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世界を創った神様は人界で隠居します。  作者: ヒカゲ
人界にて
34/42

掃除そして異彩眼


次の日。



部屋でジェイソンに待機を命じその後、もう2件回ったが見た目が子供だからと相手にしてくれなかった。4件目はリーシアと夜をチラチラ見ては何の説明もなしに奥の部屋へと連れて行こうとした為危険を感じ急いで店を出た。



「なかなかみつからないねぇ〜。」


「庭師のスキルはそこまで希少なスキルでは無いと思いますが…。」


「だよね〜、まぁ、こんきづよくさがしてみよう。」

(だよね〜、まぁ、根気強く探してみよう。)



そう言って商業ギルドで貰った地図を見ながら次の商館へ向かい路地を曲がると後ろから強風が飛んできた。

「主様!」

リーシアが夜を抱いて横に飛んだ。

「…っ!なんだ?」夜は強風が飛んできた方向を見た。そこには先程訪れた商館にいた人達がいた。


「ちっ!外したか!」

「ちゃんと狙えよ!グズが!」

「あ”?んだと?」


攻撃を仕掛けて来た男達が内輪もめをしている中、夜はリーシアを見た。上から圧を感じたからだ。


「主様に攻撃を仕掛けるなんてなんて愚かな…っ。いっその事…」

「りーしあ。」

「はいっ。何でしょうか…。」

「しなないていどならいいよ。」

リーシアが物騒な事を言っているので死なない程度にと許可を出した。


僕だって攻撃されてなんとも思わないわけじゃないもんね。


「感謝します!」

リーシアは嬉しそうに夜を膝からおろし男達の前に立った。

「あ”?何だよ!!」

右側にいた男がリーシアにメンチを切った。そして、リーシアは笑顔で男の頭に回し蹴りを入れた。回し蹴りを食らった男は左側にいた男を巻き込んで壁に打ち付けられた。回し蹴りを食らった男はこめかみから血を流し失神している。「何すんだよクソガキが!」と巻き添えをくらった男は風魔法でリーシアをつき飛ばそうとした。だが、リーシアは体勢を低くし男との間合いをつめ壁を蹴って一回転し男にかかと落としを食らわせた。そして仕上げと言わんばかりに「ですから、これは主様を攻撃した代償です。ー悪夢(ナイトメア)ー。」と言った。


襲ってきた男たちを撃退し、夜たちは次の商館へ向かった。


5件目は1件目とは違い臭い匂いはしなかった。店の外よりかは清潔にされていた。夜たちに気づき店の中から女の人がやってくる。「行っらっしゃいませ。どのような奴隷をお探しですか??」


「にわしごとができるひとと、わかいどれいをすうにんほどさがしています。」

(庭仕事が出来る人と、若い奴隷を数人ほど探しています。)

若い奴隷達を探しているのは掃除やジェイソンの手伝い。庭仕事を手伝わせる為だった。あの大きい家では人手が必要だろう。


「一通りみますか?それともこちらで見繕いますか?」


「ひととおりみせてください。」


「分かりました。こちらへどうぞ。」そう言って女は地下へ案内した。1件目と同じで牢屋のような作りだが圧倒的にこっちは綺麗で奴隷達の身なりも小綺麗な者が多かった。


そこからはジェイソンの時と同じように鑑定を使って【庭師】を持っている奴隷を探して行った。今回はすぐ見つかり若い奴隷を選びに向かった。


一通り選んで女のもとへ戻ろうとした時、とある奴隷から目が離せなかった。



その奴隷はヤギの獣人で目元に布を巻いている盲目の少女だった。夜はしばらくそのまま盲目の少女をじっと見続けた。すると女がこちらへ来てこの少女について教えてくれた。話では3日前別の商館から売られてきたらしい。盲目で何も出来ない為困っているそうだ。そしてその話を聞いている間も夜はその少女から目が離せなかった。そして…


「……このこ…ぼくにください。」気づいたら口から出ていた。


夜の言葉に少し驚き女はほんとに買うのかと聞いてきた。

「こちらとしては助かりますが宜しいのですか?」


「うん」そう言って夜はコクリと頷いた。


庭師と若い奴隷達、盲目の少女との主従契約をした後夜達は宿屋に戻った。そしてその人数の部屋を頼もうとしたのだが空き数が足らず止めることが出来なかった。なので、人数が増え宿屋の部屋が使えなくなった夜は商業ギルドへ向かった。ギルドへはいると宝石を買い取ってくれた受付嬢の所へ行き「とちといえをかいたいんですけどそこそこひろめのってありますか…?」

(土地と家を買いたいんですけどそこそこ広めのってありますか…?)と聞いた。


「はい!予算はいくら程で探しますか?」受付嬢は笑顔で話を進めてくれた。

「これでおねがいします。」

そう言い夜は魔力をこめた宝石を小と大2つずつ机の上に置いた。

「大体金貨2000枚程ですね。分かりました。少々お待ちください。準備が出来次第お呼びします。」少し時間が経ち呼ばれると5箇所ほど良い物件を見つけてくれた。


場所:3番区


土地:縦30m横90m


建物:なし


金額:金貨903枚






場所:1番区


土地:縦30m横10m


外見:とてもボロい(囲無し、屋根破損)


