表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7番目のシャルル、聖女と亡霊の声  作者: しんの(C.Clarté)
第十二章〈二人のジャンヌの死〉編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/224

勝利王の書斎22:忘れてはいけない、許してもいけない

 第十一章から第十二章へ——。

 《《勝利王の書斎》》は、歴史小説の幕間にひらかれる。


 こんにちは、あるいはこんばんは(Bonjour ou bonsoir.)。

 私は、生と死の狭間にただようシャルル七世の「声」である。実体はない。

 生前、ジャンヌ・ダルクを通じて「声」の出現を見ていたせいか、自分がこのような状況になっても驚きはない。たまには、こういうこともあるのだろう。


 ただし、ジャンヌの「声」と違って、私は神でも天使でもない。

 亡霊、すなわちオバケの類いだと思うが、聖水やお祓いは効かなかった。

 作者は私と共存する道を選び、記録を兼ねて小説を書き始めた。この物語は、私の主観がメインとなるため、《《歴史小説のふりをした私小説》》と心得ていただきたい。


 便宜上、私の居場所を「勝利王の書斎」と呼んでいる。

 作者との約束で、章と章の狭間に開放することになっている。





 恒例のフランスの慣用句シリーズ、現在進行中の物語にふさわしいのは、間違いなくこれだろう。


"Ni oubli. Ni pardon."


「忘れてはいけない、許してもいけない」


 ひどい行為を受けたことを忘れて加害者を許すことは、被害者の苦しみを軽視することであり、同じ加害者からまた同じ被害を受ける可能性を残すことになる。


 ゆえに、忘れても許してもいけない。


 この慣用句は、私ことシャルル七世が「ジャンヌの異端審問と火刑」をどう考えていたのかを考察する手がかりになるだろう。


 フランスをはじめ、ヨーロッパ諸国はキリスト教を国教とし、聖書の教えを重んじている。中でも、「(ゆる)し」は重要だ。


 だから、読者諸氏は、今回選んだ慣用句を意外に感じるかもしれない。


 しかし、この言葉の本質を知ればそうでもない。

 日本語ではよく混同されるが、じつは「赦す」と「許す」は別物なのだ。


 「許す」とは、相手の申し出を認めること。

 「赦す」とは、相手を罰したいという欲求を手放してすべてを神に委ねること。


 罪とは、《《赦》》されうるものであって、《《許》》されるものではない。


 さて、時間が来たようだ。

 これより青年期編・第十二章〈二人のジャンヌの死〉編を始める。


(※)「赦す」と「許す」の混同は、映画や商業出版の翻訳どころか英語の辞書ですら見られます。違いを理解して使い分けている日本人はかなり少ないようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