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魔法少女という年ではない。  作者: あるにゃとら


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第28話

 来たぞ夏祭り。

 夏休みに入ってすぐが当日なので、実家に帰る前に遊べるのだ。

 二人とは夏祭りが行われる駅のホームで待ち合わせ。グループの連絡を見ればすでに二人は到着しているらしいので、私が最後となる。


「あ、心愛こっち!わ、かっこいい!」

「かっけ~」

「ありがとう。二人も似合っていて可愛いね」


 服装は全員浴衣。

 私は身長が高く、悔しいが可愛いものだと映えない。なので、色は黒をメインに白色と赤色のお花柄のものを選んできた。帯は白色で、浴衣全体の黒と反対の色にすることでメリハリを出している。

 髪型はリボンハーフアップ。これだけだと可愛い寄りだけど、毛先を巻くことで可愛さと大人らしさの両方を演出できる。何気にシルエットを良くするのが大変だった。


 奏は淡いミントグリーン色をメインにした浴衣だ。全体に小ぶりで繊細なピンクと白色のお花が添えられていて、奏の清楚で可愛いところとよく合っている。 

 背中には妖精の羽を思わせるような透き通った飾り帯があり、とても幻想的な印象を受ける。

 明るく綺麗な茶色の髪は、ふんわりと柔らかくまとめられていて小動物のようだ。


 美鈴は淡いベージュ色を基調とした浴衣だ。全体に大きな花の模様が刺繍されていて、白をベースに、深みのある青から淡い水色へとにじむようなグラデーションが施されている。

 普段は降ろしている長い金髪は、頭の上で小さくまとめられており、上品さを感じさせる。言動とは真反対の、大人の余裕を感じさせる浴衣だ。


「それじゃあいこっか!」

「まずりんご飴だからね~」

「はいはい」


 祭りの会場は駅からとても近く、5分も歩けばついてしまう。

 同じように浴衣を着た人や、笑いながら走り回る子供たち。都会の中ではちょっと田舎よりなこの街だけど、私の実家がある町とほとんど人の集まりは変わらない。

私の実家、県の中ではけっこう都会の位置にあるのに。


「買ってきたからどうぞ~」

「あ、ありがとう」

「わ、大きい」


 何か感慨深くて祭りの入り口でボーっと眺めていたのだが、気が付けば美鈴は既にりんご飴を買いに行っていたらしい。5個ほどもりんご飴を抱えて戻ってきていた。


 ん、何が感慨深いって?いや、私は魔法少女になったからさ。私が、私たちが戦って守った人や地域が、こうやって大きな楽しさの渦を作っている一つになっていると考えると、なんだかね。


「さぁ、時間は有限だよ~。どんどん行っちゃお~」

「あ、ちょっとはぐれないでよ!ほら心愛、行こ?」

「うん」


 この感動は、魔法少女にならなければ一生理解できないものだっただろう。


 あの時奏があの場所にいなければ、私は今でも修練場でずっと魔法の練習をしていたし、奏の居ない学生生活もきっと今ほど楽しいものじゃなかった。

 夏祭りにだって来なかったかもしれない。


「奏」

「ん?どうしたの?」

「ありがとう」

「?うん!」


 奏が笑うその姿を、何よりも美しいと感じる。私を魔法少女にしてくれた人。まだたった2か月しか一緒にいないのに、その笑顔をずっと見ていたい。


 これはただのわがままだ。私は奏のために魔法少女になった。きっと私の奥底では、魔法少女であることと奏という存在がイコールでつながっている。


 もちろん、ほかの魔法少女と一緒に戦いたいと思う気持ちも嘘じゃない。普通の子供だったはずの魔法少女が、せめて命を落とさないようにと共に戦う気持ちは本当のことだ。


 でもそれ以上に、私は奏のために戦っている。魔獣によって殺された人が奏の大切な人だったら?逃がした魔獣が、巡り巡って奏に被害を出したら?それが酷く恐ろしくて仕方ない。


 私は奏を守るために魔法少女になった。初めて魔獣と戦ったとき、本来であれば「人を守る」という意思の元戦うべきだったはずの私は、より具体的に「奏を守る」という意思の元戦っていた。


 それが良いことか悪いことかはわからない。少なくとも戦える状況である以上、悪いことではないと思う。


 結局、考えても仕方ないものは仕方ない。私の戦う理由が「奏を守る」をメインにしてしまっている以上、私はその意志の元戦うだけだ。


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