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魔法少女という年ではない。  作者: あるにゃとら


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第29話


 私は群馬の民である。東京から実家までは新幹線で1時間程度。

割と気軽に帰られる距離ではあるのだが、高校に魔法少女にとやらなけれなならないことが多いので、夏休みといった大型の連休がない限りは帰ることはできない。


 だが今は夏休み。高校もなく、課題は夏休みに入ってからの1週間であらかた終わらせた。

 結果、私は余裕を持って帰省することができる。


 すでに家族には帰る連絡は送っている。駅から実家までの距離も、歩いて15分と言ったところなので、迎えに来てもらう必要もない。


 実家の目の前に着いた。先ほど私は家族に連絡を送っているといっていたが、これが正しくもあり正しくもない。

 なぜなら私の帰省を知っているのは両親だけ。愛する可愛い妹は私の帰省を知らないのだ。


 母からの連絡が正しければ、妹は私に会いたいと毎日のように言っているらしい。そこで私は、事前予告なしに参上するサプライズを企てたのだ。


 着いたことを母に連絡すれば、妹はリビングでテレビを見ているらしい。これはいい反応が楽しめそうだ。

 さらっとドアを開け玄関に入ればばれる心配もない。さらっと、さらっと。


「おねーちゃんおかえり~!」

「うわっ!」


 ドアを開け玄関に入ると同時に抱き着いてくる人型。直後の声を聞いてみれば、6年近く毎日聞いていた可愛い妹の声がする。


「は~い、おかえりここあ」

「お母さん?なんで美柑が」

「みかんもおねーちゃんのこと驚かせたかったの!」


 という事であった。つまり私は二人の策略にまんまとはまり、驚かすつもりが逆に驚かされたというわけである。


 神威美柑。私の妹で今年小学1年生になった、綺麗な黒髪を持つおかっぱの女の子。非常に元気があり、他人の言うことをすぐに信じてしまう素直な性格をしている。

 

「さ、お部屋にものを置いてきちゃいなさい。掃除した以外はそのままにしてあるから」

「みかんも一緒に掃除したの!」

「美柑はえらいね~」

「えへへ~」

「はいはい、可愛がるのもいいけど、もうお昼でしょ。用意してあるご飯が冷めちゃうから急ぎなさい」

「わかったー」


 名残惜しいまま抱きしめていた美柑を開放し部屋へ。私の部屋は2階だ。階段を上って一番奥の部屋。


 入ってみれば、その姿は中学生のころと全く変わっていない。

 ピンク色のカーテンや机、おいてあるゲーム機や写真立てまでピンク色。中が見えるクローゼットの中には白や水色、そしてここでもピンク色の洋服がたくさんある。


 当時の私は可愛いものが好きだった。いや、今でも好きなことに変わりはないのだけど。

 可愛いものが好きで、自分も可愛くなりたいと思った。だから可愛い色代表のピンクをたくさん集めて自分を着飾った。


 だけど中学生になってから身長がどんどん伸びるようになり。女の子らしい可愛い服や化粧をするのが難しくなっていった。

 それでも諦められず、がんばって着こなしたり化粧の練習をしていた。この部屋にある物たちは、全部それの名残。


「もったいないけど、処分するかぁ」


 今の私には似合わないものばかりだ。私の顔と身長では、可愛いより格好いい系のものの方がよく似合う。


 それに、中学校を卒業してから今までですでに3㎝近く伸びている。今着ようと思っても、着こなすことは難しい。

 可愛い服は魔法少女の衣装だけでいい。


 これからは格好いいものも着てみようと思う。今の私に似合う系統だという理由もあるし、それにもう一つ。


 夏祭りの日、奏の言ってくれた「かっこいい」という感想が記憶に残っているからだ。

 奏はきっと気にしていなかっただろうが、実はあの日の私、可愛い寄りではない浴衣を着ることに結構緊張していた。


 なぜなら私は、普段から可愛い寄りの服を着ている。化粧もそっち寄りなので、綺麗さ、格好良さをメインにした身だしなみというのは初めての経験だったのだ。


 もちろん、変じゃないかと何度も自分でチェックしたが、不安はぬぐい切れなかった。それでも開口一番に「かっこいい!」と褒めてくれたのだから、当然嬉しかった。


 そんなわけで、イメチェンと言うほどではないが、私は系統を変えることにした。帰省の際に持ってきた服装も、可愛いではなく綺麗系など大人っぽさを重視したものがほとんど。


それにお母さんは年の割に綺麗でよく褒められているので、お化粧のやり方を教えてもらえないかとも思っている。


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