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2-4. The Disturbing School Life The So Sweetie Dragon

 突然ですが、郡立エレシア中等学校には『部活動』というものが存在します。

 部活動というのは共通の趣味や興味を持った生徒達の集まりで、生徒達に社会性や忍耐力などの勉強では得られない能力を育てる場所としての役割があります。

サークルの内訳は【剣術部】や【陸上部】、【歴史研究会】や【読書会】といった真面目なものから【温泉同好会】に【七不思議研究会】や【トルテたん大好きクラブ】といったおかしなものまで存在しています。………何ですか最後の部活は?


 無論学生の本分は勉強なので部活への参加は強制ではありませんが大体の生徒は何かしらのサークルには所属しています。

 私も例外ではなく、料理好きな母の影響で料理研究会に入りました。

 料理研究会とはその名の通り料理を作って食べるサークルです。といっても”研究”とは名ばかりで料理を作って食べて楽しむだけの活動となっています。


 とはいってもこの研究会は2年の先輩が去年に立ち上げたためなのか部員は少なく私を入れても3人しかおらず活動自体も月に1回だけと規模は小さなものです。

 なので活動日ではない食堂には食堂には現在私のほかには誰もいない状態です。

 

 活動でもない私がどうして部室である食堂で料理を楽しんでいるか?

 それは私が他の何よりも料理が大好きだから!!

 ……というわけではもちろんありません。

 

 理由ですか?それはシャーラさんの秘密を握ってしまったことで寮にいると四六時中睨まれてしまっていることが一つ。

 さらに先日、好きでもないのに女の子のノヴェナさんに告白してしまったことで寮の自室には帰りにくい状態となっております。

 

 告白したことには後悔はありませ……すいません嘘つきました。後悔はかなりあります。

 ですが命には代えられないから仕方がないと無理やり納得させているので一応問題ありません。

 

 今朝ノヴェナさんと顔を合わせたときも、


「お、おはようございます。」

「………おはよう。」


 と、こちらの眼を見ずに挨拶されてしまいました。しかも頭上には


・エメリーに愛の告白を受けるも断る。 

・これ以上の面倒を避けるためエメリーに関わらないようにしている。


 の項目が追加されていました。

 命を守るためだったとはいえ……今ではこれが悪手だったと後悔しています。


「……いえ、考えるのはやめましょう。」

 

 ここは心機一転お菓子作りに専念しましょう!

 と、いうわけで今はストリベリ作りに集中です。


 あ、ちなみにストリベリとはサクサクした食感の焼き菓子のことで、聖人ストリベリが巡礼に備え作った保存食が起源といわれており、彼女が世界を巡ったこともあって世界で最も食べられているお菓子として有名です。本来は保存のために香辛料やハチミツが入っているらしいのですが今作っているのは小麦粉、バター、砂糖、卵を使ったシンプルなものです。

 ちなみ聖ストリベリは他にも……………

 

 ………………………………………………


 ……っといけませんいけません。思わず話が脱線しかけました。まあ、そんなわけで現在寮への直帰は色々と気まずいので部活という名目で食堂に逃げ込んでいるというわけです。

 基本的に学校の食堂は昼食でしか使われていないため現在調理室には誰もいないので極めて静かでそのため集中できる。

 しかしその静寂は活発な声によって破られることになりました。


「あっれー。エメリーちゃん!こんなところで何しているの!」

「トルテちゃん。」


 そこに現れたのは目をランランを輝かせたトルテちゃんだった。

 正直トルテちゃんがいなかったら寮生活に耐えられず今頃逃げ出していたに違いありません。


「屋根に上って昼寝してたらいい匂いがしたから起きちゃったんだ。」


 一瞬屋根で寝るなんて危ないなんて思っていましたがこのトルテちゃんは一見小さい女の子にしか見えませんがその正体は伝説の龍種。

 そんな子が屋根から落ちたところでケガするどころか、痛くも痒くもないでしょうから特に注意とかはしませんでした。実際落ちるのを見たら寿命が縮むでしょうが。


「それでそれで?何作ってるの?」

「ストリベリだよ。」

「ストリベリ!!お菓子の?」


 さすがお菓子好きのトルテちゃん。お菓子と聞くや否や目の輝きがさらに強まった。


「うわあぁぁぁ〜。」


 そして実際に焼きあがったばかりのストリベリを見てその輝きはさらに……って本当にまぶしくなっていませんか!!