内側:とてもボロい


金額:1700枚




場所:2番区


土地:縦40m横60m


外見:そこそこ綺麗(囲有り)


内側:綺麗


金額2000枚




場所:4番区


土地:縦80m横50m


外見:そこそこ綺麗(囲無し)


内側:少しボロい


金額:1410枚





場所:4番区


土地:縦50m横70m


外見:少しボロい(囲有り)


内側:少しボロい

※教会兼孤児院

金額:1200枚



3番区、1番区は論外として、2番区は貴族街から近いからだめ…片方は教会兼孤児院…良いかも。



「このきょうかいのとちにします。」

(この教会の土地にします。)


「はい、分かりました。土地と教会の権利書と代金の残りを持ってきますので、少々お待ち下さい。」




受付嬢が帰ってきたあと2枚の土地の契約書にサインをして片方の契約書と権利書、残りの代金を貰ってその場所の地図と鍵を貰った。


商業ギルドを出た後、奴隷を後ろに連れ目的の場所へ着いた。5ヶ月前に売られたらしいこの教会、見た目は2つの建物が密接している建物だった。門から入って左側に孤児院右側に教会がある。中は蜘蛛の巣だらけで残っている布には埃が積もっている。床も真っ白な絨毯のようだった。


5ヶ月でこんなになるものなのだろうか…。


教会の中の壁は石で出来ていて床は木の板だった。隣接している隣の孤児院は壁も床も木で出来ている。扉がギィギィと音を立てていた。孤児院には食事をするスペースと寝室だろうか。建物的には意外と広かった。ラージア国の家と変わりない程に。教会と孤児院の窓を開け風魔法を使ってホコリと塵を1箇所に集めた。

それとホコリを被ったベットがいくつもあった。


その後、布やベットは水魔法で洗い風魔法で乾かし庭の草の上に置いた。奴隷の子達にも手伝ってもらい水魔法で濡らして床や壁、竈や石でできた机をたわしで磨いた。その後はまた水魔法で洗い流し風魔法で乾燥させた。その間にリーシアには教会と孤児院の壊れたところを修繕してもらい、孤児院の裏に土魔法で簡単な風呂場も作ってもらった。大人10人入れる程スペースがあった。


教会と孤児院の掃除が終わり、奴隷達と中に入った。リーシアにはジェイソンを呼んできてもらい、ジェイソンに魔法鞄(マジックバッグ)から予備の調理道具と食材を渡し、料理を頼んだ。その際にあまり胃の負担にならないものを頼んだ。ジェイソンが料理を作っている間、夜とリーシアは奴隷の体の採寸をし、リーシアが簡単な服を人数分仕立ててくれた。



今回購入した奴隷はジェイソンを含め8人だ。そのうち人間が4人獣人族が4人。どっちも男と女を2人ずつ購入した。人間の方はジェイソンと庭師の男、10代前後の女の子を2人。獣人族の方は14歳くらいのヤギの少女と双子の猫の姉弟。歳はリオと同じだと思う。それと13歳くらいの黒豹の少年だ。この子は買った時から僕たちをずっと警戒している。触られるのを怖がっているのかそばにいたジェイソンのような大人の男性にも警戒していた。

夜はその購入した奴隷達を1人ずつ治療していった。ほとんどの奴隷達は傷をおってなかったが、盲目なヤギの少女は違った。まるで目をくり抜かれたように陥没していた。治そうとしても震えてやめてと拒まれた。理由はわかっていた。恐らく【異彩眼】が理由だろう。先程リーシアに全員の鑑定を記録した紙を見せてもらったときこの少女の固有スキルに【異彩眼】と書かれていた。【異彩眼】は左右で異なった色を持つ眼のことだ。【異彩眼】は魔力を通すと精霊が契約しなくても見ることが出来たり使役したりできるスキルなのだが、見えていない人達からしたら魔法も使っていないのに変な現象が起こるのだそのせいで気味悪がられているのだろうか。【異彩眼】はこの国や一部の地方で忌み嫌われている。恐らくそのせいで目をくり抜かれのだろう……。


「だいじょうぶだよ。きみが【いさいがん】でもぼくはきみわるがらない。やくそくするから。なおさせて…。」


少しの沈黙の後盲目の少女は夜に尋ねた。


「本当に…ですか…?本当に気持ち悪がらない…?」


とても不安そうに助けを求めるように少女は聞いた。


「うん。ぜったいにしない。」


それを聞くと少女はポロポロと涙を流した。

そして夜はその少女が泣き止んでから治療をはじめた。上級ポーションを1滴ずつ両眼に垂らしー上級回復(ハイヒール)ーで視神経から眼球を丁寧に復元していった。

「できたっ…。あけていいよ。」

それと同時に()()()()()少女は目を開けた。開いた目はとても繊細なガラスのようで、シトリンとアクアマリンとはめ込んだように綺麗だった。

「すごくきれいだね」夜が無意識にそう言うと少女はまた泣いてしまった。


回りの奴隷達もほっとしたようにその少女を見つめていた。

しばらくしてジェイソンがご飯を作り終えたようで夜達を呼んだ。胃の負担にならないものを作ってと頼んでいたので出てきたのはリゾットだった。そしてそのリゾットをみんなで食べた。その後、男女別でお風呂に入りリーシアが仕立てた服を着て洗ったシーツに横になった。



そうして忙しい一日が終わった。










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