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7番目のシャルル、聖女と亡霊の声  作者: しんの(C.Clarté)
第十一章〈異端審問と陰謀〉編

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11.18 シャルティエの演説(2)シャルル七世の親書

 詩人アラン・シャルティエが、フランス王シャルル七世の外交官として神聖ローマ帝国とローマ教皇のもとに初めて派遣されたのは1425年のことだ。


 そのとき渡した信任状には、私がフランス国内外の和平を望んでいることと、和平実現のために皇帝と教皇に調停者になってほしい旨が記されている。


 外交官たちは、王の意思に基づいて外交を展開する。

 金品を貢いだり、宴会を催したり、政略結婚を求めたり、時には武力をちらつかせて恫喝することさえある。


 シャルティエの場合は、持ち前の文才を生かして演説を武器とした。


 私はこまかいことを気にしない。目的を果たせばそれでいい。

 だから、シャルティエがどんなふうに演説したのか、詳しい内容までは把握してなかった。


 本題の前に、皇帝ジギスムントに渡した親書を紹介しよう。

 発送する前に複数の有識者から添削されているが、一応、私自身が記したものだ。本音と建前があるにせよ、私の本心が書かれていると考えていい。



============

神が皇帝陛下と神聖ローマ帝国に与えた勝利を、

心よりお喜び申し上げます。


貴国の繁栄が、わがフランス王国にも

恩恵をもたらすことを願っています。

なぜなら、成功も挫折も分かち合うのが

友情の掟だからです。


幸も不幸も、敵対的な言葉も、時の流れも、

私とフランス王家に対する

皇帝陛下と帝国臣民の愛を変えることはできませんでした。


神のご意志により、現在、私たちは

我がフランス王国に降りかかる大きな困難に耐えている最中ですが、

神の恩寵により、それらの困難に打ち勝つことを望んでいます。


私たちが戦争をしているのは領土を拡大するためではなく、

不当な簒奪から防衛するためであり、

神は、私たちが誰も挑発していないことをよくご存知です。

============



 当時、ブルゴーニュ無怖公の死をきっかけに、皇帝ジギスムントが私に敵意を抱いていたのは間違いない。脅迫のみで、実際の報復に至らなかったのはフス戦争が勃発したせいだと私は思っていた。


 しかし、皇帝の感情が和らいだのは、もしかしたらシャルティエの演説のおかげだったのかもしれない。


 雄弁であることはときに人を不愉快にさせる。

 飾り立てた言葉で教養と学識の高さをひけらかしたり、人を煽動して思いのままに操ったり、あげくの果てに詐欺行為で金品を巻き上げたり——。

 あるいは、美辞麗句に惑わされて、言いたいことの核心が伝わらないことさえある。言葉とは難しいものだ。


 上記の親書が、私の自己弁護だとしたら、シャルティエの言葉は弁護人の演説みたいなものだろう。


「歴代フランス国王と神聖ローマ帝国皇帝の友情は、自然と血統の上に築かれたものです。この同盟は、ほんの一瞬、不確かな状態になりましたが、歴代国王が子孫に受け継がなければならない遺産といえましょう」


 冒頭はこのようにして始まる。

 見たところ、私の親書を踏襲した内容だが……。





 雄弁であることはときに人を不愉快にさせる。

 言葉とは難しいものだ——と言ったが、まさにその通り。


 よけいな話は省いて、シャルティエの言葉をここに記そう。



============

フランス王国が絶望に打ちひしがれることはない。


未熟な国王は病気で衰弱していたが、

幼少の頃から《《自然》》が育んだ気品と美貌を備えた

重厚な王子が後を受け継いだ。


フランスは敗北したが、滅亡したのではない。

敵はフランスを守る者たちを虐殺し、自らを疲弊させた。


人々の心に刻まれ、古き文書に記録され、

誓約によって確認された

神聖ローマ帝国との古くからの同盟は、

皇帝が即位した瞬間に更新された。


民衆の愚かな犯罪と、諸侯の弱さのために

敵に貶められて悪意に屈したフランス王国の後継者は

帝国との同盟によって、再び立ち上がることができる。


皇帝が自らの手でフランス王国を守り、

不実な簒奪者の手に落ちるのを防ぐのは、

皇帝自身の大義である。

============



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