声をかけたのは、佐藤だ。
「なんだ」
「こうやってまた試合に出られるっていいもんだな。」
しみじみと言ってくる。
「そうだな。でも勝たないと意味ないぞ」
思ったことをはっきりと伝える。
「そうだな。勝とうぜ。」
そう言うと佐藤は自分のポジションに戻っていった。
「それでは、試合を始めます。ピィー」
主審が笛を吹く。
加藤がボールを宮本まで戻して、試合が始まった。
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「さぁ、加藤くんが宮本くんにボールを戻してキックオフです。」
「それでは栗林監督、最初の10分間は両校どういったサッカーになりそうですか?」
「そうですね、南東京はまずは様子見だと思います。
それに比べて関東大瑞穂は、前から積極的に行くと思いますよ。」
「なるほど。早速宮本くんにプレッシャーをかけに前線の選手が襲い掛かる」
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「宮本」
後ろから声がかかる。
「まずは、後ろに戻していいぞ。
そこで取られるのはキツイ。」
「わかった。」
宮本は声がする後ろへボールを戻す。
ボールを受けとったのは、もちろんDFリーダーの柏木だ。
落ち着いた様子でボールをおさめると、周りの様子を確認する。
「やっぱりこのプレッシャーは早いな。」
もうあと5m。プレッシャーをかけに相手のFWが寄ってくる。
「でもうちはやることが決まってるから慌てることはないぞ。
なぁ、坂崎。」
そう言って、内にポジションを取っている右SBの坂崎にパスをする。
ボランチのパスコースを切りながら寄ってきた相手FW2枚の斜め前にボールが出たことで、このプレッシャーが無効化され、ボールを蹴ってくることを見越して
後ろに残っていたDFと前から取るつもりでいたMFの間のスペースがぽっかり空いていた。
そこをもちろん見逃さない坂崎。
空いたスペースにいる佐藤に縦パスを送る。
「ナイスパス。」
佐藤は、坂崎が速いボールを左足で止められる位置に送ってきたことで
ターンができることと加藤へのスペースが空くことを理解する。
しっかりボールを止め、ターンをする。
「斎藤、山下、外へ広がれ」
そう声をかけられた両MFはおもいっきり外に張り始める。
それに反応せざる負えない相手DFの4バックは一気に広がる。
佐藤を止めるためにCBの一人が寄ってくるタイミングで、
「練習どおりだな。」
加藤へスルーパスを送る。
オフサイドラインをかいくぐる加藤へドンピシャなパスが通る。
GKと1対1。
わずかキックオフから30秒。先制点が決まった。
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