「と、トルテちゃん!目、目が光ってるよ!」

「おっといけねえ。つい興奮しちゃった。」


 それをきいてトルテちゃんはちょっと焦った彼女は目から出た光を収めた。

 良かった。余りのまぶしさに目が潰れるかと思いました。


「ねえねえエメリーちゃん!私にも頂戴!!」

「いいよ。はいこれ。」

「パクパク……う~ん!おいしい!!おいしいよエメリーちゃん!!」


 幸せそうな顔をしながら受け取ったストリベリをほおばる姿は本当に可愛らしい。

 ファンクラブができるのも十分に理解できます。私は入りませんけど。


「ってトルテちゃんも料理研究会に入ってお菓子を作ったら?そうすればとても美味しくなるのに。」

「うーん私こういうの苦手なんだ。自分が作ってもどうしてかわからないけど全然美味しくないんだよね。」


 えへへ。とトルテちゃんは笑いながら頭をかいていました。

 自分で作れば美味しいのに……と思ってしまいましたが、不得手があるのは仕方のないこと。他人があれこれ口出しすることではありません。

 それに自分が作ったお菓子を美味しく食べてくれるトルテちゃんがかわいいので作った側としてはこのままでも一切問題ありません。 


「それにしても……。トルテちゃんは龍なのにお菓子が好きなんだね。」


 私がそういうとトルテちゃんは不思議そうな顔をしながら、


「どうして?エメリーちゃんがお菓子が好きなんだから私だってお菓子が好きでもおかしくはないと思うけど?」


 と聞いてきました。


「そ、そうね。ごめんねトルテちゃん。」

「??どうしてエメリーちゃんが謝るの?」


 ドラゴンといえば全部が全部クート=レイムの悪竜のように人肉を食べるのが一般的だとを考えていた私は思わず反省してしまいました。


「そういえばトルテちゃんが一番好きなお菓子って何があるの?」


それを聞いたトルテちゃんは待ってましたと言わんばかりに答えました。


「キッシュトルテ!」

「き、キッシュ……()()()?」


 聞いたことのないお菓子の名前に思わず聞き返しました。


「うん桜桃を使ったお菓子でね!トルテのサクサク感とクリームのしっとり感!桜桃の瑞々しさのハーモニーが口の中で響いちゃうんだよ~!」

「そうなんだ……。あれ?じゃあトルテちゃんの名前って……」

「そう!トルテが大好きだから!!他にもザッハトルテやリンツァートルテも大好きだなあ。」


 いくら好きだとは言え、自分の名前をお菓子からとるなんて……よかったんでしょうか……?

 ………って、よかったんでしょうね。


「そ、それじゃあメリュジーヌの名前もお菓子からとっているんですか?」

「うん。そうだよー。ちなみにメリュジーヌはフランスの伝承に出てくる【竜の妖精】の名前なんだけどね。お祭りのときに作られた私の形をしたこのストリベリみたいな焼き菓子でね。とっても美味しいんだ!」

「………えーと。」


 フランス?という地名にはまったく心当たりがありません。

 というより、さっきからトルテちゃんがヒートアップしてきています。

 何かのスイッチが入っているようです。


「あ、でも他にもカスタードプディングにチョコレート、クッキー、ミンスパイにマカロン、コブラー、ジェラートにアルファフォレス、杏仁豆腐にイチゴ大福も好きだな!!」

「う、うん……そうだね……。」


 トルテちゃんよっぽどお菓子が好きなようだ。

 まあ自分の名前にお菓子名前からとるところを見れば容易に想像ができますが。


「で、でもトルテも含めてどれも聞いたことがないお菓子ばっかりだね。どこの国のお菓子なの?」

「異世界のお菓子だから当然だよ。私はよく【世界間】をこえて食べ歩きしてるの!」

「お、お菓子のために?」

「お菓子のために。」


 ………?

 セカイカン?イセカイ?何を言っているのかよくわからないのですが聞いちゃいけない秘密だということは理解できました。

 というわけで私は、


「………ヘエ。スゴイネ。」

「いやあ~。それほどでもあるかもね!ハハハハハ!」


 なんてトルテちゃんは快活に笑っていましたが、私の場合は。


「……ははは。はあ……。」


 ……私は何も考えないことにしました。

 これ以上の秘密は知りたくありません。

 今回私は【剔抉の眼】は使っていないのに秘密を握ってしまうなんて……私は呪われているんでしょうか……?



 

 ちなみに私のお菓子を気に入ったトルテちゃんはこれからもほぼ毎日お菓子を催促されてしまうのは別の話です。


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